昔の憧れ
小さい頃観ていたアニメは、大体ヒーローが登場する。仮面ライダーも戦隊モノもウルトラマンもアンパンマンも。ヒーローが誰かを助ける姿に憧れたし、私もヒーローになるんだ、と信じて疑わなかった。今、そんな私は私さえ救えていない。自分さえ救い出すことがこんなにも難しいことを、あの時の私は知らなかった。そもそも私を救ってくれる人さえ周りにいないし、助けを求めることがこんなにも難しいなんて知らなかった。いっそのこと、あのアニメみたいに誰が見てもピンチだと分かる、助けられる存在になりたい、とさえ思う。いつの間にか、誰かを救いたい、ではなくて、誰かに救ってほしい、と思うようになっていた。でも、都合良くヒーローなんて現れない、と知っている。あのアニメはフィクションだ、と知っている。現実世界は、ヒーローより悪人の方が多いかもしれないし、誰かを助ける人より誰かを騙す人の方が多いかもしれない。あの頃憧れた世界から程遠い世界で生きている。それでも、この世界からあのアニメが生まれたことを知っている。この世界にあのアニメを作った人がいることを知っている。そうだ、自分で自分を救うしかないんだね。私もヒーローになるんだ、という憧れはあながち間違っていないのかもしれない。