関東3県にも緊急事態宣言発出 どうする旅行/観光業コロナ禍2度目の夏
オリンピックは無事開催され、これからパラリンピックが開催される中、昨年からの新型コロナウイルスによって、引き続き旅行/観光業にとっては心が寒い2度目の熱い夏になりそうです。しかし本当にそうなのでしょうか?
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◇◆緊急事態宣言やまん延防止重点措置の違いを知ろう
この二つの要請。「最後のお願い」に聞き飽きた方がほとんどかと思いますが、今一度内容を確認して罰則対象にならぬよう気を付けておきたいところです。
この場では説明しきれないので以下のサイトをご参照ください。
新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房):
または
東京新聞:「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」どう違う? 首都圏3県など緊急事態宣言発令
◇◆休業要請があっても「とはいえ」論は現に存在する
旅行業ひとつとっても、個人事業の方もいれば法人の方もいます。
1名で活動している方もいれば、数千名で活動している旅行会社も存在します。
そして、個人/法人事業でも大きな取引ができる形態もあればそうでない形態もある。
法人では人数や資本金など様々な条件によって大企業、中小企業と分けられています。
ちなみに、今回の新型コロナウイルスにおいて、国や都道府県で打ち出している給付金や補助金などの対象のほとんどは、法人は中小企業、個人事業がメインです。
そこで旅行会社を苦しめるのは休業要請によって発生するジレンマです。
要請に従いたい”とはいえ”、全て従ってしまえば事業がつぶれてしまうから休業はしたくない方もいます。昨年受けた融資の返済も始まる方もいるようで、支援金や給付金は返済に回せば、事業を回すためには残らない方もいます。
昨年融資を受けた方は再融資を受けられなかったという方も…。
まさか、今年もコロナでこんなに大変な時期が続くとは思っていなかったからです。
誰もが予測できない状況下で、ビジネスの間口が急速に狭まり、鋭利な刃となり事業主の胸を刺すことになるとは思いません。
このような自転車操業以下の状態の事業者も存在している中で、事業をストップさせ完全なゼロコロナを目指すのは非常に難しいことは公にしなくても感じている方は存在しているかと思います。
旅行会社はお客様を各地の旅へ送り出すことがビジネスです。
そして観光地やそれに付随する業種はそのお客様がいるからこそ成り立ちます。
移動を制限されている中では、「旅行」はタブーとされてしまう為、そもそも1分1秒でも事業が成り立ちません。
◇◆旅行/観光業はエンターテイメント
身動きが取れない旅行/観光業の救世主として存在を大きくしてきたのが、今や60%以上のリピート率があると言われるオンラインツアーやVRトラベルです。
参照:【オンラインツアー実態調査】リピート率60%超、コロナ終息後の参加意向50%超、人気テーマは「ライブ中継」、参加目的は「旅の予習」がトップ
こういったITの技術を駆使し、どうにか生き残りをかけ奮闘している旅行会社さんも存在します。
筆者はオンライン/VR/リモートトラベルについては、やり方によってはアフターコロナのリアル旅行の未来に大きく貢献できるスタイルと考えているので否定はしません。
しかし、地元のお年寄りやIT弱者と言われる方がお客様である旅行会社はそう簡単にはオンラインやVRにシフトすることができないケースもあります。
そういった旅行会社さんは関連したサービスや商品等、新たな発想を心掛けているようです。
また、事業者がITに弱くシフトできないという現状もありますが、今やインターネットはライフラインの一つでもあるので、今後のためにもメールやオンライン会議が可能なスキルを積極的に習得し、ITを活用したビジネススタイルの可能性も視野にいれられるように準備すること(してもらうこと)を強くお勧めします。
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観光業を止めない 新商流で新規開拓や将来に繋がるサスティナブル集客
旅行会社や観光業には多くのスタイルやタイプが存在しそれぞれ異なったニーズに対応できるからこそ事業が成り立っているという部分があります。
もがいてばかりでは、結果として失うばかりになってしまいます。
現状として“どんな旅”がお客様の心を満たせるカタチなのかどうか。それを追求していかなくてはならない状況です。
ワクチンパスポートの申請も始まり、海外旅行の再開が近づいていることは間違いないと言えますが、実際いつかになるかまだ分かりません。その”いつか”をただ待っているだけでは、お客様の顔を忘れてしまいませんか?
どんな状況においてもお客様が選択できるサービスや商品を提供することが可能ならば、それはお客様にとって価値があると言えますし、笑顔にすることができるかもしれません。
事業者としてはこれに限ると思うのです。旅行業や観光業はまさにお客様を楽しませるエンターテイナーなのです。
あまりにも厳しい状況が続くことで、本来の旅行や観光の本質や心を事業者が見失わぬよう再認識することが大切です。
新しいサービスの導入で万が一、売上があまり良くなくてもゼロよりはマシなはずです。新しいスキルも身につきますし、磨きをかけることで事業の未来へつなぐことが出来ます。
そして、何よりもお客様との接点を持ち続けられるということが最大のメリットです。
この夏こそは、お客様に去年とは違った休暇を楽しんでもらおうと思うとワクワクしませんか?もし、今からでは間に合わないならば、秋や冬に向けてでも良いと思います。
◇◆まとめ
このまま支援金や給付金頼りだけでは何も始まりません。
コロナ禍での補助金や助成金の支援制度もあり、活用しながら新たなステージへ足を進めている旅行/観光業の方々も多く存在します。極端な話、コロナが去ればこの支援制度も無くなるわけですから今のうちにチャレンジしておかなければもったいないという考えもあります。
できる事とできない事が物理的にあるのも確かですが、“やればできる”を避けてはいけないと日々感じています。
誰でも新しいことを始めるときは「恐怖」や「不安」があると思います(以前のコラムでも言ったかもしれません・・・)。
しかし、それは、それだけ真剣に取り組んでいるからこその「証」です。
新型コロナウイルス禍、2度目の夏。バケーションを満足に楽しめない状況において、旅行会社や観光業は非常に苦しい夏を迎えています。
しかし、去年の状況を経験している分、この夏は旅行会社や観光業にとって大きく差が出るのではないでしょうか。
ライター:カイトマウリ (JOINT ONE)
コラム元:海外・訪日プロモーション専門広告代理店『インバウンド ONE』
https://www.jointone.biz/hanginthere-jpn-20210811/