広辞苑に載ってない日本語②:サスケ
鎌倉駅から由比ヶ浜の方へ南下する道を歩いていて、佐助川という川を渡った。
佐助、というのは日本人の名前から来ていると思われるが、それぞれの漢字の意味を考えてみると名前としては少しく妙に思われる。
佐、という字は、「補佐」「大佐」「開国佐幕」などに見られるように、たすけるという意味の文字である。
助、もまた言うまでもなく、助けるといい意味である。
つまり、佐助というのはどこまでも人を助けてばかりで、全く主体性のない名前なのである。
といっては論理の飛躍があるかも知れないが、少なくともこの名付けに、最初から主役を狙え、という主張はない。
最高の名前を付けたい一心から時に奇怪な名前を生み出してしまうきらいのある現代人からすると、理解に苦しむ命名なのではないか。
サスケ、といえば現代の若人にとってはナルトのうちはサスケの印象が強いと思われるが、おそらく当キャラクターも影響を受けたと思われる猿飛佐助が最も古典的なサスケであろう。どちらにせよ忍者なので、サスケ、という音を聞くと忍者的イメージが想起される読者も多いと思う。
猿飛佐助は真田十勇士の筆頭として知られるが、江戸時代以降の全くの創作という説と、実在した忍者がモデルになっているという説がある。後者においては、秀吉の天下取りを助けた猿飛仁助、下柘植の木猿の異名を持つ上月佐助、真田幸村の側近であった三雲佐助賢春などがモデル候補らしい。たしかに、名前と良い素性と良い、猿飛佐助というキャラクターが形成されるときに何らかの影響があったには違いないと思われる。マリリン・マンソンのように名前を組み合わせたということも考えられるのではないか。
と、忍者好きなので話が脱線してしまったけれども、要するに何がいいたいかと言うと、忍者の名前には少なからず佐助、というのがあり、一方武将や武士にはあまりみられないのである。つまり、やはり佐助というのはあくまでも裏方的な名前で、それがかえって忍者の独特な覚悟や矜持の表れなのではないかと感じるのだ。後世まで名の残る佐助たちの他に、人知れず歴史の闇を跋扈した佐助がどれほどいたのだろう。
…ところで、忍者って後世まで名前残っていいのだろうか?