高畑勲『おもひでぽろぽろ』
長野ロキシーで『おもひでぽろぽろ』を。(今週は高畑勲特集なので仕事は全日定時上がりを目指しています。がんばる)
今まで何回か観たけれど、映画館で観るのは初めてで。
久しぶりに観返して、ずいぶん歪なバランスでできている映画なんだなあとびっくりしました。
山形での登場人物の希薄さとタエ子のモノローグの過剰さはちょっと尋常じゃない。山形はほぼモノローグとトシオとの会話劇で埋まっているといってもいいくらい。
その歪さを救っているのがファンタジーな空想シーンとそれを強調づける音楽で。
すげえな高畑勲、ファンタジーをまったく信用していないなと感嘆しながら観ていました。
この映画のエンディングはかなり秀逸です。
もうこのエンディングでそれまでの歪みを全部チャラにするくらいなのですが、そこで流れる都はるみの『愛は花、君はその種子』は高畑勲が『The Rose』という原曲を訳詞していて。この詞がまた素晴らしい。
『となりの山田くん』のときのケセラセラ訳もそうですが、高畑勲は難しい言葉を使わずに本質的なことをすっと提示するのでまいってしまいます。歌がもつ機能をよくよく知っているのだと思う。
何回目かのおもひでぽろぽろエンディングで今回は初めてちょっと泣いてしまいました。
明日は『平成狸合戦ぽんぽこ』です。明日もなんとか上映に間に合うといいのだけど。
(二〇一七年七月)
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