スプリンターズS

過去5年良馬場平均レースラップ

中山外回り1,200m。おにぎり型のコーナーレイアウト。
ラストの急坂まで下り坂が続くため、テン3F 33.0 前後の激流になりやすい。また、直線短い分、L2F目でしっかり再加速できること&急坂でもスピードを持続できることが重要。

過去5年良馬場平均レースラップ
 33.0-34.7=1.07.7 前傾 1.7

年別レースラップとクッション値
23年 33.3-34.7=1.08.0 (8.8)
22年 32.7-35.1=1.07.8 (8.9)
21年 33.3-33.8=1.07.1 (9.3)
20年 32.8-35.5=1.08.3 (10.4)

高速馬場が続く24年9月の中山競馬場。
金曜の雨の影響で、土曜のクッション値は先週比 -0.8 の 9.4。2勝Cの1,200戦が 1.07.9 の決着。天気は、レース本番までは曇り予報。本番は、1分7秒台前半で速すぎず遅すぎずをイメージして。



▼前哨戦ふりかえり

セントウルS

連続開催の中京。時計ややかかる&スローの1分7秒台後半。ク値10.0。

トウシンマカオは持味の加速力とTSを披露。内有利馬場と緩んだ展開に負けずの勝利。 ママコチャは苦手な寒い時期から一転。大外枠から格の違いを見せた。 ピューロマジックはL1Fで大減速。連勝時に見てた肉切骨断ラップが理想。


キーンランドC

12年以来の1分7秒後半の高速決着。ク値8.0。

サトノレーヴは+16kgも直線再加速で余力有。先行してこの加速力は隙がない。 オオバンブルマイは異次元の爆発力。 ナムラクレアは前哨戦+近走より激流の追走+接触。元々L1F失速率高めだが平坦直線で初馬券外。


チェアマンズスプリントプライズ

4月末、雨が続いた稍重シャティン。

ビクターザウイナーは道悪上り坂スタートを、下り坂中山並のテン2F 22.25 で逃げて大失速。マッドクールは1歩目遅れて中団も、1F目には先頭で同じく早々に離脱。 ムゲンは出脚が遅く展開が向いた。


高松宮記念

雨の影響で前日比-1.5のク値8.3。重馬場のパワー戦。
それでいて逃げ争いが激化せず、4角3番手以内が全て掲示板の前残り決着。

マッドクールは内有利な馬場から3番手上がり33.7。 ナムラクレアも同じく内から強烈に追い上げた。L2Fのトップスピードが道悪適性の差を示した。



▼有力馬見解(テンが速い順)

ビクターザウイナー

近走の個別ラップ

スタートがよく、テン1F実績では逃げ候補。鞍上はモレイラ。
L1Fの減速率が高めなので、序盤のリードを最後まで保ちたい。

[前走] ハンデG3のシャティンヴァーズ。ムゲンとの斤量は 9kg 差の 61.0kgで、24年5戦目のおつりなしな状態。

[2走前] チェアマンズSP。稍重で上り坂スタートにも関わらず、スタート下り坂の中山並のテン2F 22.25を逃げて大失速ラップ。


ピューロマジック

近走の個別ラップ

テン1F実績は11秒台連発。ビクターザウイナー同様、逃げ候補。
「逃げより何か新しいことを」という意図で鞍上が変更。よりによって典さん。

[前走] セントウルS。この馬にしては前半緩めて後半再加速する競馬。近2走は終始減速ラップの「肉を切らせて骨を断つ」流れで重賞連勝。苦手なのは再加速か坂か。それとも賞金持ちの前哨戦仕上げか。中山スプリントは中京に似た再加速戦。持ち味を活かして底力勝負に持ち込みたい。


ウイングレイテスト

近走の個別ラップ

近2走の距離短縮戦はいずれも59kgだったものの、テンのスピードは変わらず、ここでは番手候補。

[前走] アイビスサマーダッシュ。千直未経験馬の1~3着で、全体時計が近年最遅。レースレベルが疑問。トップハンデ59kgとはいえ、L1Fで1秒以上減速した本馬と減速を抑えたモズメイメイには差がある。

【2走前】函館SS。ここもL1Fわずかに減速した本馬と再加速したサトノレーヴ。


マッドクール

近走の個別ラップ

春の王者。テン1F 12秒台前半で番手候補。
中京3勝クラスで1分7秒台前半の高速馬場、高松宮記念で1分8秒台後半の低速馬場をこなし、基礎能力が高い。どちらかと言えばもっさりした挙動で、負荷のかかる質向き。

[前走] チェアマンズSP。1歩目で置いていかれて中団スタートも、1F目を過ぎる頃には先頭。稍重上り坂でテン2F 22.5 は暴走で早々に戦線離脱。しっかり投げ出すのがこの馬質らしい。

【2走前】高松宮記念。好位から道悪を苦にせず、L2Fで10秒台後半まで再加速できるパワー。内有利な馬場の手助けもあった。ペースも適性もマッチした結果で、秋の今回2番人気なら過剰という評価。


サトノレーヴ

近走の個別ラップ

12秒台前半の先行力と直線で大きく再加速できる点が持ち味。
鞍上にレーンを配して必勝態勢。調教の動きも目を見張るものがある。ややパワーに振れて、外枠&格上げな分、単よりも複候補。

[前走] キーンランドC。賞金持ち&馬体重+16kg増の前哨戦仕上げもなんの、直線で再加速できる余裕のある勝利。先行しながら加速されると、以降の馬はなすすべがなく。

【3走前】春雷S。このレースはスプリンターズS好走馬を多く輩出。1分7秒台前半の高速決着で、9月の高速野芝中山にリンクしやすい。4角でしっかり加速できる証明。


ママコチャ

近走の個別ラップ

テンは 12.3 前後でスプリント界で先行できるレベル。
寒い時期は身体が動かないようで、真冬の阪神カップと重馬場付き高松宮記念は評価を下げなくて良い。

【3走前】スプリンターズS。直線の再加速はできるものの、先行脚質な分だけ減速が大きい。早めに抜け出して他馬にも脚を使わせた。


ウインマーベル

近走の個別ラップ

2桁着順が続いていた頃のゲート難が改善し、着順が安定。
L1Fの踏ん張りが効くタイプで、好走時は出走メンバーとの相対的な位置関係(先行)に依存する。内枠好位で粘り込みを図りたい。

[前走] 京王杯SC。3連勝中の1,400m戦では異質のスタートの遅さ。距離短縮を控える前哨戦としては最悪。ただ、L5F 55.5 の鬼脚で、持続力の高さは目を見張る。

【2走前】高松宮記念。以前から道悪は苦手で、「ノメってしまってやはりダメでした。」と敗因明確。

【4走前】阪神C。スプリンターズSで求められる質と酷似していて、懸念のテンのスピードも先行できるレベル。


モズメイメイ

近走の個別ラップ

高松宮記念のゲート失敗から差し競馬にならざるを得なくなったものの、重賞3連続好走と転機に。後方=キレ勝負ではなく、北九州記念のような激流からの粘りこみタイプ。ただ、3走いずれも恵まれた形で、格上げ&加速力戦は評価下げ。

[前走] セントウルS。内枠有利な馬場状態で、大外&休み明け途上のママコチャとほぼ同ラップなら、評価はそれなりで。

【2走前】アイビスサマーダッシュ。メンバーレベルの低さ&得意の耐久戦での勝利で恵まれ評価。


ナムラクレア

近走の個別ラップ

2歳から一線級で勝負し、5歳秋。
テンのスピードは、3~4歳時よりも0.3~0.4秒ほど遅くなり、L1Fの落ち込みも相対的に高め。それが示すように、好走は弱点を相殺する直線平坦G3戦と時計のかかるG1。

[前走] キーンランドC。休み明け&近2走よりテン3Fが1秒以上速く、キツい追走体験。直線壁&接触で負けた理由はあるものの、4角で意図せず脚が溜まった割には減速フィニッシュ。

【2走前】高松宮記念。道悪でしっかり好走した分、前走との合わせ技でスプリンターズSへの関連性がないという判断。


ルガル

近走の個別ラップ

骨折明けのぶっつけ本番。
近走はスタートが改善し、うまく決まればここでも先行できるレベル。戦績は京都・新潟の平坦経験が多く、中京や中山のような急加速/急坂戦は経験不足。

[前走] 高松宮記念。自身のラップは、すべての区間で逃げたビクターザウイナーを上回れなかった。骨折のタイミング・重馬場・不慣れな急坂と負の要素が重なった。

【2走前】シルクロードS。快速娘テイエムスパーダに逃げを譲るほどのロケットスタートを決めて完勝。直線突き放しているものの、スピードを維持し続けた持続勝ち。


トウシンマカオ

近走の個別ラップ

近走の重賞勝ちは、直線でしっかり加速して突き放す形。
この加速力は、中山の舞台で大きなアドバンテージで、すべてを飲み込むポテンシャルを持つ。

[前走] セントウルS。ここでは、加速→維持性能は抜けていた。前哨戦+バランスを崩しやすい左回りでこの勝ち方なら、次走へ追い風。


オオバンブルマイ

近走の個別ラップ

初の1,200m戦で圧倒的な持続力とトップスピード。
不安な追走力は、一度経験したことで上昇を期待。鞍上のタイプ的にも、極端な戦術のハマり待ちに構えそう。


ムゲン

近走の個別ラップ

スタートが遅く、このメンバーでは最後方想定。
G3のハンデ重賞を軽斤量で勝ってきた馬で、個体能力に疑問。ビクターザウイナーに2度先着しているものの、チェアマンズスプリントプライズは超ハイペースの展開ハマり、シャティンヴァーズは斤量差9kgで強く推せない。L1Fの減速も大きい。


隊列想定

後方組が内、先行組が外。誰も得しない難解な隊列。

ピューロマジックの戦術で色々あるものの、スタートのダッシュ力があるのは間違いない。ある程度の区間はビクターザウイナーと並走して、それなりのペースという見立て。

むしろ、内に切り込む逃げと少しでも前につけたい先行勢のゴチャゴチャが、窮屈な展開を生むのではないか。


◎ウインマーベル
〇サトノレーヴ
▲トウシンマカオ

ウインマーベルは、絶好枠で前に馬なし。不振期に比べてスタートが改善し、スプリンターズ連対時並に戻った。スタートの良さは、重賞3勝の成績にも繋がっていてGood。1,200mへの適性は、阪神Cのペース/加速→維持の流れがとてもマッチしている。

サトノレーヴは、連軸安定の先行加速力。未知の魅力の1番人気。トウシンマカオは随一の爆発力を推して単候補に。


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