ガブリエル

イタリア語を日本語にするのが好きです。猫も好きすぎ。

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最近の記事

【イタリア文学】美しきアルトゥーロ

イタリアの女流小説家アマリア・グリエルミネッティAmalia Guglielminetti(1818−1941)が1919年に発表した短編集「無益な時間(Le ore inutili)」より、「 美しきアルトゥーロ Il Bell'Arturo」を訳してみました。 原文はこちら。 美しきアルトゥーロ  工学士のアルトゥーロ・デルニがはじめてそれを耳にしたのは、ある満月の夜の海水浴場だった。「美しいアルトゥーロ」そう呼ばれていると知ったのだ。  そのころアルトゥーロは、イ

    • 「ガンナ・スタイル」を語る

      今日から始まるジロ・ディ・イタリア記念! イタリアのピンク色した某スポーツ新聞が発行している某スポーツ週刊誌の春先にでた特集「ロケット・マン」をこっそり訳してみました。 * ”トップ・ガンナ”がスポーツ・ウィークに打ち明ける。
 几帳面で、料理上手、ストレスを感じたすべてを記録する手帳を持ち、芝を刈って薪を割るガンナ。そして今、「東京オリンピックで2つのメダル」を狙っている。

 (聞き手=シルヴィア・グエリエーロ/2月13日・ミラノ) フィリッポ・ガンナという青年を、

      • 【イタリア文学】パステルの肖像画

        イタリアの女流小説家アマリア・グリエルミネッティamalia guglielminetti(1818−1941)が1919年に発表した短編集「無益な時間(Le ore inutili)」より、「パステルの肖像画 Il Ritratto A Pastello」を訳してみました。 原文はこちら。 パステルの肖像画  あいまいな言葉ではぐらかす若い男と、次第に苛立ちをおぼえ執拗に問いつめる女の口論はもう半時間にもなっていた。ようやく男がこう告げた。

  「きみの言うとおりだ

        • 「わたしの写真を撮ってくれない?」

          イタリアの歌手 Minaのアルバムジャケットを1973年から担当しているMauro Ballettiさんへのインタビュー記事をみつけました。聞き手はMichele Neriという音楽評論家のようです。記事は2018年のもの。 やや長いのでインタビュー設問ごとに章分けしました。長かったり短かったり。(*)は訳注。 アルバム邦題など、詳しい方に教えていただき一部追加しました。 はじめにミラノ出身の写真家であり画家であるマウロ・バッレッティの広々とした白いロフトスタジオに足を

        【イタリア文学】美しきアルトゥーロ

          ミーナのメイクについて。

          先日、イタリアの某ファッション雑誌で、Minaというイタリアの超レジェンドな歌手を特集されていたのを知ったので。彼女のメイクについての小さな記事です。写真は拾いもの。(*)内は訳注です。  「わたしの師匠ステファノ・アンセルモは、70年代からずっとミーナのメイクアップ担当でした。40年間ずっと一緒に仕事をして、ミーナのアルバムジャケットを際立たせてきたあのクレイジーなビジュアルを形作ってきたの。ミーナのカメラマンであるマウロ・バレッティとは、彼女についてさまざまな本もつくり

          ミーナのメイクについて。

          JovanottiのPino Danieleへの追悼文。

          現在発売中の「MusicaVita Italia」誌でPino Danieleが特集されてますが、2015年彼の訃報に接して、当時、盟友JovanottiがFBに記した追悼文をいまさらですが訳してみました。(*)は訳注。 ピーノといると、口では説明しがたい現象が起きたものだった。彼といたら数分もしないうちに、ちょっとナポリ風のアクセントで話している自分に気づく。まじめな話、いちにち一緒に過ごしていたら、夕食が終わる頃には「uè(*ciao)」だの、しまいには「guagliò

          JovanottiのPino Danieleへの追悼文。

          自由というぼくの旅

          以下は、某イタリア雑誌の記事を訳したものです。イタリアの大人気歌手ジョヴァノッティJovanottiことロレンツォ・ケルビーニLorenzo Cherubiniが本年1月から40日間ひとり自転車で南米ツーリングをしたときのことを中心にインタビューに答えています。訳者がこの歌手の大ファンであるのと自転車ロードレースも好きなため、自身が楽しむために読み、訳してみました。 雑誌発売日は、新型コロナウイルスの影響がなければ、三大自転車レースのひとつ「ジロ・ディ・イタリア」が始ま

          自由というぼくの旅

          人生という鉱山を掘り当てにゆく者たち

          某雑誌より 編集長コラム ピエル・ベルゴンツィ もはやほんとうの自転車大使と言っていい。それだけではない、自転車への愛を説いて回る福音者だ。ジョヴァノッティことロレンツォ・ケルビーニ。私たち二輪の愛好者なら誰もが羨むアドベンチャーで、かれは旅への情熱、そしてペダルを踏むことへの情熱を爆発させた。今年の始め、チリからアンデス山脈を越え、ブエノス・アイレスまで風のように自由に疾走した40日間。永遠に続くかに思える道、現実とは思えない村々、犬やリャマたちのあいだをゆく4,400

          人生という鉱山を掘り当てにゆく者たち

          いま学びつつあること

          世界中でいま立ち向かっている新型コロナウイルス。 なかでもイタリアはかつてない困難にあって、 バルコニーに出て歌ったりする陽気さが話題になるなか、 現状はあまりに残酷です。 そんななか、イタリアのある人気トーク番組司会者ファビオ・ファツィオ Fabio Fazioがレプッブリカ紙に寄せた記事があります。 ファツィオさんは、誠実で温和なイメージ。カリスマ司会者とかでは全然なくて(番組の成功をみればまさにカリスマ的手腕なのでしょうが)、いかにも「いい人」といった印象のひと。

          いま学びつつあること