いぎなり東北産の曲
いぎなり東北産は2015年に結成された東北出身9人組の女性アイドルグループ。
自分はほんの3、4ヶ月前にこのグループを動画で見て、なんかみんなめっちゃ歌うまくないか?と興味を持ち、曲もいい曲ばっかだなと動画を漁り、なんかメンバーも変な奴ばっかでおもしろいなーとすっかりハマってしまった。
CDも買ってみようかと思ったが、好きな曲がバラけてる感じだったので、spotifyで聴いてみて特に好みだった数曲の感想。
・天下一品~みちのく革命~
たぶんデビュー曲。勢いと決意に満ちた盛り上がり必至の曲。リリースした頃はメンバーみんな小中学生だったと思うから、曲調も歌詞も当時は着せられている感じだったと思うけど、今ではかっこよく着こなしている。そこまでの成長を見込んでこういう曲にしたのだろうか?自分が初めてこの曲のライブ動画を見たときは、落ちサビの伊達花彩さん、桜ひなのさんと来てからの橘花怜さんの澄んだ歌声に心を震わせられた。
・恋はじめ
80年代風のギターポップといった感じの良曲。曲もいいんだけど、↓の動画が「青春!」というものが凝縮されているようで、夜中に繰り返し見て涙が出そうになってしまった。。
・BUBBLE POPPIN
バブルをテーマにしているであろう曲。サウンドも当時のクラブ?ディスコ?ジュリアナ?辺りを意識していると思われる。曲の系統的には好みというわけではないのだけれど、ライブでこんなにかっこよくやられたら乗らざるを得ない。
・re;star
ピアノのミニマルな旋律が印象的。ポストロック的な曲調とメンバーの伸びやかな歌声が絡み合い、サビの爽快感が素晴らしい。スタイリッシュななかに変顔があったりするのもこのグループらしい。
・うぢらとおめだづ
方言丸出しのタイトルがまず良いと思う。こちらもライブで盛り上がること間違いなしのパーティソング。桜ひなのさん、伊達花彩さんが両翼で曲を引っ張る感じもかっこいい。ふざけきってバカ騒ぎしてる感じと、そこからは思いもよらない歌声の強さが両立しているところがこのグループの魅力だと思う。
・深夜特急
タイトル通り、しんとした夜から始まり、そこから旅立っていく様がサウンドで描かれているよう。吉瀬真珠さんの大人っぽくも澄んだ歌声がよく堪能できる曲。
・Being
なんだかバンドアパート辺りを想起させられた。さわやかで伸びやかな曲。
・3000days
震災から約3000日後に発表された曲。
・真っ直ぐに、明日がある
最後以外は橘花怜さん、安杜羽加さん、北美梨寧さんの3人で歌っている。サウンドも歌詞もとても美しい曲で、とりわけ橘花怜さんの歌声には胸をわしづかみにされる。じっと聴き入ってしまい、なんだか立てなくなるくらい心に沁み入る曲。
・メタハンマー
桜ひなのさんのパワフルな歌声が映えるロックナンバー。序盤の葉月結菜さんと2番サビの吉瀬真珠さん、落ちサビの伊達花彩さんのパートも個人的好きポイント。攻撃的で激しい曲でありながらギターが前面に出てこないのもおもしろい。
・服を着て、恋したい
作詞作曲は大森靖子だそうで、東北産では珍しくギターやドラムにバンド感が出ている。そしてサビでは一転POPに。もっとバンドサウンドを全面に出したヴァージョンも聴いてみたくなる。というかこの曲に限らず、アイドルミックスではないゴリゴリに楽曲寄りのアレンジになった東北産の曲も聴いてみたいなと思ったりする。
・わざとあざとエキスパート
Tiktokでバズった曲。バズりを狙いにいったんだろうなという曲なんだけど、それで実際バズったんだからすごいことだ。いろいろとクオリティの高い曲だと思うし、ここまで可愛らしい曲は東北産にはあまりないと思うのでこれも貴重。
・飛ぶぞ!
アッパーなサマーソング。橘花怜さんのソロから始まり、聴かせる曲かと思いきやそこからハイテンションになり、高揚感に溢れたサビ。その後もハイテンションから吉瀬真珠さんのソロで聴かせ、律月ひかるさんの可愛らしい掛け声でふにゃ~っとなりつつまた高揚していく…というこのとっ散らかった構成が、多様な人間性が混じり合ったこのグループにとても合っているように感じる。
何年も前からライブハウスでインディーズバンドと(地下)アイドルが対バンすることはよくあって、アイドルのライブを観る機会もあったので、最近のアイドルの楽曲が音楽的にもクオリティが高いのは知っていたつもりだけど(個人的には初期のおやすみホログラムがすごく好きだった)、それはさらに進んでるんだなあと改めて思う。今後ももっといろんな人材が制作に関わって、アイドル界もいい曲であふれていくんだと思う。(東北産の流れでこないだ聴いた、ばってん少女隊の「わたし、恋始めたってよ」という曲もすごくかっこよくてびっくりした)
いぎなり東北産はそれに加えて歌唱力も素晴らしいのが何よりの強みだと思う。自分はインディーズミュージックばかり聴いてきて、なかでもブッチャーズやディーパーズをこよなく愛してきたような人間だから、歌の上手さなんて音楽に求めてこなかったんだけど、彼女たちの歌声を聴いて、歌が上手いってすごい才能なんだな、歌声だけで心を持っていかれるんだな、という当たり前のことに今更気付かされてしまった。
桜ひなのさんの荒々しくドスの効いた歌声はロック界にもなかなかいないと思うし、橘花怜さんの歌声には人の心を惹き寄せ魅了させてしまう力がある。いろいろ動画を見てて思うけど、この人はあらゆることに感情が全乗っかりの人で、そこが魅力なんだろうな。
東北産のボーカルの中心になっている伊達花彩さん、桜ひなのさん、橘花怜さんの力強さはそれだけで相当強固なものだと思うし、他のメンバーもそれぞれの味があって聴きごたえがある。キャラも同様に。なんだかマイクを持つメンバーが変わる度に次から次へと個性的な人が出てくる大人数ヒップホップグループのようにも思えてくる。
実際パフォーマンス力にも定評があるようだし、それはライブ動画を見ているだけでも感じるので、是非もっとビッグになってほしいと思う。
いろいろ動画を探索しているのだけれど、いぎなり東北産、なんだか知れば知るほど、すごく心を動かされるグループだなあと感じています。