その他の短編ズ「31」

2017年 bijin recordから発売。
これまでとは違い様々なゲストを招いて作られた作品。やったことのないことをやろうということらしい。それぞれ参加した方の魅力も短編ズの魅力も互いに引き出せているのではないかと思うバラエティーに富んだ内容。参加したアーティストは技量のある方が多そうだけれど、短編ズの持つ洗練されない素人っぽさは健在で、その二つが両立しているという不思議な化学変化が起こっている作品。


1. それ、いいね
にせんねんもんだいの姫野さやかがドラムで参加。thermo辺りを想起させるノイズが飛び交うなか、二人がハンドクラップと共に歌う。二人の歌は懐かしい感じもしつつ、畏怖を感じるようでもある童謡のような歌。ちょっと怖めの映画の幼年時代の回想シーンで、子供たちが学校帰りの夕暮れに歌ってそうな歌。そのなかに童子の霊も一緒にいたりするような。

2. どんぐり
マクマナマンの山本武賜がギターで参加。どんぐりの不思議を巡るミステリーソング。サビに入るところのギターに浮遊感を感じる。元々はNHK教育の番組?のために作られた曲。(https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005410068_00000)このときの曲のオケは「インドネシア」だった。

3. 伝説
CASIOトルコ温泉のMTG、PKNY、マクマナマンの山本武賜が参加。ゆるゆるふわふわで夢の中にいるみたいなダンストラック。ライヒのマリンバみたいに聴こえる音や2回ぐらい入るシャンシャンシャンというコーラスなど、随所に入る細かい音がいちいち心地よい。


4. 魚
悲哀を感じるギターの響きが印象的なせつない曲。上手くない感じの口笛もいい味を出している。


5. リス族
マクマナマンの山本武賜(ベース)、瀬戸口壮太(ドラム)が参加。そのベースとドラムが曲をクールに際立てている。ギターの旋律とボーカルとコーラスとハンドクラップが全て調和しないようで調和したような不思議な魅力のある曲。


6. 朝
静謐な空気で満たされた朝のうた。歌詞にある全世界の大勝利というのが裏返しの表現に思えるような、敗北の朝の澄んだ空気のようなものを感じる。何も持っていないことが全てを可能だと思わせてくれる朝の空気。

7. サマーステーション
マクマナマンの4人が参加。まだ暑くない夏の朝の風を感じる涼しげな演奏から終盤のフィードバックと共に青空に吸い込まれていくような感覚になる。夏の風景を感じる曲。

8. 真珠
Kirigirisu RecordingsのBroken Shoulderが作曲。エレクトロニカ風味な楽曲。心地よいノイズにぽわんぽわんとした歌が乗り、ゆっくりとアルバムの幕が降りていく。


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