真に自分らしい哲学
デンゼル・ワシントンは、俳優としての道を歩み始めた時、ひとつのこだわりを持っていました。
「黒人のイメージを良くする映画だけを引き受ける」
そのこだわりでした。
しかし、そのためにある映画の出演を断ったとき、数ヶ月、仕事が、
来なくなりました。
悩んだ彼は、先輩の黒人映画俳優、シドニー ポアチエに相談しました。
ポアチエは、こう答えたそうです。
「それで良い。初期の作品は、その後の進路を決めてしまうのだから」
田坂広志
「自分であり続けるために」より
つまるところ、若き日の、仕事に対するこだわりが、その人の、生涯の歩みを決めてしまうということで
ある。
「自分らしくない仕事をするな」
ということではない。
「すぐに失敗に気づかねば、
取り返しのつかないことになる」
ということである。
ここでいうところの「取り返しのつかないこと」とは、「自分を見失いながら生きること」を意味する。
「人生の価値は、その方向性にある」のである。
だから、価値ある仕事や真に豊かな人生のためには、自分の価値観をとことんブラッシュアップした、
真に自分らしい哲学や思想が必要となるのである。