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貞子って切ない系ミステリーだった
くーるー…きっとくるー……♪
……のテーマソングで有名な、貞子ことリングを、最近一気観しました、エイです。
貞子が出てくるホラー映画のタイトルが「リング」だと知ったのが、結構最近だったりする、ホラー映画素人です笑
さて、今回は、そんな貞子のメインストーリーとなる映画3本を一気観したので、ちょっと感想を書きたいと思います。
『リング』『リング2』『貞子』の3作品の感想です。
(『リング0バースデイ』については、うっかり見逃してしまいました……こちらについても、鑑賞後、感想が書けたら嬉しいな、と思ってます)
先に言います。
全然印象が違いました。
予想以上に、話が面白くて、同時に切ない。
そんな貞子3作品の感想を、ネタバレをなるべく回避しつつ、ふんわり書きたいと思います。
お時間ございましたら、お付き合い、よろしくおねがいします。
貞子シリーズのメインは、ミステリー!?
実は、この要素が一番驚いた部分でした。
リング1、リング2では、呪いを解くため、「呪いのビデオ」の噂の検証から物語が始まります。
様々な体験者の証言や、呪いのビデオの内容から、段々と貞子やその生い立ちなどの謎に迫っていくのです。
少しずつ真相にたどり着いていくストーリーは、東野圭吾原作の映画『容疑者Xの献身』などを彷彿とさせる、本格ミステリー仕立てです。
真相が知りたい、謎を解きたい、というわくわく感がこみあげてきます。
残酷なシーンもいくつか存在しますが、気づけば「なぜ、その人は死ななければならなかったのか」という謎の方に思考が傾いています。
推理しながら楽しめるのも、貞子シリーズの魅力の一つだと、私は思いました。
「愛情」というテーマ
これは、3作品全てに共通しているテーマのようです。
例えば(少しネタバレになってしまいますが)貞子には、必ず一度以上、誰かを抱きしめる描写が登場します。
慰めや癒やしなど、愛情がこもった抱擁です。
ホラー映画とは、およそ対極にあるような表現に思えるかもしれませんが、この「抱きしめる」というテーマが、より一層、貞子シリーズを魅力的にしています。
「抱きしめる」というシーンが、作品を切なくて美しい、胸を打つものにしているのです。
また、リング2、貞子には、主人公たちがピンチに陥った時、助けてくれる誰かが犠牲となる、というシーンがあります。
これもまた、物語の切なさを深いものにしています。
この助けてくれる誰か、は必ずと行っていいほど、優しい表情を浮かべたまま、物語から退場してしまいます。
胸が痛むと同時に、がんばったね、とそれこそ「抱きしめて」あげたくなるような気持ちになります。
始球式にも呼びたくなる、
貞子の不思議な愛おしさ
貞子は本来、呪いのビデオの元凶で、犠牲者を出しまくっている、とんでもない怨霊、恐ろしい存在として描かれています。
ところが不思議なことに、映画を見終わると貞子がどうしようもなく愛おしい存在に感じるのです。
ご存知の方は、「serial experiments lain」というゲームに登場する玲音を思い出してください。
あのゲームで感じる愛おしさに、かなり近いものがあります(つまり、一種の中毒性があるのです)。
最初の作品『リング』では強い超能力を持っていたがために、罪を負ってしまった幼い少女として貞子が描かれます。
その後の悲しい生い立ちや、3作品目『貞子』で語られる超能力を得た悲しい原因など。
貞子を知れば知るほど、「貞子なんにも悪くないじゃん!」という気持ちと一緒に、愛着が湧いてくるのです。
しかも、エンドロールで流れる歌は、切なげな歌詞の物が多く、やはり貞子への共感を誘います。
『リング』の「くる~きっとくる~」でおなじみの『HEAVEN』では、こんな歌詞があります。
違った自分を夢見る心は
いつか無意味な体を離れ
すさんだ関係と迷えるこの時代(とき)に
別れを告げて空にはばたくよ
貞子が怨霊にならない自分を夢見て、いつか開放されるときを願っている。
そんな風に、私には聞こえてきました。
3作品目に当たる『貞子』のエンディング『聖戦』は、私が大好きな女王蜂というグループが歌っているのですが、歌詞はどこか貞子を思い浮かべさせる内容です。
鎮魂歌のような、静かでしく、美しいメロディー。
出だしの「もう誰のことも信じられない」「やさしさでは たどりつけない」「安らぎを求めて」。
サビの「いつか笑える日が来るさ」。
そして、最後の方の「闇と読めても愛と呼ぼうよ」。
全部が貞子のことを暗示しているようで、心が震えます。
ちなみに、プロモーションビデオには、女王蜂と一緒に貞子も出演しています。
立ち去ろうとするアヴ(ボーカル)を、子供のように袖を引いて引き止める貞子に、きゅっと胸が締め付けられます。
もうほんと、抱きしめてあげたいような気持ちになるんです。
その昔、野球の試合の始球式で貞子がボールを投げたと聞いた時は意外に思ったものですが、今なら納得できます。
だって貞子だもの。
まとめ:貞子視点で『リング』を観る(観てた)
ここまで書いてきて、一つ気づいたことがあります。
私ったら、いつの間にか貞子目線で『リング』を観てました!
被害を被る主人公たちにしたら、たまったものではないですが、貞子視点で観ると、ホラーシーンも「そりゃそうなるよw」と、ちょっと笑いながら見れちゃうから不思議です。
「あー、そんなこと言ったら怒っちゃうよー」
「ほら、いわんこっちゃない」
「やめとけやめとけw」
こんな感じに貞子に寄り添いながら観るのも、なかなかおもしろいものです。
もちろん、画面いっぱいに広がる貞子の狂気演出や、じわじわ迫りくる恐怖体験を思う存分楽しむのも、最高でしょう。
あなたは、どんな風に「貞子」シリーズを楽しみますか?
エイでした。
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