家庭菜園
ふう。腰がつらい。
自宅前にある我が家の菜園はご近所に比べたらちいさいけれど、菜園らしく雑草も生える。身を起こして腰を伸ばしたとき、隣の家の奥さんが声をかけてきた。
「あら、ごくろうさま。そういう時期よねえ」
お隣にも家庭菜園はあって、うちよりずっと上手に管理していることは知ってる。おしゃべり好きな奥さんは苦手だけど、嫌な顔を見せずに笑顔で応える。角が立たない程度のご近所づきあいが、平穏に生活するコツだ。
奥さんがうちの畑を指した。
「そちらはなあに?」
「手榴弾です」
自分の握っていた芋のつるっぽいモノを持ち上げる。つるの先には、芋ではなく手榴弾がゴロゴロついていた。
奥さんも同情の色を見せながらうなづいた。
「こっちは時限式なのよ」
確かに奥さん家の菜園には、かぼちゃのつると一緒に四角い箱がゴロゴロしているのが見えた。うちより手間がかかっている菜園だと知っているが、雑草の規模の違いもあるのかと驚いた。
「それも処理が面倒ですよね。どんどん増えるし」
「ねえ」
「もう除爆剤まこうかしら」
「迷うところですよねー」
了