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定款作成のポイント:第2条、事業目的

会社を設立するにあたって、とても重要なのが会社の設立目的や規則などの詳細をまとめる定款(=会社のルール)を作成することです。中でももちろん会社名(商号)などの記載なども大事ですが、忘れてはならないのが、事業目的の箇所。会社としてのどのような事業を行なっていくのかを明記する箇所になります。こちらは第2条に書かれることが多い模様なので第2条とタイトルに書かせていただきました。
スタートアップ周りのお仕事をしている中で、よくこの目的に関して話すことがあり、極力10個以内がいいだったり、いや数が多いといいと言われますが実際はどうなのか見ていきましょう。
*ただし、このnoteは伝聞も入っているため、参考としていただき、実際の数などは司法書士と相談しながら作成されることをおすすめします。

1.開業に当たってのステップ(参考)

1.登記場所を決める
→2.社名を決める
→3.登記場所に同じ社名がないかチェックする
→4.社名の決定
→5.会社の印鑑(社判)を作る
→6.定款の目的事項を作る:イマココ
→7.公証役場で公証人と相談をし、開業を認めてもらう
→8.資本金の払込
→9.登記申請書類の作成
→10. 法務局での登記申請
→11.登記事項証明書の取得
→12.税務書類申請

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2.事業目的の決め方

まず、事業目的の決め方です。こちらの事項に記載した事業目的の範囲内のみで会社の営業が可能になります。そのため、実際に行う内容と今ではないけど、今後未来において実施したい内容を記載することが大事です。とはいえ、なんでもかんでも入れるのは会社の目的がわからなくなるので、やめましょう。バランスよく入れていくことが必要になります。だからこそ、この個数をどのくらいにするかが色々と検討が必要でした。
ただし、定款自体は更新も可能ですので、もしこのタイミングで入れ損じても、項目の追加をすることは可能です。(若干変更にお金はかかりますが)
また、株式会社などにする時点で、NPOなどとは違い、営利性を追求することが目的にならなければなりません、そのため、寄付事項だけを目的とするということはできません。合わせて、許認可が必要な事業もあるのでその場合は注意が必要です。例えば、派遣業、宿泊施設運営、美容業、旅行業や金融業。このような業種を記載する場合は許認可を取る必要があるようなので注意が必要です。

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3.一般販売されている書籍によると

まず、今回独立するにあたって、仲良しの先輩から6冊の「起業本」を受け継ぎました。会社の設立の仕方などが書いてある本を読むと、大体の本には目的事項は10つ前後で記載するように書かれていました。確かに目安としてはそれが一番良いかもしれないと思い、まずは目安の個数を決定しました。

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4.銀行口座開設において

金融機関にいて、スタートアップの口座開設などを行なっている友人3名とその話をしていたとき、銀行口座を早く作りたい場合は多いほうが通りやすいという話もありました。もちろん範囲が広すぎるとまずいのはそうなのですが、特にアーリーなスタートアップだと、会社としてピボット(別の業務に変更)することもあるので、その猶予を少し残しつつ、広範囲で書いた方がいい場合もあるとのこと。

5.融資を受ける場合

融資を受けるにあたっては、きちんと細かく業務が判明しており、それによって成長が見込めるようにストーリーが描けていなければならないこともあり、事業目的が多すぎるとよくないという話も聞きました。私の場合はスタートアップではないのと、割と実際の業務範囲が決まっているため融資を受けることも含め数を検討したいと思いました。

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6.健康保険の内容にて検討

社会保障や組合に関しては、会社設立後に考える話だと思われるのが通常だと思います。ただし、健康保険の種類によってもこの定款の目的事項が重要になる場合があります。健康保険は「協会けんぽ」と「組合けんぽ」がありますが、中小企業の多くは「協会けんぽ」なのですが、場合によっては業界別の「組合健保」に入った方が有利となる場合があります。

組合健保:企業が単独、あるいは共同して設立して保険者となる健康保険です。単独の場合常時700人以上の社員がいることが条件で、共同設立の場合は業界ごとにまとめて作成する場合が多いですが、合算して常時3000人以上の社員がいないと設立ができません。主な被保険者(加入者)は大・中規模企業のサラリーマンとその扶養者です。ただし、組合健保によっては入るためのそれぞれの条件などがあります。
協会けんぽ:保険料の料率を全国健康保険協会が都道府県別に設定します。被保険者の多くはは中小企業のサラリーマンとその扶養者です。
国民健保:個人事業主や自営業の方が主に入られる健康保険です。株式会社の場合は通常こちらではなく、組合か協会のどちらかになる場合が多いでしょう。

これまで私自身は広告の組合健保に入っていたため、退職するその瞬間にはこちらの任意継続にしました。それは組合健保の方が有利なことが多いと考えたためです。組合健保の利点と条件を参考までに。

・保険料率:協会けんぽに比べて約1-3%ほど金額が安い場合があります。
・保険給付:協会けんぽに比べて給付金が多いことがあります。
・条件:組合にもよりますが、例えば定款において明記すべき事項が決まっていることがあります。従業員の人数や、保険を納めてる期間なども考慮される場合があります。

そうです。ここを気にして実は定款の目的事項記載のページに記載しました。例えば、保養所が充実してるからか人気のある関東ITソフトウェア健康保険組合においては以下の事項が定款の目的事項になければなりません。

(1)パッケージソフトウェアの利用技術・研究開発及び流通
(2)ソフトウェアプロダクト及び関連ソフトウェアの研究開発及び流通
(3)コンピュータ及び周辺機器の販売(レンタル・リースを含む)保守サービス
(4)コンピュータの利用による情報の提供・・・

もちろん従業員数などそれ以外の条件もありますが、起業する業界における組合保険に入る可能性があるのであれば、事前に定款目的を一致させることが必要か確認してみるといいかもしれません。

7.電通の定款と商社の定款

私自身の事業はマーケティングもありますが、コンサルティング業務のようなサービス業のため、参考にさせていただいたのが、電通、三菱商事、伊藤忠商事の定款でした。大企業のため、項目数がかなり多かったのですが、メーカーではなくサービス業においてどのような定款を書くべきかの参考としては非常にわかりやすかったです。皆様も定款の作成前に、同じ業態や実際の業務の業態を含む会社があれば、その会社の定款を元に作成することもおすすめします。

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8.定款の目的事項の決定

上記を検討した結果、私の会社では14項目+「前各号に関連する一切の業務」の合計15個項目の事項で決定しました。目的事項が決まったらそれ以外の決算期や資本金など諸々決めた上で定款が終了。今度はこちらを公証役場に持っていき、公証人により認可を受けるステップへと入ります。

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9.公証役場へ:番外編

公証役場に赴くにあたっての注意事項ですが・・・実際すいている公証役場であれば早いのですが、通常は意外と時間がかかります。営業時間中だからずっと担当の公証人がその場にいるわけではないので、事前に予約をとり、お伺いし、相談しながら認めてもらうことになります。私は修正事項も入ったので、2度行った上でほぼOKが出て、資本金の振込後、再度提出という形になりました。その中で色々と動きがあったので、それはまた追って。

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