木漏れ日 “What Can You Do about It”
介助 被介助 生きとし生けるものは互いに補い合い 時と場によって
関係は刻々と移り変わる 捕食被食 交わっては離れ あらたな色を見出す
障害に自覚的になったのは小さい頃に読んだ盲導犬の本 かしこくりりしく
トレーニングを受けた子がひとと共に生きる姿 講演を聞きに行った折
クラスの子も来ていて 同じものを共有できたことが嬉しかった
人がひとを助け 気持ちよく生活する 言葉を介するもの同士のふしぎ
いきものとの交流との最たる違い 意思の聞き取り 良かれと思っての促し
人は関わり合い生きていく 数多存在する関係性 判断を下すのは
言語はときにバリアになるけれど よき手段として用いたい
身内と 関わる人びとと やさしい言葉を発しよう あたたかな心を持って
はた はたと その場に置かれるまで 彼の手を離れぬ物もの
時を待つものの気配 熱い空気 つめたい風 うつくしさは万物に宿る
衣や鏡 決めた習慣 そうせざるを得ぬ振り返り 真四角の浴槽
日常のあらゆるところに光は注いで 行いの一つひとつが意味を持ち
また持たないことも 持たせない時も それでよいしそれがよい
日々を 調整してゆくこと 朝の呼吸と夜の 各々の速度と濃淡
他や自然が気づかせる ささやかなことなり 尊さと神性 存在のかさなり
性の萌芽や老い 社会のさまざまな無自覚 知識の乏しさ 誰にでも
生じることが 障害の有無によってさらに色濃く分かたれてきたことは
歴史が語る いろいろの人の内側にあるものが 他者に対しいとも簡単に
投げ出されること なるべくなら痛みは避けたい筈であろうに
ひとりで泣かないで 閉じ込めないで うつむいた心も 立ち上がりの時が
自然の訪ひ 誰しも思い詰めることがあるけれど また笑っているから
観始めた直後 観終わった後の寂しさの気配を感じていた
出会う登場人物が気にかかり それでも人は日々を生きていく
映像を通してこれまで出会ってきた人たちを思い出し 安寧を願う
淡々と生きてゆく覚悟を新たに 直後に開いた本には笑いと涙
わたしたちは生きている あたらしくなっている 今日もこの瞬間にも
“だってしょうがないじゃない(What Can You Do about It)”
(’19・JP) 発達障害 developmental disorder
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