見出し画像

未知への歓喜

街中を歩いていると、みんな服を着ていて、その服を買った日が存在していて、そういう選択の積み重なりによって、今のコーディネートがあるんだなと思うし、そういう日々を誰しもが持っているのかと思うと、気が遠くなるような気がした。

それが生きてきた証拠みたいなものであって、そこの木だって誰かが埋めたんだろうし、そこの建物だって誰かが建てたんだろうし、そこには必ず人間臭さがあるんだね、そこには手に負えない複雑さがあるんだね。それでも人間の手が加えられているのだから、不思議としか思えない。むかし、未開の地に踏み入れた人間は、何を思ったんだろうか? 何もないんだから、何をしたっていいのだ、なんて思えないはずで、そこには常に、自然の脅威があったはずだし、見えない何かに呪われるんじゃないか、という恐怖があったはずなんだ。だから、宗教とか文化とか芸術とかが生まれざるを得なかったんだろうし、それが何かしらの救いになっていたんだろうね。この世に生まれた誰しもが、何者かという未開を持っていて、そこに踏み入れる特権を持っているのだから、誰しもが野蛮である特権を持っているのだ。地球より宇宙へ未開の地を求めてしまうのは、ロマンティックの極みであって、人間は野蛮であることを求めてしまうんだろうか? だから、DNAが解明されたって、いつまでも未開を見つけてゆけるのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?