趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.299 読書 橋爪大三郎、佐藤 優「世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方 」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 橋爪大三郎さんと佐藤 優さんの「世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方 」についてです。
2大巨頭の対談。近いうちに「世界史の分岐点」が来る、というベーシックなテーマ。
昔から分岐点が来る来るとよく言われていますが、まあ数年ごとに必ず分岐点は来ますね。
それでもコロナや中国の台頭など分岐点は近づいているのも実感しています。
そして本当の分岐点になる出来事、この本は2021年10月に書かれたのでギリギリウクライナ戦争が起こる前でした。
もし戦争後ならまた本誌の内容も少し変わったでしょうね。ロシアの章ができたかも。まあさすが誰もが予想しなかった戦争なので、仕方がありませんが。
テーマが、経済、科学技術、軍事(米中)、文明の4つ。
橋爪大三郎さんが話をして佐藤 優さんそれについて答えるというスタイル。
佐藤さんの本は大好きでよく読んでいますが、割と橋爪さんが先導していくので
理論整然として、さほど癖は感じず、わかりやすい。
そして二人の特質から外交、政治、歴史について骨太なテーマが重点が置かれている。ソフト的な文化芸術、少子化、ダイバシティーのことはあまり触れられていない。
まあ自明のことですが日本はあまりうまくいっていなく、結局最後は教育しかないという話。
印象的なのは核融合と量子コンピューターが完成すると、今までの社会が変わるという話。核融合は無限にエネルギーを出せて、二酸化炭素も出さず、エネルギー問題や環境問題も解決。ただまだ実験段階。名前に「核」がついているので日本では拒否反応があるかも知れないと、ミサイルとロケットのようにほとんど同じでも名前が違うだけでだいぶ印象が違うのも興味深い。
量子コンピューターはその性質から、今のコンピューターが計算するのに何千年もかかるようなものも一瞬で解けて、暗号技術を使うコンピューターネットワークの世界も全て丸見えになってしまうと。もちろんこれもまだまだ先の話。
この2つの新技術はそれは分岐点になるでしょうね。
あとは中国の台頭。
台湾侵攻は現実的になりそうですが、実はウイグル問題の方が中国にとって重要視していると。
あまりにも巨大で一つの国でグルーバルで、嫉妬ばかりしてもしょうがなく、それ相当の努力をしたからで、あまりにも巨大な国なので飲み込まれないように、うまく付き合わなければいけないと。
ただ日本の政治は”無意識”にアメリカ追従ではない行動をとっていると。
この無意識というのも面白い。
これからは多極化し、アメリカ一国から、中国が追い抜き、インドも出てきて
なんでもアメリカの言うことを聞く路線から少し外れるようなことをちゃんと意識しているわけではなさそうと。
最後に結局、日本はあらゆる面でうまくいっていないが、最後は教育しかないと。
それも大学競争力、研究力、軍事との協力は主要国では最下位で、
最後はもう一人一人に知ってもらいために本を書くしかないと。
まあこれから起こるであろう分岐点のことを二人の知識人の対談から4つのテーマでわかりやすく聞けました。
これからすごい激動に飲み込まれれ避けることはできない。
どんなものか、少しはわかったような気がします。
その備えはできなくても気構えはできたかも知れません。
それでも言いたい、今からでも、遅くない。
日本は、もともとの人口にふさわしい、中サイズの国になった。
この国の一億人あまりの人びとが、平和に充実した人生を送れること。生き甲斐をもって働き、それぞれの場所で精進して、社会に、そして世界に貢献できること。
日本の文化が、科学技術が、産業が、世界の人びとにかけがえのない価値を提供すること。世界の人びとと、理解しあい、豊かな交流ができること。それができれば、合格点ではないか。
/P.4 橋爪大三郎