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仕事のもやもや 急激に下がった気温 ひどい風邪に伏した翌朝
朝まだきの台所で おいしい白湯に今日は元気に行かれると思った矢先
背から臀部にかけ走った稲妻 体を動かそうとすれば涙が伝い
唐突な真っ暗闇の世界 日の出は8時近く 視界が戻るまでうずくまり
大量発汗に冷えゆく身体 朦朧とする頭 理性を振り絞る

また踊ることはできるのか 身体からの強烈なメッセージ
筋も骨も膜も みんなが助けてくれている 座すこと 外で地とつながる
柔軟の不足 カーペットや鳥たちの糞 言い訳はいつだって役に立たぬもの
肝腎要を痛め 屈めない 歩けない 立っていられない
ひとりの日常はいとも簡単に崩れ 困ったのは用足しと食事の用意
角度が違えばビキイと来る つらい右側に利き手も右
体内の不調ではないので 三度三度きっちり空くお腹

家事ができないために しもやけのようになっていた手指はみるみる回復し
クリスマスの宿泊先でもそうであった この時期水から離れると
立てないつらさより こまごました家のことをしていたい

病院は忙しいのか トイレまで腕を貸してくれた看護師は
外に出るといなくなっていた 付き添ってくれていた友人の手を借り
その後寝台横に置かれた簡易便所 ほらこれで歩かなくて済むでしょうと
台との近過ぎる距離 囲まれた手すりの角度が妨げとなり
開いたカーテンから廊下をゆく人と合う視線 結局壁を伝い歩いて

作り置きが幾らかあった しかしこれが尽きたらいよいよどうしようと
人々に買い出しを頼んでみたものの 待ちに待った三連休で皆忙しく
用事や仕事で断られ 6人目程で漸く引き受けてくださる方に
車でないとスーパーへも行きにくい 部屋内の歩行に苦労する今
ありがたく沁みる あたためにと小豆カイロを作り届けてくれたやさしい人

一日寝たら回復する不調と異なり時が必要で 横たわっていても痛む
周りに誰かしらいて 覗いてもらっていた有難さ
かつてない孤独のなか 外はやけに晴れて長閑さ遠く

まだ治らないのかという言葉 近くの人びとから得られぬ協力
宮殿でなければ安静も無理よのう 負荷をかけたくない時期ではあれど
なかなか取れなかった病院の予約 良くなっていれば行く必要ないけどと
送っていきたくない空気をひしと感じつつ 神経かどうか気になり
乗せて貰って 心地よい応対の医療施設への感謝

誰かのいたみを想像することは いつも容易ではない
心寄せ慮ること いつかだれかの助けになれるやも 
台所に立てなくて 買ってきてもらったインスタント食により嵩を増す袋群
経口補水液の空ペットボトルたち 普段買わないものたちの存在感の大きさ

痛みに呻いていた頃 噂を聞いた友から自家製スープとサラダの差し入れ
作った人の顔が浮かび ぬくもりを感じながら食べられる喜び
三日分でも二食でも 栄養のあるものを欲する身体の幸福
美味しいスープが終わり スーパーに買いに行った翌日
別の友より来りし 具沢山の牛のスープと塩気のつよいチーズビスケット
有難い おいしい 世界に色が付き 軽やかな音楽が聞こえくる 

絶望するには早過ぎる そう思わせてくれる声が近くにあってうれしい
まだやりたい動きがあるの あれこれ挑戦したいことは増える
早くシャンパンに還りたい 浮き立つ泡に夢をみやう

心のつかれが出る前の対処 まだ生きている いかされている
じぶんに軸を戻して 喜びある満足する道へ すこやかにゆきませう

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛