その他の短編ズ「live at Shinjuku motion 2012.11.8」
その他の短編ズは福岡県で結成された板村瞳と森脇ひとみの二人によるユニット。
アコギ、カシオトーン等による演奏と、二人の声のハーモニーによって作り出された不可思議で幻想的な世界は唯一無二のもの。
弾き語りの曲から民族音楽のような曲、はたまた拙いダンスミュージックやヒップホップを思わせる曲まで、多様な楽曲に貫かれているのは初期衝動そのままのような歪な独創性。上手さはなくとも、独自のセンスで作られたハンドメイドの作品は、DIY・パンクのスピリットにも通じるものを感じる。
2012年の結成からコンスタントに音源を発表。東京を中心にライブも行っていたが、2019年に活動に一区切りをつけると発表。活動休止というわけではなく、各々のペースで短編ズの活動を行っていくというような趣向のもの。その後も数回ライブは行っているので、オファーがあったり短編ズでまたやりたいことがあれば今後も自分たちのペースで気ままに活動していくものだと思われる。
「live at shinjuku motion 2012.11.8」
2012年に発売された自主制作のCD-R。
タイトルの通り、ライブの模様が収められたもの。結成後2回目のライブだったそう。当時はギターとベースによる編成だった。楽曲もサイケ色の強い曲が多いが、随所にその後花開く短編ズの独創性の萌芽も見て取れて聴きごたえがある。結成したばかりとは思えないほど曲自体のクオリティも高い。
1. ICE CREAM & BEETHOVEN
サイケに揺らめくサウンドとポエトリーリーディングが夕暮れの景色を映し出すよう。聴いているうちにその情景に包み込まれていく曲。
2. 牧場と宇宙
ゆったりとしたサイケなサウンドに二人のボーカルが絡み、眠りに誘われるような、小さな宇宙を漂うような雰囲気のある曲。
3. ファンクと文章
軽快なビートに乗せて、二人が別々の出来事を物語っては交じり合う曲。緩さのあるビートにその後の曲にも通じる短編ズらしさがすでに表れている。
4. カセットテープ
後に「あの人」と改題される曲。歌詞は「あの人」とは違う。静謐で情感のある曲。
5. ディスコ3
ベース、ビート、キーボードと様々な効果音によるインスト。ベースラインはジャー・ウォブルを感じさせるようでもある。
6. 情報
異国情緒漂うオリエントなキーボードに耳を引かれるが、歌とギターだけでも十分魅力的な曲。一見不釣り合いなこの組み合わせが曲をより印象的にしている。
7. さいごの曲
歌詞は違うが、曲の作りはICE CREAM & BEETHOVENの別バージョンのような感じ。