選挙と分断と未来と。
都知事選が終わって、この暑さでそれどころでもなくなり、立ち直ってきたように思います。
街宣の熱気と、ひとり街宣に立ち上がった人たちの思い、
結果が振るわず3位となったことに対するSNSやメディアの嘲笑。
蓮舫さんの予想外の2位、石丸さんのテレビでの言動。
一連の騒ぎが、数日だけでなくしばらく続きました。そうしているうちに、米国大統領選の劇的なカマラ・ハリス副大統領の立候補表明。
選挙の記憶として書き残しておきます。
熱狂の街頭演説の現場で
「都知事選は人気投票だから。」と言いたくなるほど、政策論争が乏しくイメージで投票する、投票しないと決めた方が多かったようです。
それでも、投票率は60.62%と想定より高く、平成に入ってから2番目に高かったとのこと。この暑さの中で、投票所に足を運んで、わざわざ名前を書いた人や、白票でも投じた人がいたということです。
私はなるべく行けるとき、選挙戦後半はほぼ毎日、蓮舫さんの街頭演説の場に駆けつけて、チラシ配りの手伝いをしたり、誘導の手伝いをしていました。
後半になるにつれて、配るチラシがどんどんなくなっていき、プラカードを掲げて熱心に聞き入る女性たちが集まって来て、拍手も熱を帯びて、街頭で演説をするだけなのに、すごいことが起きている!とそう思えるような現場でした。
また、地元、高田馬場や新宿駅前では、SNS見てますよ、がんばってねとお声がけくださった方たちも。暑い中で夢中で配っていたので、本当に励みになりました。嬉しいお声がけをありがとうございました。
それでも現職知事は強力で、結果、新宿区では、小池都知事が約6万3千票、石丸さんが約3万9千票、蓮舫さんが約2万9千票と、区内の結果にがっくり。
小池さん、蓮舫さんにも入れたくないという方を説得しきれずに、石丸さんに票が流れてしまったことが考えられます。
一昔前まで、女性が知事になることは想像もできなかったのが、女性かつ外国ルーツの人が候補者に。東京都の多様性を表す候補者でもあり、厳しい選挙に挑戦してくれた蓮舫さんに感謝しかありません。
私が新宿南口で応援した時に、差別をしない人に都知事になってほしい、と言ったことは今でも変わっていません。
選挙では、支持する候補者を応援する輪が広がるのに対して、対立する候補者に厳しく、時には激しい誹謗中傷に近い言葉を使う場面に遭遇します。
特に、SNS上ではそうした言葉があふれており、私が応援する投稿をしたところ、匿名のアカウントからの批判的なコメントがつくこともありました。
候補者だけでなく、周囲の人たちまでも傷つくような事があり、何のためにSNSを使い応援の輪を広げようとしているのか、逆の場面に遭遇してしまうことも。
言葉は人を傷つけ、人を励ましもできる
表現の自由は大事な権利の一つです。
表現の自由は民主主義の根幹をなすものです。
「私はあなたの説には反対である。しかしあなたがそれを発言する権利は命をかけて擁護する。」(タレンタイア『ヴォルテールの友人たち』1907)
この有名な言葉に表されるように、誰もが自分の考えなどを伝える、表現について規制されることがない権利を守る必要があります。
一方で、ヘイトスピーチは規制すべきという議論があります。
アイデンティティに関すること、人種や性別のことというもって生まれたことで差別は許されません。
そして、その差別的で憎悪をかきたてる表現を、SNS上で拡散することによってさらに差別や暴力を扇動することになりかねないため、表現の自由の例外として規制されると考えます。
選挙では、誹謗中傷が飛び交う残念な場面や、差別的表現が許されてしまう事があり、今回は特にポスターなどで差別的内容を掲示することなどが目立ちました。
こうした誹謗中傷や差別的表現が、トランプ元大統領が当選したポピュリズム政治(大衆迎合主義)の台頭で一般的になりつつあるのではないかと思います。2016年、アメリカ・ファーストで当選し、メキシコとの国境に壁を作るなど、アメリカ社会の分断を深めたと言われます。
ハリス副大統領の出馬表明にあたり、選挙演説の様子などがニュースがオンラインで次々と流れてきています。そこでは、両陣営ともに相手の批判を真正面から行い、時には上品とは言えない(トランプ陣営側はかなりですが)言葉が使われます。落選運動も盛んに行われます。
日本の選挙では、相手方を貶めるようなことは好まれず、落選運動を手掛ける人も少ないのが現状です。村社会的な中では、いくら敵方とはいえ顔見知りかつ、選挙後は村の一員として活動していかなければならないから、とも考えられます。
東京15区の選挙では激しい選挙妨害を行う政党が現れ、都知事選ではポスターをビジネス利用する政党が現れ、切り取り動画でイメージを拡散するといった候補者が現れ、日本の政治でも、多様な候補者が出てきています。
近年の選挙は、もともと生まれつつある社会の分断を、さらに深めてしまうことが見られるようになりました。この分断を修復し、あらたに社会をより良いものにしていくことが、当選した人の役割ではないでしょうか。
都知事選挙が終わり、現職が継続するだけと考えるのではなく、着実に未来に向かって動いているのか、社会の分断を修復する方向に動いているのか、見極めていきたいと思います。
そして、アメリカ大統領選挙は、アメリカ初の女性大統領誕生となるのか注目しています。オバマ元大統領の誕生の際、黒人の大統領が誕生したインパクトは大きく、自分にも政治にかかわるチャンスがあるのだ、自分も夢をかなえることができるのだと勇気をもらった人たちがいます。スピーチで、自分たちの尊厳を獲得し、自信をつけることができるのです。女性大統領の誕生は、海を越えて、必ず日本の政治にも影響を与えると確信しています。
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