僕の入院・手術体験記と、医療従事者への感謝、そして「#ゆいマスクプロジェクト」の紹介について。
本当は公にしようかどうか迷ったけど、新型コロナウィルス(COVID-19)により、日に日に深刻さが増していく医療現場に対して、自分なりに少しでも出来ることを、と思って記事を書き始めた。
誤解されないように先に言っておくが、コロナにはまだ感染していない。
「まだ」という表現を敢えてしたのは、もうコロナは僕だけでなく全ての人に身近な存在となっているため、かかってしまう可能性は十分にあると思うからだ。
僕自身のことである。
3月下旬から、左の下腹部に違和感があった。
左右と比較し、少し膨らみがあって、我慢できないほどでは無いものの、鈍い痛みが続いていた。
コロナも流行り始めていたので、病院の受診も躊躇ったが、日に日に気になっていったので、妻の薦めもあり、自宅近くの総合病院で見てもらうことに。
4月3日のことであった。
診断の結果は、「鼠径ヘルニア」。
いわゆる「脱腸」だった。
鼠径ヘルニアとは…
http://www.hosp.ncgm.go.jp/hernia/010/index.htm
放置し続けると、嵌頓(かんとん)という腸がお腹に戻らなくなる状態となり、腸閉塞や腸が壊死する場合もあるとのこと。
鼠径ヘルニアは病気というより構造的な問題であるため、自然治癒は期待できないということで、治療方法も入院をしての手術が原則とのこと。
主治医の先生からは、「まだ初期段階なので、手術は今すぐで無くてもいいが、どうしますか。」と言われた。
この僕、有難いことに、これまで36年間生きてきて一度も大きな怪我や病気をしたことがなく、入院をしたこともなければ、手術なんて縁が無かった。
なので、大したことの無い病気で安心したものの、手術が必要ということで、内心かなりビビってしまった。。
だけど、「早いに越したことは無い!」と自分に言い聞かせ、先生に「最短で手術出来るとすればいつですか?」と確認した。
「週明けの8日です」とのことだったので、「では、それでお願いします!」と即答。
4月7日に入院し、4月8日に手術を行うこととなった。
入院初日は全身の検査を行った後、手術の説明を受けて、翌日の手術に向けて断食となり、早めの就寝となった。
手術では全身麻酔とのこと。しかも手術時間は意外と長く2〜3時間とのこと。
初めての経験となるため、かなり不安だったが、丁寧に説明をしていただけたので安心することが出来た。
手術当日、シャワーを浴びて、点滴をつなげられ、手術室に移動となった。
手術室に入ると、なぜかOfficial髭男dismの『宿命』が流れていた。
あ、確か昨日、「手術室では有線があるのですが、お好みの音楽ジャンルはありますか?」と看護師さんに聞かれていた。
その時は、「いえ、何でもいいですよ」と答えたので、勝手に「心の落ち着くクラシックなどが流されるのかな〜」と思っていた。
そしたらまさかのヒゲダン。しかも曲のタイトルが『宿命』…。
なぜ、その選曲・・・?
そんなこと、今から手術が始まるこのタイミングで聞けるはずがない。
“夢じゃない 夢じゃない 涙の足跡〜♪ 嘘じゃない 嘘じゃない 泥だらけの笑顔〜♪”
「はぁい、全身麻酔を始めますね〜」
先生のその一言が、手術室内での最後の記憶となった。
目が覚めた時には、妻が横にいてくれて、色々線がつながれた状態だった。
傷口に少し違和感はあったものの、大きな痛みも無く、手術は無事成功した。
手術の翌日お昼からはご飯もスタートし、徐々に起き上がって歩けるようにもなっていった。
当初は一週間くらいの入院と言われていたが、回復の状況も早かったようで、主治医の先生から11日の退院許可が下り、結果的に4泊5日の入院で退院することが出来た。
余談だが、こんなときのために納め続けていた医療保険で、入院・手術の費用はしっかりと賄えた。保険は大事ですよー。(保険業界10年以上の僕)
僕が入院していた病院では、外科病棟であったことからも、入院中、あまりコロナの影響を感じることはなかった。
「各病室の前に置かれているアルコール消毒液の替えの在庫が尽きた」という看護師さんの声が聞こえたくらいだった。
しかし…
4月11日に退院し、その約一週間後の4月17日に、傷口の抜糸のため再度外来で受診をした。
その時の病院の様子が、入院していた先週とは大きく違っていた。
入り口横には、「発熱者待機場所」と書かれた簡易テントが設けられ、何名かの方が距離を保ちながら待機されていた。
病院に入ろうとすると、来訪目的を聞かれ、その場で体温を測って、アルコール消毒をしての入室。
明らかに一週間前とは、緊張感も体制も大きく変わっていた。
主治医の先生に抜糸をしてもらって、「問題ない」とのお墨付きをもらった。
先生からは「早めに手術をして良かったです。今のコロナの状況を考えると、手術の時期を後回しにされていたら、調整が難しかったかも」と。
一瞬、ゾクっとした。
僕の鼠径ヘルニアという病気は、正直そこまで緊急性の高い病気では無い。
ただ、放っておくと悪化する可能性があり、治療方法は手術しか無いため、遅かれ早かれ、入院・手術が必要となる。
こういった緊急性が高くない病気については、この状況下において、おそらくどんどんと後回しになっていくだろう。
本来なら、すぐに対応できるような症状や病気でも、時間の経過と共に悪化していく可能性もある。
医療崩壊を身近に感じた瞬間だった。
今回、僕はコロナの流行が拡大していく中で、コロナとは関係の無い症状で、病院を受診し、適切に対応をしていただいて、入院・手術を経て、無事に回復出来たという経験をした。
平時では普通なことでも、有事である今、もしかすると奇跡なのかもしれない。
この経験は、僕自身の医療従事者の方々に対する感謝の気持ちを大きくすることに繋がった。
ここで本題です。
身近な方々が、沖縄県を中心とした医療従事者へ医療用マスクやガウンを届けるプロジェクトを立ち上げた。
ゆいマスクプロジェクト ~ 民間で沖縄の緊急医療支援 ~
https://yuima-okinawa.jp/project/detail/623
・もしも医療崩壊が起きたら多くの命が失われ、経済活動も再開できない。
・最前線で奮闘する医療従事者を感染から守るためには、医療用マスクやガウンが必要。しかし、価格急騰などの影響もあり、調達スピードが消費スピードに追い付いていない。
・平常時は全く問題ないが、本土に比べて小さな島は物流が弱い。
この課題に対して、医療業界チームと異業種チームがタッグを組んで、医療機関の資材調達機能が追いつくまで、医療従事者たちを応援するために、みんなで医療用マスクやガウンを届けるためのプロジェクト「ゆいマスクプロジェクト」を立ち上げた。
僕も僅かではあるが、出来る範囲の支援と、このような形でプロジェクトを広めていくことで、最前線で頑張っている医療従事者のために、微力ながら少しでも力になれればと思っている。
医療従事者へは感謝の気持ちしかない。
医療従事者やその家族を差別するなんて、言語道断だ。
リスクと常に接しながら、患者さんのため懸命に対応されている全ての医療従事者と、その方々を支えている全ての方へ、心から感謝申し上げます。
清き心で、このウィルスに打ち勝っていこう。
追伸:お腹の傷がまだ消えていないため、5歳の三男が怖がって一緒にお風呂に入ってくれないのが、少し寂しい…。
*INAZUMAN*