【イナカの家と住人のこと(2024)】⑤新たな個性が顔をだす
無事に中学を卒業し、
高校の入学式を待つ間わが家は大忙しでした。
その理由は、
初めてのお引越しがあったから。
①でさらりと触れましたが、
それまでは人の出入りする環境で育ってきました。
そもそもは祖父が作った環境で、
敷地内に身内も暮らし、事業をしていたことから仕事関係の方々が寝起きすることも。
その祖父は私が生まれ半年後に他界しましたので全盛期は知りません。ですが事業は叔父が続け引き継がれた人の多い環境の中で育ち、子供ながらではありましたが自然に人の表(行動)裏(心)を客観視してもいました。
時がたち、
幸か不幸かその客観視の答え合わせをすることに…
叔父は根っからの職人で経営は他の方に任せきり。不穏な状況に気づいた時には縮小せざるをえなくなり、私たち家族は父の職場の社宅がお隣の市(今は合併して同市)にあったのでそこに移ることになりました。
個人的にはそのトラブルを通して様々な立場の方の動向がうかがえ、一般的にいわれるところの人を見る目(善し悪しではなく)のチェックをさせてもらうことができました。
ちょうど初のお引越し&核家族生活のスタートと高校生活のスタートとが重なったので、私としては慣れ親しんだ所から離れる寂しさよりも、何もかもが目新しい生活にワクワクでした。
その新居はコンクリートでできたエレベーターなしの5階建て集合住宅の4階。それまでより空がぐっと近くなり、私の部屋となった場所からは南アルプスの山並みが見えていました。
そしてなんと、新居から徒歩3分もしない場所にスクールバスの停留所まで用意されていたのです。
ほぼdoor to door 。(笑)
これで通学は安泰!…のはず!?
なんとか家の中は生活ができるくらいまで片付き、問題なく入学式も終えられ、いよいよスクールバス登校開始。
ですが前日の夜、なぜか急に不安に襲われ…
すぐに探ってみたところ、
バス停といっても目印もなくただ停まってくれるだけらしい、まして新天地で知り合いもいない、大丈夫かな…そんな思いが見つかりまして、
どうしても気が向かなかったので、
早起きして土地鑑があり知った顔のいる元住む場所から出るスクールバスに乗ることにしました。(笑)
弱々で勇気出ずの選択をしたとの思いはあったものの学校には難なく到着。
しばらくしてクラスの朝礼の時間になったのですが、
まだ2人登校していないことが発覚。
先生は疑問を持ちながらも進行していたところに、遅れてその2人が到着。
教室に入った途端先生から理由を問われ、本人達もよく分からない状況をたどたどしく説明することに。
2人の話によると、
指定の場所でバスを待っていたがどういう訳か乗れず。ずっと待っていたら乗用車が迎えにきたのでそれに乗ってきたとのこと。
その説明では先生には理解ができなかったようで、2人はいきなり「知らない人の車に乗るとは!」と先生に怒られてしまいました。(汗)
後に先生も事務側から説明を受け、何があったのか分かり2人に謝っていましたが、(笑)
私に勇気があったら、もしかしてその一人になっていたかも…
前日夜の急な不安は、
みごとな危機管理性能(勝手に命名)の働きだった!?(笑)
その事があったおかげで同じ場所から乗る人も分かり(偶然にも同じクラス)、次の日からは早起きetcの無駄な動力を使うことなく登校することにしました。
そして次の日行って分かったのですが、
どれだけ乗るかと思いきや、そこから乗るのは例の2人の内のおひとりと私だけ。(笑)
停留所が存在してくれたことが奇跡、感謝でした。
ただ私にもスクールバス登校の洗礼がありまして、
pickup便は首都圏の通勤電車のようにすし詰めで、途中から乗る人は絶対に座れず乗降ステップで立ちっぱなし。(今の時代では有り得ないことだと思うのですが…)
最初は酔って学校にも行き着けず、途中で降ろしてもらいあえなく帰宅なんてことも。
あ!説明がまだでしたが、
わが高校は町中ではなく半島の外れにありまして、空気もよく、海、松、富士山と風光明媚な場所。
ですがその分不便な場所でもあり、自力で自宅まで帰るとなると一苦労なんです。(笑)
最近よくある乗り継ぎ旅番組のような感じ…
話戻りまして、
その時どうやって自力で帰宅したかをお話しますと、
帰宅手段は3つで、タクシー、電車、バスを利用。
・タクシーは気持ち悪く長く乗りたくなかったので却下。
・〈バス→電車→バス〉が誰もが使う通常ルート。でも動きが多くて耐えられそうもない。
・たまたま限界で降ろしてもらった場所がよく、バスの本数は少ないが待っていれば〈海岸沿い乗り継ぎなし〉で乗っていれば帰れる異例のバスルートを発見。
とにかく動くことが無理だったので、誰も選ばないバスのみルートを選択しました。
でもそれが良かったんですね。
空気の良いところでじっとバスを待っていたら少しずつ快復していきまして、バスに乗る頃には振動にもたえられるくらいになっていました。
そしてなんと海岸が終わる辺りで思わず途中下車。
一瞬衝動的と思いきやそうでもない感覚を得て、すかさず『私の感覚経験箱』入りしました。(笑)
バスを降りて海岸にむかい、波の音を聴きながら海風にあたり気の済むまで浜にいました。
帰ろうと思えた頃にはほぼ調子はもどり、残り10分バスに揺られ家に到着。
すっかり快復までして、お昼ごろ家に着きました。
予想もしない娘の帰宅に目を丸くしていた母に、
お昼ご飯を食べながら事のすべてを話しましたとさ。
めでたしめでたし。(笑)
スクールバスの混み混み状態が毎回のことだと分かったので、それからは空気と視界確保、海が見えて気が紛れる空間を見つけ立つように意識し乗り切りました。
そんな粗雑な状態が問題にならなかったのは、途中から乗る人数が少なかったからかな…
高校生になりたて、
もうひとつ出来事がありました。
こちらは簡単にお話しますね。
中学時代の友人と休日を使って二泊三日の伊豆大島旅行を計画。
その友人が前日夜にドタキャン。
そんなのあり???と一瞬ひるみましたが、すぐに新たな思いが。
一人で行ってみよう!
当日の朝は何くわぬ顔で元気に出発。(笑)
(心配されないように…)
記憶は定かではありませんが、たぶん電車を乗り換えて伊東駅に行き、港まではバスだったような。
そこまでは難なくクリア。
港から船に乗ると、
乗組員さんだったのか乗客の方だったのか忘れましたが、お話好きだったのか一人で寂しそうに見えたのか分かりませんが声をかけられ色々聞かれました。
その時は面倒くさいことにならないようにと曖昧に答えたのを覚えています。(笑)
宿泊場所はユースホステルだったので不思議がられることもなく過ごせましたが、翌朝になったらもういいかなと思え予定を切り上げ帰宅。
こうして人生初の一泊二日の一人旅を経験しました。
家に着くやいなや両親に、
実は…話と、土産話をしました。
確か母は出掛け時の私に違和感を感じていたと言っていたような… (笑)
高校生になった途端に、
自分でもまだ気づいていなかった冒険好き?体験好き?挑戦好き?の私が現れてきました。
両親にとっては、
幼少期とは別の心配の種が出来てしまいました。(汗)
『私の感覚経験箱』の中身は、
成長とともに着々と増えています。(笑)
では、またね。
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