腕時計はなぜ左手にする?
腕時計はなぜ左手につけるのが一般的なのでしょうか。これは、時計の進化と人間の生活習慣の組み合わせから来ています。早速、行ってみましょう!
”腕”時計になるまでの軌跡
18世紀まで、時計は大きくて重いものでした。そのため、持ち歩く場合、主に懐中時計としてベストのポケットに入れていました。鎖で身に着けられ、時間を確認するたびにポケットから出して確認する具合に。18世紀の末から懐中時計を小型化して、”腕”時計が作られるようになっていくのです。
理由は人口分布?
このように時計は技術の発展とともに、人々は利便性の恩恵を受けることとなりますが、いくつかの制約がありました。その大きなものとしては、精密なメカニズムが故に、衝撃に弱いことです。
日常的な動作だけで、時計の故障につながりえました。小さな細かい部品が100もある腕時計にとっては、それでも大きな衝撃です。
そこで、時計メーカーや販売店は、腕時計を衝撃に強くする試行と、そもそも衝撃を減らす方法、両方を考えました。そこで、利き腕でない手、つまり多くの人が右利きであることから左手への装着を推奨しました。Apple WatchやFitbitを含む、先端ウェアラブルも「利き腕の設定」があるように、利き腕とそうじゃない腕の動きは、実際は大きく異なるということですよね。
多くの人が右利きであること、左手が比較的動かないこと、という至って合理的な理由だったんですね。左手に装着することで、時計を保護し、より正確に時間を追跡することができるようになります。
考えてみると、この人口分布は、日常生活の多くの側面に影響を与えています。右利きの人のために設計された慣習や製品は非常に多いですよね。
ハサミ:ハサミの刃は右利きの人が使いやすいように配置されており、左利きの人が使うと切りにくい場合が多い
楽器:ギターやバイオリンなどの楽器は、右手で弦を弾くか弓を引くためように作られている
スポーツ用具:野球のグローブやゴルフクラブなどのスポーツ用具も右利きの選手を主な対象
コンピューターマウス:マウスはの多くは右利きの使用者を基準に設計されている
時計に話を戻しましょう笑。左手に付けるように作られた、その証拠として、時計のりゅうず(時刻や日付の調整、ゼンマイの巻き上げなどを行う、時計の側面にある小さな突起部分)は左手に装着した際に操作しやすいように時計の右側、”3時の位置”についていることが一般的となりました。
これからは右手?左手?
ただ、その慣習も薄まりつつあります。技術革新が進み、1970年代にはクオーツ時計・デジタル時計が登場しました。これらの時計は、部品の数が少なく、耐衝撃性も高いため、従来のように衝撃に配慮する必要が少なくなりました。その結果、時計のりゅうずを操作する必要が減り、右手に装着しても特に不便を感じることはなくなりました。なので、今も左手に時計をつける人が多いのは、歴史的な経緯の名残と言えるでしょう。
おわりに
左手に時計をつけることが、ただの慣習ではなく、技術的な理由と実用性に根ざしていることを知ると、時計を見るたびに、その小さな機械がどれほど多くの思考と試行錯誤を経てきたかを感じることができますね。
僕たちが今つけている時計が今の形になるまでに、壁にぶち当たって、その都度考えぬかれた結果が残っていると知る、もっと深く知りたくなってしまう。