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マンマの教え

おやつを食べなくても平気な日もあれば、食べたい日もある。今日はその後者の方。3時の電話インタビューを終えたら、そのまま原稿を書く気になれなくて、ティータイムにすることにした。ワインも肉も熟成させる。原稿も然り。特に月曜は気合いが入らない。

先月の大掃除の前に、戸棚の整理をしていたら出てきた直火式のエスプレッソマシン、マキネッタ。イタリアを旅した時、これだけは買うことにして手に入れたものだ。アレッシーをはじめ、オシャレなデザインのものも多々あるけれど、まずはイタリアのどの家庭にもありそうな、マンマ臭たっぷりの飾らないアルミ製の典型的なものを選んだ。

ここしばらく豆を購入していなかったので(ちょっと前はillyの豆をよく使ってた)、コーヒー豆屋さんに行った時、いつもの豆にプラス、エスプレッソ用の深煎り豆を買っていた。外出自粛中に夫と一緒に何度か飲んだりしてたけれど、そういえば、前にいれた時ふとわいた疑問、マキネッタの使い方って、こんなんでよかったっけ? この前使った時、火を止めるタイミングが今ひとつよく分からなくて、なんだか自信がなくなってしまったので、再確認したくなった。

マキネッタは大きく3つのパーツからなる。一番下の水入れ(ボイラーというそうな、ちっちゃくてもボイラー)、ボイラーにはめるジョロに穴開けたみたいなやつ(バスケットだって)、そして一番上がサーバー(これはなんとなくわかる)。

ボイラーに水を入れる。確か記憶では、ボイラーの丸ポッチの下までだった。圧力鍋で最大水限ここまで、みたいな感じかなぁ〜、と自分では理解してた。バスケットをはめ込み、細かく挽いた豆を入れる。そして、ボイラーとサーバーの接合部分がネジネジになっているので、ガッチリはめ込んで火にかける。

2人用の小さなマキネッタはどうかすると不安定になりがちなので、五徳に網を載せて(ガスレンジの魚焼きグリルの網で事足りる)マキネッタを安定させるし、サーバーのプラスチックの取手を燃やさないように火力を小さめに調整する必要はあるけれど、後は、下のボイラーから水が沸騰して上がっていくコポコポという音とエスプレッソの強い香りがするのを待てばいい。

IHじゃないし、格好良くって便利なエスプレッソマシンじゃないし、時代遅れかもしれないけれど、そんな“いちいち”な作業が結構愛おしかったりする。あ! そういえばおばあちゃん、すんごい立派な電気炊飯器を持ってたけれど、それは大勢が来る時だけ使って、日常、おじいちゃんとのご飯の時は、かなり時代遅れな炊飯鍋でご飯炊いてたな。不便じゃないの?って何度も聞いたけど、おばあちゃんは「全然」って答えてた。それって、もしかしたらこういう事だったのかなぁ〜。

ある程度したら、換気扇は止める。コポコポと沸騰する音が聞き取りづらい上に、いい香りも持っていかれちゃうので、火の止めどきを見誤りそうになる。この前は早く火を止めすぎて、お湯がボイラーに少し残りすぎてしまったのだ。今回はサーバーのフタを開けて、ボイラーから水が完全に湧き上がり終わるのを確認してから火を止めた。

後は取手を持って、サーバーに上がってきたエスプレッソをカップに注ぐだけ。エスプレッソはよく砂糖を入れて飲むけれど、私は後口をサッパリさせたいので砂糖は入れず、チョコレートを食べながら一緒に飲んだ。オイシイ! 豆もチョコレートも特別じゃないけれど、なんかこういうさりげないのがいいなと思う。

そうそう、とっても大事なこと。使ったマキネッタは水洗いが基本で、洗剤は使っちゃダメらしい。「美の壺」のコーヒーの回で、イタリア人がそんなことを言ってた。コーヒーが膜でカバーしてくれて、どんどん味わいを深めてくれるらしい。マンマの教えだそう。マンマってすごいね。

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