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ロマンスのはじまり ときめき大作戦 <オハヨーOhio記 番外1>

 SIMを替える前も迷惑メールと電話がひどかったが、替えた瞬間から電話が鳴り止まない。丁度医療機関にかかった折、そこからの連絡だったらいけないと慌てて取ると強いインド訛りにあまい雰囲気。診てくれたのはインドの研修医だったが、あきらかに取る必要のない電話であった。発信元もイタリアやスペイン、ワシントンD.C.と変幻自在。作業を中断されること著しく、知らない番号からの着信は音が出ないように設定した。
 日系企業さんとの打ち合わせの際、”番号を教えて、出るようにするから”との言葉。状況はやはりみな同じなよう。
 
 メールはさらに突っ込みどころ満載である。”やあハニー、、、半年前に花屋の前で会ったね。美しかった。恋しいよ、また会おう”
(花が、わたしが。文法の問題だろうか。スーパーKrogerの一角に花を売るコーナーがある他、ダウンタウンにあったはず。昨日のことも定かでない人が多い中、随分遡るな)

”今朝信号で君を見かけたよ。僕のこと、まだ覚えてる?”
(今日はまだ信号を通っていない。さすれば会ってもいない。十字路のSTOPサインは頻繁に目にするけれど)

”今朝会ったね。パン屋の前で、きみに。素敵だった、、今夜花束を送るよ”
(どこへ? 返事が来たら住所を聞くのかな)

この町パン屋ないのよねと思いつつあらためて調べてみると、3軒ヒットした。一つはサンクスギビングのご馳走とともに登場する塩辛いけし粒パンを売るお店。店名にBreadは入るが、ケーキ屋さんの印象が強い(まだ行っていないので今度入ってみよう)。一つはPanera Breadというサンドイッチやスープのセットやサブスクのジュースやコーヒーを売りとするカフェチェーン。セット注文に付属するサイドのバゲットは飛び上がるほどおいしかった(交通量が多いエリアで遠く、なかなか行かない。しかしバゲットはよそでは出会えず貴重(いよいよじぶんで焼かなくては。遠くの街にあるWhole Foodsにはあった)。そしてもう一つがサンドイッチ・デリ。自家製パンが売りで、入口すぐのラックに複数種のローフが山になっている。土曜の夕刻に訪れ、帰り際にも次々焼き上がっていたパン。安息日だが日曜に買い求めるお客が多いのだろうか。
 パンだけを売るお店がないのは、やはり意外。小麦消費国なのに、みなどこでパンを求めているのか謎である。どうも小売店で袋に入ったメーカー品を購入するのが一般的なよう(数軒お邪魔した台所で目にした限りでは。そして朝食はシリアルやグラノーラが多い印象)。

 「、、、」を多用し、伸ばし気味にするのもテクニックのよう(ロマンスの気配ゼロ故か、とりあえず身近にはいない)。「○○で会った」というのは常に入る。”あら、会ったかしら、、、♡”と考えさせる手法でしょうか。
 友から相談されそうな事案としては、”ねぇ、彼、私の紫のお花模様のハンカチ持ってるって言うの。そういえば、会ったかも、、会ったとかな?” 相手さん、きっと持ってないよ、それ(火をつけたいのは乙女心)。何故だか出来上がっている心当たり。細かなディテールにまで言及するかわからないが、ものをたくさん所有する方には響いてしまいそう。
 先頃『セーラームーン』を読んだ。タキシード仮面が主人公のハンカチを持って帰ってしまう場面、最低限の2枚で回している自分からすると”持ってかないで!それは明日使う分だから”だけど、うさぎちゃんは気づいていない様子。

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛