思っている以上にゆっくり発色する藍
なぜなのかはわかりませんが、蒅で染めた藍の色は想像以上にゆっくり発色しているみたいです。
10年以上前にサンプルとして染めて、そのまま収納ケースの底に入れられたまま忘れていたエプロン。本当に完全に忘れていたのですが、手持ちの素材や染めたものの在庫チェックをしていた際、しばらく開けないままにしていたケースを発見し開けてみたら、ものすごくいい色になった状態で再会しました。
パッとみた感じで市販のエプロンかと思うくらい、濃い色にきっちり発色していました。サンプルとして染めた時の仕上がりは、しっかり目の縹色(はなだいろ)だったのに、発見時は2トーンくらい深い色になっていました。これはびっくり。
江戸時代の人は藍染めの訪問着を作ったら半年は外に着ていかないという話が残っているし、日傘を藍で染めたら暗い屋根裏部屋で広げたままやはり少なくとも半年放置するという話もよく聞きました。
色がきちんと発色するのと繊維に安定するのとで、それくらい時間が必要だったのでしょうね。目に見えていない色素の元の成分が、繊維のいろんな場所で小さくゆっくり呼吸しながら発色していくんだな…
甕を建てる時も、染めている時も、慌てないことが「いい色」につながる大切なポイントですが、染めた後もそうなのですね。「時間」と共に仕上げる意識が必要なんだな。
タイトル画像は染料・顔料に加工する前のタデアイの葉ですが、本当にこんなにひたすら緑の葉っぱがあの深い藍色を染めるのだから、何度見ても不思議な気持ちになります。
ただ…染め上がると嬉しくて、すぐ使いたくなるんです。もう、我慢するのが大変。10年も待てない。でも10年放置した結果の色を見ると、本当に魅力的。でも、待てませんよねぇ、なかなか…
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ、サポートをお願いいたします。いただいたサポートは藍農園維持と良質な藍顔料精製作業に活用させていただきます。