HOT TOASTERS「Creek Dust」
1.Fish+Doctor
2.雪渡り
3.楽園のMilk
4.Hop Hop Hop
5.瞳の中の葡萄
6.Sha-La-La
7.Indian Summer
8.Who Is To Take The Blame?
9.月と酸だけが知っている
10.Anarchy In The UK
11.Parade
94年に出たHOT TOASTERSの1stにして、長らく唯一のアルバムだった作品。
ロック、メタル、ジャズ、ファンク、スカなどなど様々なジャンルの音楽が混ざりあった形容しようのない独自のサウンド。
有名になる前のDRAG CITYから音源を出してたり、クリエイションからもオファーがあったという世界的に注目されてもおかしくなかったバンドの歴史的名盤です。
2018年に盟友NARASAKIがリマスターを施し再販。
このバンドの特異な音楽性が凝縮されているように思える大名曲①から幕を開ける。電子音とアコギから始まり、ノイジーなギターとボーカル、女性ボーカルとホーンが加わり、さらにメタリックなギターが襲いかかってきて…と次々と展開し、そしてその先のギターの響きと共に壮大な風景が広がっていくよう。この曲に限らず、裏で鳴り続けるアコギも心地良い。
②はホーンを中心とした陽気でレゲエなテンポの曲。ソウルフルな女性ボーカルが弾む。サビでは突き刺さるようなメタリックなギターが疾走。
③はゆったりとしたテンポに女性ボーカルの歌声が美しく響く。終盤から入る焦燥を駆り立てるようなギターも心地良い。④は一転アップテンポで曲の表情がコロコロ変わり疾走する。時折入るアコギが美しい。
ザクザクしたギターのミドルテンポの⑤。メロディラインと女性ボーカルとの絡みが魅力的。間奏の静まり返ったようなアコギとドラムも美しい。このバンドはドラムがいなくて困っていたようだけど、ここはドラムマシーンの機械性が逆に叙情を醸し出しているようで不思議。メタルバンドのアルバムに1曲だけ入ってるバラード曲のような趣もある曲。
⑥はアップテンポなリズムと、せつなげなアコギの響きが同時に鳴り続ける不思議な曲。不思議な曲ばかりのバンドではあるけれど。ラストのアコギの旋律もやはり美しい。
⑦や⑧は曲調がコロコロ変わるこのバンド特有のカオスでソウルフルなダンスナンバー。
⑨はアルバムのなかで一番スタンダードなナンバー。サビのメロディがエモーショナル。⑩はピストルズの言わずと知れた曲のめちゃくちゃで破天荒なカバー。
ラスト⑪はタイトルの通り、パレードのような開放的で刹那的な幸福感を感じる。最後を飾るに相応しい祝祭の歌。
全曲聴き応えのたっぷりあるアルバム。
たぶんいいオーディオで聴いたら、新たな発見がさらにたくさんあるんじゃないかと思う。
改めて聴くと、意外とダンスアルバムなんじゃないかという気もした。
というか、見方や好みによって様々な捉え方のできるアルバムだと思う。
それだけ、多様な音楽的要素が凝縮された末に生み出された作品。
どこにもいない民族の、だけども様々な民族とも共鳴できる独自の民族音楽とでもいうような、ここでしか聴けない素晴らしい作品です。