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Chap1.インドは中国に追いつくのか①
インドって中国ほど成長しないのではないか?ということに驚き、がっかり(企画倒れか?)されるかもしれません。
ただその可能性は高い、というのが私の見立てです。
(念のためですが、世界2位の大国である中国ほど成長しないだけであって、インドのポテンシャルは莫大でしばらく高成長が続きます。インド、じゃあダメじゃんとは思わないでください。その理由も追々説明します)
その鍵を握るのが、①「内需」と「外需」②製造業とサービス業という2つの考え方です。
言い換えると、人はモノ・サービスを提供してお金を稼ぎますが、
①Who: 客はだれか(自国民か?それとも外国人か?)
②How: どうやって稼ぐのか(モノを作作るのか?モノ以外で稼ぐのか?)
ということになります。
日本・アジアの新興国はどうやって成長したか
インドの実力値を知るために、日本やアジアの国がどう成長したのかを見ていきましょう。
日本は、一昔の教科書に書いてあった通り、加工貿易(資源を輸入し、より付加価値のある工業製品を輸出する)で稼いできました。
戦後、貧しかった1億人程度の人口の島国の住人だけを相手に商売していたのでは、購買力が弱く話にならない。
そのためより高い値段で買ってくれる外国(特にアメリカ)をお客さんにして、綿織物や鉄鋼、そして自動車を売って稼いできました。そこで稼いだお金を国内に流し込み、191人あたりの所得が先進国の水準を実現してきました。
より極端なのが韓国です。
5,000万人しかいない(&日本より貧しかった)国内経済を相手にしたのでは成長できない中、サムスンや現代のような巨星が現れ、造船、家電や半導体を海外に売っていくことで1人あたりの所得を上げてきました。
近年も、サムスンの半導体や液晶、HYBE(BTS, New Jeans)などのエンタメ、韓国コスメが世界的に成功し、2024年には韓国は1人あたりGDPは日本を抜くと予想されています。
中国はどうでしょうか。
中国は13億人近い人口がいて内需の規模も桁違いですが、それだけでは、国民の大部分が先進国並みの所得を持つレベルには達しません。
そのために、世界の工場として圧倒的な量で鉄鋼、電化製品(液晶や太陽光、通信機器)、最近はEVを世界に売って稼いでいます。
その結果、中国沿岸部は経済成長し、日本人など目じゃないレベルでの高所得者層が集まる場所となりました。
(近いうち、インドと比較した中国の経済分析もします)
つまり、①モノを作り、②外国のお金持ちに売ることで、結果的に国内にお金を流し込むことで、自国内でぐるぐるお金を回すだけでは実現できなかった(先進国並みの)所得水準にまで実現できるようになりました。
14億人のインドのモノの輸出力は、1億人のベトナムと同程度?
それではインドはどのようになっているでしょうか。
結論、インドは、アジアの他の国が実現したような製造業によって外国から稼いでいくことができていません。
インドの製造額(GDPベース)でいくと、絶対額で言えば韓国より大きいですが、対GDP比(%)で言うと、13%と小さいです。
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そして、モノの輸出額を見ていくと、インドは近年「大国」と吹聴される割には、ベトナムと同程度の水準しかありません。
つまり、インドで製造したモノの多くはインド国内で消費され、海外に売られることはないのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1729704461-vXQPz5pKJfi7sAGxrOVUDcCL.png?width=1200)
これは日本企業の工場が中国や東南アジアなど海外にあって日本国内に少ないためです。
またGDPに占める消費の比率も高く、家計消費の比率は61%と6か国の中でトップ。中国と比較すると、インドの経済がどれだけ国内消費に依存しているか際立ちます。
(余談:日本も意外と大きい、、、特に政府がいっぱいお金を使っているのが分かりますね、、、)
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最終消費は、一般家計+政府部門の消費になります。
輸出が国の経済活動の規模に対して小さいと、この比率が高まります。
お分かりいただけたでしょうか。
このようにインドは、中国や韓国、そしてベトナムなどと比較して、国内の経済に依存している割合が高い一方で、モノを売って稼ぐことができていません。そのために、インドが高い所得水準になるのは簡単ではないという根拠の一つになるのかと考えられます。
あれ?ここで、インドに詳しい方は「インドはモノは輸出しなくても人・サービスで稼げるじゃないか」と思うかもしれません。
その通りです。でも、それではやはり不十分ではないか、と考えられます。
これについては次回、「インドは中国に届くのか② サービス業の限界」で触れていきます。
インドブログ プロフィール(詳細はこちら)
愛知県生まれ。
日本企業向けに、インドへの進出支援・事業戦略コンサルタントをしています。インドの経済をマクロ・ミクロな観点から、分かりやすく伝えていきます。趣味は登山。好きなインド料理はチキンティッカとゴア風カレー