004_母の待つ里(浅田次郎)
NHK BSで放送された、「母の待つ里」というドラマをみた。
中井貴一さん、松嶋菜々子さん、佐々木蔵之介さん、宮本信子さんが主要キャスト。それだけでも興味がわいた。
カード会社のプレミアム特典として、1泊2日で50万円もする「ホームタウン・サービス」を利用して過疎の村へ【帰省】し、宮本信子さん演じる【実家の母】の家に宿泊する。
村へ着けば、名前も顔も知らない人たちが自分のことを愛称で呼び、「よく帰ってきたね」と(いう主旨を方言で)声をかけてくれる。
サービスを利用する人は最初は戸惑いながらも、だんだんとこの村に
そして何よりもプライスレスな愛情で接してくれる宮本信子さん演じる“ちよさん”に惹かれて、何度も帰省したくなっていく。
最初の1話くらいだと、「え?ホラー?」と思うような、ちょっと先の見えない怖さも感じさせる。カード会社のオペレーターがいつも同じ人だから、『AIなんじゃないか?』なんていうセリフまで出てくる。
「ふるさとをあなたへ」というホームタウン・サービスのキャッチコピー。
生まれも育ちも現在も、同じ区域に住んでいる私にとって、
「帰省」という言葉はずっと無縁だ。
ふるさと、という風景でもない。
1泊2日50万は相当高くて、自分には とても手が出やしないけど、
こんなサービスが本当にあったのだとしたら。
ドラマの中でちよさんに会いにくる皆のように、誰かの温かさに触れたくなる瞬間に使いたくなる、心のデトックスのような場所なのかな。
たった4話の短いドラマだけれど、鑑賞後の満足度はとても高かったです。
田舎のおばあちゃんから、上品なお役まで演じることの出来る宮本さんが、
今回も本当に、本当に素敵でした。
少し心のすき間を埋められたのは、ちよさんも一緒だったのかな。