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【インド映画】ランガスタラム(2018)

農村の理不尽な腐敗政治と戦う若き兄弟を描く
・・・だけじゃない、最後の10分で呆然!

  • 原  題:Rangasthalam

  • 邦  題:ランガスタラム

  • 公開年 :2018年(日本では2023年)

  • 言語  :テルグ語

  • 上映時間:174分

鑑賞方法・・・Amazon Prime(英語字幕)
総  評・・・★★★☆☆

映画の予告って、後で見ると何の脈絡もないつながりである意味おもしろい。毎度見たいと思わされちゃう。うまくできてるなぁ。


あらすじ

1980年代半ば、インド南東部の田園地帯に広がる「ランガスタラム村」が舞台。「プレジデント」を名乗る理不尽極まりない金貸しの村長に牛耳られ、村人は貧しい生活を強いられていた。

弟・チッティはそんな村に暮らす一人。難聴というハンディキャップを抱えながらも、お調子者の彼は家族と楽しく仲良く暮らしていた。

ある時、ドバイで働く兄・クマールは帰省の際に見た故郷の惨状に心を打たれ、プレジデントに立ち向かうべく村長に立候補することに。チッティも兄に協力して盛り上げるが、、、

このプレジデントは、自分の立場を揺るがす人間には容赦しない。クマールも例に漏れずその対象となる・・・どうするチッティ!?

感想

まず大前提として、日本で公開されると情報量が膨大。
あらすじやら感想・考察が日本語で読めて、色んなことを学べるので非常にベンキョウニナリマス。

ところで、日本での公開は2023年夏なんだけど、
ちょうど出産が重なり映画館では鑑賞できず。

ようやく、夜な夜なまとまった自分の時間が作れるようになったので、
真っ先に見た映画がこれ。

テーマは盛りだくさん!政治腐敗だけじゃない【ネタバレあり】

そう、ラストに呆然。

ネタバレするけど、兄クマールを殺した黒幕は、
実はあの極悪非道のプレジデントじゃない。

ネタバレするけど(2回目)、本当の黒幕は、 クマールの恋人の父・ダクシナ・ムールティ。  

低級カーストだったクマールと自分の娘が恋仲になるのが許せなかったらしい。

(余談)だからなのか、単に有名だからなのか、日本語版公式サイトのキャスト紹介でこのダクシナ役の俳優さんは上位。勘のいい方は、もしやこの人キーマン?と思っちゃうかもなので、この映画見る前にはキャスト紹介は見るべからず。

つまりこの映画、政治腐敗とそれに立ち向かう兄弟愛がメインテーマかなと思いつつ、実はカーストも(いやむしろそっち)重要な裏テーマだったのです。

あと後述しますが、チッティが恋仲になるもそれに反対する彼女の父親が描かれるわけですが、1980年代の農村部ということもあってか、やっぱり女性の立場では自由が限定されている。めっちゃ家父長制やんと。

兄の死後の、チッティの変わりよう・・・

兄が何者か命を奪われてから、チッティは復讐に執念を燃やす。(この時、呪術師めいた婆さんが、犯人の居場所をあれこれ言うんだが、そこにチャリンコで爆走するのがなんだか田舎の南インド感)

前半、あんなにお調子者で明るかったチッティが。。。怖

あともう一つ大きな変化は、補聴器をつけるようになること。

前半で描かれるお調子者チッティは、せっかく兄が補聴器を買ってくれたのに「難聴であることがばれるから補聴器なんかしません」スタンス。

で、聞こえてないけど適当に話を合わせたり、一緒にいる友達になんて言ってるか聞きまくる。(ちなみに、村人も、チッティにお願いをするときは大声で、文句を言うときは小声で話すところが描かれていておもしろい。)。

しかし、兄が死ぬ直前、たぶん犯人の名前を言ったんだけど聞こえなかった。そりゃ後悔of後悔だよね。

後味、かなり苦め

インド映画の好きなところの一つに、
「勧善懲悪で、見終わった後の爽快感!」があるわけですが、
本作は、後味かなりビター。

いやまあ、確かにチッティは目的を遂げるんだけど。

超人気俳優のラームチャラン演じる主人公・チッティは、みんなから慕われる当然キラキラヒロインなんでしょ?という先入観で見ていたので、それがいい意味で、利いてきた。

たぶんこの先入観があったからこそ、最後の10分がもうなんともはや。

途中、このおじさん誰?で混乱

ちょうど映画の中盤、いきなりチッティが病院で献身的に看病するシーンがあるんだけど、「いやいや、この病気のおじさん誰?」で混乱。

英語字幕ゆえか、私、全然内容わかってないんかい・・・
英語力の衰え酷いな・・・と嘆き、最初から見直そうかと思ったレベル。

まあ、当然最後の最後で伏線回収されるわけなんだが、
これがもう本当に最後の10分くらい(3時間級の映画なのに)。

チッティの恋愛ストーリーはそんなに盛り上がらず

冒頭、チッティは毒ヘビを追いかけている途中でラーマラクシュミ(いい名前ですこと)に出会って一目惚れ。

難聴であることを隠しながら彼女に近づき仲良くなる、、、シーンが前半あるけど、結果論ですが意外と蛇足感・・・(ごめんなさい)

せっかく思いが通じたかなというタイミングで、兄クマールの村長出馬により、"そんなプレジデントに反旗を翻すような家族とのお付き合いは許さんぞ"(by ラーマラクシュミ父)状態に。

こんな超ざっくりな流れなんだが、まあそこまで恋愛要素はなく、
サブサブストーリー的な感じでした。

とはいえ、チッティとのお付き合いに彼女の父が出張ってくるところとか見ると、女性の自由恋愛って制限されているのかな&ごりごり家父長制だなと思ったり。

主演のラーム・チャランってマガディーラの人なの!(驚

今回の主演、ラーム・チャランが「RRR」の英雄の一人を演じた役者さんであることはもう宣伝で耳ダコ。(それにしてもRRR旋風すごいよね)

もちろん”勇者を称えよ”でおなじみ『マガディーラ』の人!
というのもよく読めば書いてあるんだけど、いまいちパッとせず。

でも今確認したら、やっぱりそうなんだと認識(当然。
10年経って、イイ感じに渋みが増されてるぅ~もう一回見ようかな。

マガディーラ
http://www.baahubali-movie.com/theater_maga.html

もっというと、チッティの恋人・ラーマラクシュミ役のサマンタさん。
タミル語・テルグ語両映画界のトップヒロインらしい。

だから、ちょい役(失礼)なのに日本語版公式サイトでキャストで2番目に紹介されてるのね。

こちらも、蝿に転生して復讐する『マッキー』の美女・ビンドゥの俳優さんだとは。全然わからなかった・・・

最後に

南インド映画にあるある、ちょっと暴力シーン多めです。

もちろんチッティは無敵で最強なわけで、手下たちは雑魚すぎるので、安心してみられるけど、ほぼ素手(武器も農具とか)で戦うので、結構痛々しい。

なんせ最後のどんでん返し、というか、伏線回収、というか、
裏テーマド・ドーーーーンで興奮収まらず。

寝る前に見るにはちょっとヘビーな、でも見ごたえ大アリな映画でした。







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