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【田舎エッセイ】愛燦燦


はじめまして、
”田舎にひそんだシティボーイ”でございます。

田舎に引っ越してから、自分の祖父母世代(70〜80代)の知人が増えた。

僕が住む町は山の上で、不便なことも多いため、町で生まれ育った子供たちは高校卒業をきっかけに、なるべく都会へ近づく傾向がもう何十年も続いている。
詰まる所20〜50代の町民が極端に少ない

祖父母世代の知人が増えるのはとても有り難いことだ。
おじいちゃんおばあちゃん達は僕の知らないことをたくさん知っている。
寒い冬の暖の取り方、イノシシの捌き方、蒟蒻芋を美味しいこんにゃくに変身させる方法、畑や田んぼのことなら誰に聞いても教えてもらえる。

町の暮らしに馴染んでくると町の歴史にも興味が湧いてくる。
今ある蛍の水路は昔はなくて、良い景色を後世に残したい、とゆう思いで町民が力を合わせて、ここ20年くらいで作ったこと。
桜並木も、綺麗な桜を見れるように、と町民たちで植えたこと。
町内で縄文土器やアンモナイトが発掘された歴史があること。

この町の歴史も、おじいちゃんおばあちゃんに聞くとなんでも教えてくれる。
この町の歴史を知ると、この町とこの町の人のことをもっと好きになる。

人のことを好きになると、その人のことを知りたくなる。
戦争のときに疎開してから、この町に住むようになったこと。
おじいちゃんおばあちゃんたちの馴れ初めのこと。
隣の家のおじいちゃんと自治会の旅行で馬鹿をしたこと。
ときには鉄板ネタ織り交ぜて、面白おかしく話してくれる。

そんなある日、ふと、本当にふと、「あれ、自分の"じーじ"と"ばーば"のこと全然知らないなあ。」と思った。

生きているうちに聞かなくちゃなあ。
うちは有名な家系じゃない。
Googleで検索しても図書館で調べてもファミリーヒストリーなんて出てこない。

"じーじ"と"ばーば"の思い出話とか家系の歴史は聞かないと消えてしまう。

それからすぐに、"ばーば"が亡くなってから1人で暮らしている、東京の"じーじ"に話しを聞いた。

うちの家系が東京に来た経緯。
じーじ達の兄妹や父母、祖父母のこと、ほかにも色々。
"じーじ"は「"ばーば"とは大恋愛だった」とも言っていた。

大好きな"じーじ"と"ばーば"のことを知って、もっと"じーじ"と"ばーば"のことが好きになった。

田舎で暮らしはじめたことで、思いがけない感情に出会って、家族の歴史を知るきっかけが出来た。
都会の家族から離れて、都会の家族への愛が深まった。

今日、12月23日は亡くなった大好きな"ばーば"の誕生日だ。
今年も愛を込めて、"ばーば"の形見のアコースティックギターで"ばーば"の大好きな美空ひばりの愛燦燦を弾く。

人生って 不思議なものですね。
人生って 嬉しいものですね。

#田舎にひそんだシティボーイ
#いなひそ

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