趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.275 読書 原田 マハ「フーテンのマハ」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 原田 マハさんの「フーテンのマハ」についてです。
大好きな小説家原田マハさんのエッセイ。
原田さんと言えばアート系小説など、大好きで自分の中では五番目に多く読んでいる作家さん。34冊。
「暗幕のゲルニカ」「たゆたれど沈まず」「楽園のカンヴァス」「リーチ先生」などのアート系、
「本日はお日柄もよく」「カフーを待ちわびて」「キネマの神様」「風のマジム」「旅屋おかえり」「総理の夫」「奇跡の人」「翼をください」などの他ジャンルに及ぶエンターテインメントなど。
原田さんの物語はとっても面白く、生き生きとして、そしてアート系は追従を許さないほどもう原田さんの独壇場。
そんな素晴らしい作品を生み出す、原田さんの日常のエッセイ。
と言いながらやはり並のひとではなく、大の旅好きであり食べ物が大好き。
そして小説の題材になる制作過程が垣間見れて、ファンにはたまりません。
アート系の原田さんは、まるでそのアーティストをその時代にタイムスリップして見てきた様に描かれるが、現地取材にたくさん行かれて、そのアーティストが感じた景色を実際に観に行くからこそのリアリティなんだなと良くわかります。
そして、原田さんご自身がとてもチャーミング。
旅が好きで食事が好きで、ワイワイ楽しく、珍道中で、なんて素敵な方なんだろうと、余計に好感を持ちました。
アート系ではないエンターテインメント特に「旅屋おかえり」などは結構原田さんの地が出ているのでは。
実際に取材で撮影したときも、そのときはまだあまり彼女の本を読んでいなく、鋭さと優しさが同居した雰囲気のある女性だな〜と思いました。
そうこのエッセイを読むと本当に生きることを楽しんでいる女性で、とっても明るいんです。
アート系の作品だと、ものすごく解像度が上がり、ある意味そのアーティストが乗り移ったような”狂気”を孕んだ作品を書き上げるんです。
そのギャップが凄い。
この軽くて明るくじんわりと良い話だなと思うエッセイを書く人が、あのアーティストに肉薄した狂気を描くなんて。
この明るいマハさんだからこそ、どんなに狂気を描いても、主人公たちがどんな困難な状況になっても、ちゃんと良い方向へ戻ってくるんだなとわかりました。
最後のお父様のお話はじんわりきました。
「フーテンの寅さん」を私に観せ、ポスターを買ってくれたのは、父だった。「好きなところへどんどん出て行って、好きなように生きろ」と教えてくれたのも、父であった。つまり、父こそが私にフーテンの種を植え付けた張本人だったのだ。
/P.236「フーテンのマハ」より