見出し画像

ビクビクしながら著者にメールをしたら、人生に対する感覚が変わった


出会ってしまった1冊の本

何年か前に、ぼくはある本の著者にメールで感想を送ったことがあります。
 
本はわりと読むほうですが、著者に感想を送るなんて想像すらしたことがありませんでした。しかも相手はアメリカ人。できない英語をグーグル翻訳で必死におぎないながらの作文でした。
 
それまでの自分ならとてもじゃないけど考えられない行動でした。なんならメールを送ろうとしてる間もビビって少し手が震えていたような気がします。
 
でもそのときは送らずにいられなかったんです。
 
今日はそんな出会ってしまった1冊の本と、その後におきた人生の変化について書かせてください。

 
 
本のタイトルは『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法」といいます。
 
著者はトムとデビッドのケリー兄弟。パソコンの”マウス”をこの世に生み出したことで世界的に有名なデザイン事務所IDEOの共同創業者でもあります。
 
原作である英語版のタイトルは「Creative Confidence(クリエイティブ・コンフィデンス)」で、この言葉こそがこの本の一番大事なところを言い表しています。
 
クリエイティブ・コンフィデンスとは「自分の創造性に対する自信」のことです。つまり自分自身には創造性があると信じているかどうか。
 

ふたりによれば、人は本来みんなクリエイティブな存在で、それは子どもを見れば一目瞭然であると言っています。みんな自由に自分の好奇心のままに動き、驚きと喜びに満ちて生きていると。
 
けれどもだんだんと周囲からの評価を気にして、創造の喜びよりも失敗したときの恥ずかしさや落胆をさけることを優先させるようになってしまう。でもそれは本来の姿ではない。だからクリエイティブ・コンフィデンスを自分で取り戻そう、そしてなにより、クリエイティブであることは楽しい!と。
 
 
本を読み終えたとき、ぼくはひかえめに言って感動していました。
 
 
「失敗ってことへの考え方を変えよう、気にすることじゃないんだよ、やっちゃえ、創っちゃえ、楽しいよ、嬉しいよ、実はそんな難しいことじゃないんだよ!」
 
読んでいる間じゅう、そんなメッセージとエネルギーがすごい勢いでぼくに降り注いできました。
 
 

ビクビクしながらメールを送る


感動すると同時に、ぼくは恥ずかしさや怖さゆえ失敗をさけていた自分をはっきりと自覚しました。それは打席に立たないバッターのようなものだと。
 
打席に立たなければ絶対に三振しないかわりに、ホームランを打つ可能性もない。そして野球をする楽しさを味わうことももちろんありません。
 
なんてビビりで、ちいさくて、かっこ悪いんだ……でも同時にそのかっこ悪いのが自分なんだと。それはそうなんだけどとにかく打席には立つ、とにかくやってみると決めたのです。
 
 
その「やってみる」の記念すべき、ひとつめが著者のトムとデビッドに感謝のメールを書くことでした。
 
 
というのも、本の最後にメールアドレスが載ってたのですよね……
 
 
本を読んですごく感動しているし、こんな本にすばらしい本を書いてくれたことに感謝しているし、そんな中メールアドレスが載っているのを見て「メールしたい!この感動と感謝を伝えたい!」と一瞬思ってしまったんです。
 
そう、思ってしまったんです。
 
だったらやろうと、本を読み終えたばかりのぼくは考えました。それがこの本が伝えていることだから。
 
 
同時に「とはいえ”普通は”メールしないよな」とか「俺英語できないし」とか、行動を止めるいろんな考えがドバーッと出てきました。
 
行動を止めるための思考なら、それこそ数十年にわたって鍛え上げてきたので、いくらでも湧き出てきます。
 
そして、だからこそ今ここで行動する必要がある、決意を行動で示すことが大事なんだとも思いました。
 
ここでやらなかったら、明日もこの先もやらないことがわかっていたからです。。
 
 
こうしてぼくはとてもビクビクしながらも、2人にメールを送りました。
 
 
なんと2人ともすぐに、しかもそれぞれ別々に返信をしてくれました。
返事をもらえたことだけでもうれしかったのに、そこには温かい励ましの言葉が書かれていました。
 
ぼくはふたりに、大きく強く背中を押してもらいました。
 
 

そしてぼくが得たもの


 
このときの行動をきっかけに、ぼくはとにかく思いついたことをやってみるようになりました。
 
いくらでも湧き出てくる”自分を止める言葉”はいつも僕を不安にさせますが、もうその構造はわかっています。わかったところで心のゆらぎ自体はなくならないのですが、それはそれ。不安や怖さにプルプル震えていようがいなかろうが、打席に立つことは決めているのですから。
 
 
トムとデビッドにもらった言葉、あの体験からつかんだ感覚、それらを頼りにビビりながらもどんどんアクションしていきました。
 
うまくいったこともうまくいかなかったこともたくさんあるのですが、何より面白いのは、腹を決めてやりだすと、ビクビクする自分も、恥ずかしさでののたうち回ることも、失敗することすらも、楽しい体験の一部であるという感覚がどんどん増していったことでした。
 
成功や失敗という結果はもちろん気にはなりますが、そもそも思いついたことを実行し、また実行するから予期せぬことがおき、面白みが増していく、そんな”ライブ感”が楽しいのです。
 

ぼく自身の感覚としてはまさに人生に対する感覚が変わった感じがするのです。
 
 
そして今にして思います。この感覚こそが、きっとトムとデビッドが著書で本当のところ表現したかったことなんだろうと。恐れることなく自分の人生の創造者として生きると楽しいよ、と。

いいなと思ったら応援しよう!