長野相生座・ロキシーについて
コロナが収束するのかしないのか分からない時期にネホンホールの夏海さんと始めた「◯◯さんに話を聞く」企画が『Dialog2344』です。
六月は『長野相生座・ロキシー』 取締役支配人の田上真里さんをゲストにお招きし、一時間のお喋りを収録配信しました。
『長野相生座・ロキシー』は長野市権堂にある映画館です。
日本最古ともいわれる歴史の長さも魅力ですが、ぼくにとっては「面白い映画をかけてくれる」ことがロキシーの最大の魅力です。
観たかった映画、知らずに観て胸に響いた映画、自分の趣味じゃないけれどロキシーでやるなら観てみようと足を運んだ映画。この映画館でいろんな映画を観てきました。これからも観ると思います。
(写真は長野相生座・ロキシーのFacebookからお借りしました)
ネオンホールでお聞きした田上さんのお話は、青春時代の挫折から、映写技師時代、コロナ禍での奮闘話も頭の先から尻尾に至るまでぜんぶ面白かったのですが、個人的には『魔法少女リリカルなのは』応援上映の話がめちゃくちゃ面白かった。
「そんなことが十年前の権堂で繰り広げられていたとは…見たかった!」と心から思った一時間でした。
田上さんとのおしゃべりは下記から動画視聴できます。300円の有料版ですが、よかったら。
Dialog2344「◯◯さんに話を聞く」002|ゲスト田上真里さん
田上さんのお話を聞いていたら、「自分がこれまでに長野相生座・ロキシーについて書いたブログはどんなのあったかな」と探してみたくなりました。
それで見つけたのが、下記の『長野相生座・ロキシーで『邦画ドキュメンタリー特集』を観た話』です。
2017年6月のブログですが、せっかくなので再掲します。ぼくのロキシーさんに思う感じが出ている。
長野相生座・ロキシーで『邦画ドキュメンタリー特集』(2017.6)
長野相生座・ロキシーで『邦画ドキュメンタリー特集』をやってるので今日は贅沢に映画のハシゴ。
『クワイ河に虹をかけた男』と『さとにきたらええやん』の二本。
ぜいたく。
『クワイ河に虹をかけた男』
『クワイ河に虹をかけた男』は何といっても永瀬隆さんの人としてありようにまず目が行く(本当に尊敬に値すると思います)。
観ているうちに「人が人に会いにいく」ということはもしかしたら戦争や虐待に匹敵するくらいの力を持っているんじゃないだろうかと思った。
人が人と会うということは、何かを壊し、再構築するほどの現象たりうるんじゃないだろうかと。そして、戦争の後始末というのは六十年、七十年という年月が平気でかかるものなのだと。
永瀬さんの五十年の積み重ねを見て、初めて知りました。ぼくは考えたこともなかった。
そういう意味で、日本は戦争の運営と戦後処理がとことん下手な国なんだなあと実感する映画でもありました。
『さとにきたらええやん』
『さとにきたらええやん』は大阪の日雇い労働者の街で四十年近く学童保育と子育て支援をしている「こどもの里」が舞台の映画。
小さな施設でぎゅうぎゅうになって元気に毎日を暮らしている子どもたちの姿にまず目が奪われます。泉から清水がこんこんと湧くような感じで子どもたちがみんな元気で。安心していて。甘えていて。はしゃいでいて。
ああ、ここはきっと良い施設なのだと子どもの姿からすぐ読み取ることができます。
この映画でもやっぱり、「人が人と会う・話す・過ごす」ということはすごい力を持ちえているんだということをとても思いました。
特に十年里子として一緒に暮らしていたマユミちゃんがすごく魅力的で(ポスターの一番下で笑っている子)。
見た目は普通の目立たない高校生なのだけど、ちょっとした表情や身のこなしや言い回しに、ああ、この子はきっといい子なんだ、素敵だなと思えるような。
この子のこの良さはこの場で育まれたものなんだと思いました。
マユミちゃん、とてもよかったです。
長野相生座・ロキシー
ふたつともとてもいい映画でした。こういう企画を実現してくれる長野相生座・ロキシー、ありがとう。これからの『野火』や高畑勲特集もとても楽しみです。
ふたつの映画を観て、人が人と会うことや、ひとつの場所でつなげていくことや、そんないろいろを考えながら権堂アーケードを歩いていたら、最後にふと思い浮かんだのがネオンホールでした。
なるほど。どこかで何かしらつながっているような。そんな個人的映画特集の土曜日。楽しかったです。(2017.6)
長野相生座・ロキシーのその他のnote
大人になれば 11『長野相生座ロキシー・村上春樹・そういう映画館』