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これまでにありそうでなかった、医療と福祉の連携を目指す「東京ネットワーク会」を立ち上げた話

「医療」と「福祉」は、一見すると同じような分野なので密に連携ができているものと考えられがちですが、多くの現場の方の意見を伺うと実はそうではないようです。

そんな中、こうした「医療」と「福祉」の乖離を埋めるべく、インクルード株式会社では双方の連携を目指して「東京ネットワーク会」を立ち上げるに至りました。

その経緯や先日行われたセミナー(対談)の様子について、立役者となった経営企画部の丹羽(にわ)さんにお話を伺いました。

編集部:(以下、「編」)
今回、福祉分野と医療分野の関係者が互いに情報や意見を交換し合える場として「東京ネットワーク会」を立ち上げられたとのことですが、どのような経緯で設立に至ったのでしょうか。

丹羽:(以下、「丹」)
もともと、福祉と医療はそれぞれが地域に根ざしながらも双方は「点と点」として存在しているだけで、それぞれに連携がないことが気になっていました。たとえば、医療機関の方々は「どの就労系サービスがどのような特色を持っているのか?」といった情報を把握することが難しく、そのため患者さんの相談に対して適切な福祉サービスへの移行に繋げることも困難なようでした。

言い換えれば、もしもこれらが互いに線として繋がれば、もっと当事者に適切なサービスを提供できるのではないかとの考えがありました

そんな中、あるメンタルクリニックの方と話す機会があり、「福祉と医療がもっと連携していかないといけない」という想いを伝えたことがあります。するとその方は、医療(クリニック)側が抱える課題として、就労や復職を支援する事業所の特色やソーシャルワーカーの取り組みなどを把握できていないという課題を話されていました。

編:
福祉(事業所)と医療(クリニック)のお互いが、それぞれ欠けているものを認識されていたということですね。

丹:
それに加えて、クリニックは福祉の分野との直接的な繋がりが薄いだけでなく、他のクリニックのソーシャルワーカーとの交流もないという状態でした。つまり、どことも繋がっていないというわけです。

これを聞いたとき、すぐにそれまでの自分の考えやこれから実現すべきこと、実現したいことが重なりました。それがきっかけとなり、クリニック側に就労や復職に関する情報を提供しながら互いに連携することを目的とした機会を立ち上げるに至りました。

編:
それが「東京ネットワーク会」ですね。
具体的な取り組みとしては、セミナーや対談を行うものと伺っています。参加者を募るにあたって、どのような方々を対象とされたのでしょうか。

丹:
参加対象としては、就労系の福祉サービス事業所や相談支援事業所、その他の関係機関の方々にお声がけさせていただいています。

福祉と医療が連携するためには、各々の考えを知ることが必要だと考えました。普段の業務を通じてだとなかなか深い話をすることができないので、まずは弊社インクルードと、提携クリニックであるSANCHAこころのクリニックが率先して対談という形で情報を提供するところから始めようと考えました。

編:
第一回の対談では、多くの方々の参加があったと伺っています。具体的にはどのような職種や専門性を持つ方が集まったのでしょうか。

丹:
クリニック側からは臨床心理士や公認心理師、福祉分野からは就労支援継続A型や相談支援事業所のスタッフ、企業側からは福祉のツールの開発・販売を行う企業の代表などにお越しいただきました。

編:
そのような方々が参加される対談を進める上で、特に強く意識された点などはありますか。

丹:
実は、対談の当日に話す内容については台本などを用意することはありませんでした。当日の参加者からの質問に対して、ひとつひとつお答えしていくという参加型の対談にしました。

編:
一方的に情報を提供するという形ではなく、参加者の疑問や質問、課題の解決を目指す形ですね。質問を引き出すために意識したポイントなどはあるのでしょうか。

丹:
意識したポイントとしては、「医療・福祉ともに普段は聞けないことを質問できる状況にする」という点です。一般的なセミナーでは参加者はどうしても聞き役になってしまうので、それを解消し、いかにして参加者が文字通り「参加する場」にするのかが課題でした。具体的な方法としては、入場の際に参加者にメモ用紙をお渡しし、議題に挙げたいテーマやご質問などを記入いただきました。

編:
集まったご質問の中で、参加者や各関係者に多くみられた共通の悩みや課題はありましたか。

丹:
共通の悩みや課題としては、福祉側はどうしても医療に対して連絡しづらいことが多く、距離を取ってしまうケースが多くみられました。これが原因で、医療と福祉の連携がなかなか進まないのが現状でした。一方で、医療側は福祉分野での就労系サービスの知識がなかなか追いつかず、患者への適切な提案ができていないという実態が浮き彫りとなりました。

もっとも、こうした課題の共有によって福祉サイドと医療サイドの連携に向けての大きな一歩になったという実感があります。

編:
対談の中で、特に大きな議論になった点などはありますか?

丹:
クリニック側から、「福祉サービスに繋げたいけどどのような状態であれば紹介できるのか」といった質問や、「そのためにはどのような情報があればよいのか」といった質問がありました。この内容が多くの方々の興味を集め、共感する姿も多くみられました。質問者は真剣にメモをとり、患者さんをイメージしながら話している印象でした。

こうした状況を見たときに、この対談での内容が医療の分野で患者さんに反映され、適切なサービスの提供に繋がるのであれば対談の大きな意味があるのではないかとあらためて実感することができました。

編:
対談に参加された方々の反応が、事前の想定よりも良かったということですね。

丹:
最初の内は、緊張からか発言はあまり多くはありませんでしたが、参加者の方々には熱い想いがあったので支援の話になってくるとどんどん意見が出てきました。普段から悩みなどを他の法人や医療・福祉関係者に伝えて一緒に考えるという機会がないので、こういう場は今後も盛り上がりをみせるものだと考えています。

編:.
「今後」という意味では、今回の対談に参加されていない方々に向けてもメッセージを発信していくことが大切だと思います。ぜひ、今後のネットワーク会や対談についてその可能性や魅力についてメッセージをお願いします。

丹:
参加者や関係者からは、福祉と医療の双方で悩みや課題に対して意見を言い合う場がないと聞いています。また、横のつながりもなくて孤独な立ち位置で仕事に従事されている方も少なくありません。

そんな中、ネットワーク会では事例検討なども行いながら交流を深めています。毎回、新たな気づきを得る方もいらっしゃいます。一方で、就労に関しては現場に深く関わるリアルな情報が届いていないという課題もあるので、引き続き福祉・医療の現状に対して連携を行うことで解決できる会でありたいと考えています

編:.
ありがとうございます。

では最後に、東京ネットワーク会としてこれから実現したいと考えていることなどがあればお聞かせください。

丹:
今回の対談を振り返って、皆さんにはまだまだ疑問に思うことや聞きたいことがあるのだと感じました。今回の対談に参加いただいた方々からも「また開催してほしい」との声もいただきました。今後は、さらに多くの関係機関や企業との対談も行いながら、よりリアルな現状について議論できる場にしていくことができればと考えています。

編:
今後もネットワーク会を通じて、多くの福祉関係者・医療関係者の結びつきを実現いただければと思います。

ありがとうございました!

【東京ネットワーク会に関するお問い合わせはこちら↓】
☎080-7420-7820
✉hiroyuki_sakashita@include-inc.co.jp
担当:地域連携チーム 坂下(さかした)



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