2020/03/06 「自戒」

 面白味のない記事になる、確実に。

 だけれど、この気持ちを綴らなければ、言葉にして形づくらなければいけないような気がしている。この曖昧な思いを、縁取り、釘を刺し、捕まえて、存在させる必要があると考えている。


 自己満足。音楽はそういうものだろう。あまり大きな主語は使いたくないが、私は誰かのために歌ったことも弾いたことも曲を作ったこともない。ただ一人、私という主人を満たすための衝動が音楽だ。


「落下」

眠い目をこする君の笑い声も分からなくなって
変え忘れた時計の電池も、もういらないかもな
弱いものは淘汰される 「ささいなこと だから泣くなって」
喉の奥に溢れ出す 愛して 愛して 愛して

眩しくて閉じた瞼の
裏に映るあの日の夕焼けが
僕の後悔を指さすように滲んでく
思い出すのはこれで終わり
何度目かの来世で会いましょう

泣いてみれば許されるほどこの世界は甘くないし
欲も嫌悪も「愛してる」も、もういらないかもな
生きることが辛いんだ 「みんなそう だから泣くなって」
喉の奥に溢れ出す 愛して 愛して 愛して

眩しくて閉じた瞼の
裏に映るあの日の夕焼けが
僕の後悔を指さすように滲んでく
思い出すのはこれで終わり
何度目かの来世で会いましょう

眠い目をこする君の笑い声がそっと近づいた

 

 「落下」という曲を作った。日向文のブラックアウトからコード進行を引き継いだ。そんなことをするつもりは全くないけれど、もし私が空を飛び、落ちていく瞬間が来るとしたら、私が見るであろう景色は、きっと私が13だった時の景色だ。瞼の裏側に痛いほど焼き付けた夕焼けの空。止まらない涙と嗚咽を握りしめながら、絶対に忘れてやるものかと睨み付けた空。運命と自分を心の底から憎んだ空。



 自戒だと思う。ずっと心のどこかに十字架を背負うような痛みがある。もう随分時がたってしまったけれど、どうしても忘れることのできない後悔がある。あれだけ泣いても、人間は強いもので、翌日には笑えていた。

 本当はそもそも悲しむべきことなのかを考えるべきなのかもしれない。生まれ落ち、死ぬことは万物の理なのだから。それを悲しいと思うことは、大袈裟なドラマティズムじゃないのか。

そこまで思考は届くけれど、いつだって答えは「それでも悲しい」。


 こんな歌を作ってしまったことを彼女はどう思うだろう。また謝ることが増えてしまった。彼女を悲しみの出汁にしているのは私自身だ。ごめんね。




 自分の未来を語ることが、昔から苦手だった。いつだって死と隣り合わせに生きてきたから。この先も生き続ける自分のことを信じることができなかった。小学6年生の頃に書いた手紙でさえ、20歳まで生きるだなんて思っていなかった。それは病んでいるとかそういう重々しいものじゃなくて、生きていることが不思議だったんだ。未来を疑わずに生きるだなんて、その方が可笑しいだろう。


 10年後、20年後だなんてよくわからないし、きっと考える必要もない。私は今の自分の抱える感情を消化して生きている。今の私が作った歌。きっとこの歌もただそれだけのことで、良いとか悪いとかそんな価値観に振り回されない歌であればいい。ただそうあればいい。

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