尼崎市長時代の実績③「子ども子育て政策」
前の記事では尼崎の治安改善などの取組により尼崎のイメージが向上してきたことをお伝えしましたが、市長在任中、子どもや若者、教育の政策などにも力を入れてきました。今回はそれらの政策についてお伝えしたいと思います。
尼崎市の子ども子育て政策
尼崎の子ども子育て政策をまとめた動画がありますので、まずはそれをご覧ください。
この動画では尼崎市の小学校で行われている電子黒板やタブレットを活用した最新の授業の様子や南北保健福祉センターでの乳幼児健診の様子、保護者の皆さんからの声などが紹介されています。
すべての子どもをワンストップで支える
年齢の切れ目や部局の縦割りなどによって子どもたちの支援が分断されることがないよう2019年に子どもの育ち支援センター「いくしあ」をオープンしました。
ここには医師や保健師、心理士、社会福祉士などの専門家が配置され、発達障がいや虐待など困難な状況にある子どもや家庭をワンストップで支えることを目指しています。
また、子どもたちを継続的にサポートするため児童専門のケースワーカーも配置され、切れ目のない支援を行おうとしています。
全国初!基礎自治体による教育政策の研究所をオープン
2017年にはエビデンスに基づいた教育政策立案のため、「尼崎市学びと育ち研究所」を開設しました。近年、エビデンスに基づいた政策の立案(Evidence Based Policy Making EBPM)は全国的にも注目されていますが、尼崎市はそれに先駆けて研究を開始しました。
大竹文雄大阪大学教授を所長にお迎えし、主席研究員には慶應義塾大学の中室牧子先生にお就きいただくなど、全国から著名な研究者にお集まりいただきました。この研究所では子どもの学力や体力、健康などの学びや育ちについての本格的な研究を行っています。
自治体では限られた予算や人員のなかで、より効果的な政策に資源を投入することが求められます。そのためにはしっかりとしたエビデンスの研究が不可欠です。尼崎市はこうした取組によって、効果的な政策の実現を目指しています。
学力の向上と学校教育の充実
尼崎市ではかねてから子どもたちの学力が十分ではないという課題がありました。そのため、上記のように教育政策についての研究所を設置し、教育に関する取組について分析するとともに、文部科学省から教育長を招へいし、学校教育の充実に努めてきました。各学校では放課後学習や授業の合間を活用した短時間の「帯学習」などの実践を行い、着実に子どもたちの学力が上がってきました。いまでは、国が実施ている全国学力・学習状況調査においても全国平均レベルに到達しています。
また学力だけでなく、学校施設の充実にも努めました。私の在任中には市立小中高校の教室にエアコンを整備するとともに、老朽化した尼崎市立あまよう特別支援学校を新築移転させました。
全国からの注目される若者政策
尼崎市は子ども子育て政策だけでなく、若者政策でも全国から注目を集めています。2019年に開設した「尼崎市立ユース交流センター」は10代後半の若者たちの活動をサポートする施設として、連日、たくさんの若者で賑わっています。
また、若者の声を市の政策に反映させるため「ユースカウンシル」という取組を始めました。ユースカウンシルはヨーロッパなどでは広く行われている取組で若者が集まり、自分たちのまちのことについて考え、議論し、政策提言なども行う若者による会議体です。
私が在任中もこのユースカウンシルの活動を通じて、スケートボードパークの開設や校則の見直し、児童虐待への取組、ヤングケアラーへの支援などたくさんの提言をもらい、そのいくつかはすでに実現されています。
このような尼崎市の取組は全国からも注目を集め、多くの自治体などから視察が殺到し、市長退任後の2024年には当時のこども政策担当大臣も視察に来られました。
県内に3つしかない「子どものための権利擁護委員会」
私が市長在任中に市立高校において重篤な体罰事案が発生しました。そこで体罰やいじめ、虐待など子どもの権利が侵害される事象について、子ども本人や保護者などからの申立により、独立した委員が調査を行い、必要に応じて関係調整や勧告などを行う「子どものための権利擁護委員会」を設置しました。
このような委員会は全国でも少しずつ増えてきていますが、兵庫県内ではまだ3つしかありません。子どもを権利の主体としてとらえ、その権利をしっかりと保障していくことはとても大切なことだと考えています。
2026年、市独自の児童相談所開設へ!
上記のように尼崎市では子ども政策にかなりの力を入れてきましたが、困難な状況にある子どもたちの支援をさらに拡充するため、2020年に市独自の児童相談所を開設(2026年開設予定)することを決めました。
児童相談所は児童虐待や非行、発達などについて子どもの保護や家庭への支援などを行う施設ですが、従来、都道府県や政令指定都市が設置することとなっていました。その後、児童福祉法の改正により特別区や中核市も設置できることとなりました。
尼崎市は県内の他自治体と比較しても児童虐待の認知件数も多く、支援を必要とする子どもや家庭も多いことから、市独自の児童相談所を設置して子どもや家庭への支援をより効果的なものにしたいと考えています。
子ども・若者政策のさらなる充実へ
少子化の状況下において、子どもや子育て支援の政策を充実させることは非常に大切なことだと考えています。様々な政策のなかでも極めて優先順位の高いものだと思います。
一方で兵庫県全体で子ども、子育て、若者の状況を考えると、その課題やニーズも市町によってバラバラです。そのため県としては各市町が行おうとしている子ども子育ての支援策を財政的にサポートするような政策が求められているように思います。また、県内の高校生や大学生の経済的負担の軽減も非常に重要です。
未来を担う子ども、若者を支援することは、まちの持続可能性を高めることです。県においてもしっかりと子ども、若者を支える取組を推進していきたいと思います。