#02 note更新、早くも行き詰まる
「次のnoteに載せる文、まだ?」
私のnote記事の編集長である娘のアンジュに促された。
いきおいで始めたnoteだったが、早くも行き詰っていた・・・。
いや、それには深い訳があるのだ。
私は、インド古典音楽の素晴らしさを後世に伝えるつもりで、前々から文章を書き溜めていた。
その名も【北インド古典音楽盤文庫】。
若い頃インドや日本で購入した、インド音楽のレコード盤を紹介しようと試みたのである。(当時CDは店頭販売していない。)
ある程度溜まったところで、アンジュとカミさんに読ませてみた。
彼女たちは夢中で読みふけっていた。とても静かに・・・。
私の隠れた才能に驚いているのだろう。
私はコーヒーの香りを楽しみながらゆっくりとカップに口を付けた。
その時だった。
「全然おもしろくないよ!」
「こんなの誰も読まないよ!!」
・・・と、ふたりしてデカい声を張り上げるので、思わずコーヒーを吹きこぼした。
「ど、ど、どうして?」
「だって、そもそもインド音楽なんて誰も知らないじゃない!書いてある単語もわけわかんないし!」
「だ、だから、それを知ってもらおうと思って・・・。ミュージシャンやインド音楽のことを・・・。」
「ていうか全然引き込まれないんだよね~。レコードのことよくわかんないし。今流行りのRRRと無理やり繋げたら?」
「で、でも・・・、パパたちの時代はレコードが・・・、レコードっていうのは・・・。」
半分、泣いていた。
私の年代の方々、もしくは先輩の方々は、”レコードへの偏愛”を抱く方が多いのではないでしょうか?
新譜1枚のレコードに友人が集まり、酒が入り、関連するレコードを次々とかけていくうちに朝になっているという経験をした方も、沢山いらっしゃるのではないでしょうか…?
私が目を閉じてコーヒーをすすっていると、
「あんたはインド生活が長かったんだから、旅行記も一緒に書けばちょっとは面白くなるんじゃない?」
とカミさんが言うので、何時間もかけて書き直し、次の日に見せると、
「こんなありきたりな文、誰でも書けるわよ!インド人はテンション高いとか書いてるけど、そんなのみんな知ってるから…!新鮮味ないから…!ハハハ」(カミさん)
「なんかさ〜、全体的に固いんだよね~。もっと一般の読者を意識してさあ~…。」(娘)
私はうつむきながら、
「もう…イイヨ!もう書かないよ!もう金輪際お前たちとはしゃべらない!」
「しゃべらないでどうやって生活するのよ」
「しゃべらなくても生きて行ける!本気だからな!」
「もうしゃべってるじゃん」
「今からだよ!今から!!」
とんでもなく低レベルな夫婦喧嘩をしているのを見るに耐えかねた娘は
「ま、まあ・・・パパのブログなんだし、好きなように書いてみれば? 私も協力するから・・・。」
と助け舟を出してくれた。
「おっ、わかってくれるか?」と、思わずニンマリ。
「そうなんだよ、だからさ、ユーチューブやCD紹介じゃダメなんだよ。昔買った思い入れのあるレコード盤で、インド古典音楽の素晴らしさを紹介したいわけ。それにはまず、そもそも当時レコードに録音するという事が、歴史的に見てどれ程重要な事なのか理解しなければいけないと思うんだよね!!!」
と言いながら、ダメ出しされた文を全く直さず娘に渡した。
もしも、もしも…、家族にさえ相手にされず、非難を浴び、何度もダメ出しされた「北インド古典音楽盤文庫」を読んでくださる方がいらっしゃいましたなら、そして、紆余曲折してお届けできることになった私の思いを、つたない文章の中から汲み取っていただけましたなら、とても、とてもうれしく思います。
※次回から文体が大幅に変わります。