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Unplugged

木のうろに飛び込んだりす ひとつの夜と朝を同じ樹々の間に過ごす
大きく設けられた窓から いきものたちを追い 枝葉を揺らす風を感じて
普段のトレイルより遥かに長い時を 座り寝転び さまざまに遊ぶ
快適でコンパクトな空間に 森に暮らしたソローを思い

チャーミングな街に目を奪われる信号待ち 宿をさがそうと開いた画面に
ぽんと現れたのは 一目で身を置きたくなった窓辺 決断まで二分
進路を西へ 急に夏のような陽射し 絶え間なく注ぐ熱 宿からの連絡文に
“Leonね!” … 一つではないのだ、部屋は 幾つあったとて きっと静かな
森のなか ハンドルは軽く 傾きはじめた日の名残 窓から入る風が
時のうつろいを告げ 久方振りに覚える高揚 晩御飯を携えひた走る

ヴィレッジのループ Lのサインを探して バドミントンに興じる姉弟は

にっこりと手を挙げ 手を繋いで歩くカップル 火熾しの準備

扉を開けるとうれしい驚き 一目で見渡せる空間は簡潔で広大
おおきな窓は未知なる物語への扉 最小であれ ベッド周りの段々腰掛け
木々に面し日が入る浴室 ステンレスに囲まれた四角い空間 落ちる湯は
受け止める他ないけれど 木目とガラスの調和 teeny-tiny house


パスワードが記された紙はなく つながりを持てないことに安堵する
端末はウッドケースの中 取り出すためのアクションが問いかけをうむ
”今 ひつよう?” からだを戻すとき 図らずも求める場所に辿り着いて 

一歩外に出れば鳥や蛙たちの賑やかな気配 キャビンの中はしんと静まり
ラジオからこぼれる物語 星々の下 それぞれに耳を傾ける人びとがある
夜に踊り 朝に歌う フィジカルに捻るつまみの手ごたえも鮮やか

留まることで得るものもきっと豊か 流れ 導かれるままに動き
安寧や穏やかさは 移る先にもある 違うかたち ことなる色あいが輝き
うつくしさが呼びかけ来る 後にも先にも それぞれの風が渡り

火を焚く懐かしいにおい 温かな灯り 調理の熱い火 広がる香ばしさ
S’MOREの長串 近しいひととの語らい よるに見上げる樹々は
いつものよう ただそこに在る 数多の命のざわめきと 眠りに就いて
 
起き抜けのTrail 静けさは昨夜のままに 川の流れ ハーブティーに珈琲
終わらない朝を 慈しんでいたくて こぼれる愛に素直でいよう 
小径の先 ひとときの寛ぎは次元を変える 自然に還る 思いきりの呼吸

足りること 満ちること you’re enough you’re love
we’re the universe. 引いては寄せる波をゆき 森の息吹を聴く

photo:森のやど https://note.com/indigorhu/n/na5633bdebf53
     しろ 宿のtrail https://note.com/indigorhu/n/n4651ceac8c98

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛