その他の短編ズ「3」
2014年Kirigirisu Recordingsから発売されたCD-R。初めて歌詞カードが付いている。
「B」同様すでに短編ズスタイルが確立されていて、楽曲の完成度も増している。こちらのほうが風変わりな曲が多いように思う。
1. 主婦
不穏なピアノ旋律を背景に不気味な語りが続いていく世にも奇妙な物語のような曲。自分の知る限りライブでこの曲が披露される際は語りの内容はその都度違っている。
2.プランクエクステンド
ノイジーなキーボードときれいな歌声が絶妙なコントラストをなしている風変わりなダンスミュージック。
3.赤いカーテン
打ち込みと印象的なベースラインにガチャガチャしたギターと語りが絡み、ダークな雰囲気が醸し出されている。オケだけ聴くとヒップホップのトラックのようでもある。
4.第一工場・第二工場
工場の音を使ったミニマルテクノのような曲。長尺の曲だけど、ずっと心地よく聴ける。
5.ルール
弾き語り曲。同じフレーズを繰り返すギターに美しいメロディを歌う二人の声が絡み、没頭するように惹き込まれてしまう。しんみりとした薄暗い景色にほのかな光が差し込んでいるような美しい曲。ポップミュージックで輪唱をこんなに効果的に使っている例もあまり見ない気がする。
6.カレー
叙情的な旋律にウィスパーボイスが絡むシューゲイザーのような色合いの曲。繰り返し何度も聴いてしまう中毒性がある。
7.したらいいじゃない、もうそんなの
暴走気味のキーボードが特徴のキャッチーな曲。
8.あの人
「カセットテープ」から改題された曲。歌詞も変わっている。長い前奏が加わったことが一層曲の情感を深めている。かすかに聴こえるか細い歌声とフィンガーノイズが叙情的に響く。
9.初恋
ピアノ演奏は石橋智英。ピアノの音を背景に、二人で物語を語り聞かせる曲。物語の内容は昔話風の人間の滑稽さや愚かさを感じるおもしろい話で、よくできてると思う。終わり方もお洒落。