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あなたの知らないツノゼミの世界
ツノ、オオアゴ、ハネ、アシ、ツメ…。
昆虫たちはそれぞれが独自に部位を発達させ、各々の生存戦略に役立てている。
その中でも特に奇抜な部位を発達させた者がいる。
“ヘルメット”と呼ばれる構造を持つ、ツノゼミという虫だ。
ヘルメットは前胸という部位が変形したものとされている。
カブトムシにも前胸にちょっとしたツノがあるが、ツノゼミの変形は数段独創的だ。
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ほんの数ミリ〜大きくても2cm程度の虫にも、こんなにもワクワクする世界が広がっているとは思っても見なかった。
私と同じ感想を抱く者も少なくないだろう。
それにしても、このヘルメット、なぜこんなにも奇抜な形をしているのだろうか。
明確な目的は不明だが、おそらく擬態の可能性が高いとされている。
ツノゼミの多くは木の上で生活しており、ヘルメットは大概、暮らす植物に寄せている。
トゲ、枯葉、鳥のフン、木の幹などに擬態し、風景に溶け込もうという努力が見える。
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葉の痛んだ部分に擬態する種は、わざと噛んだり引っ掻いたりして葉を痛ませ、そこに身を潜める。
(最初から葉の緑色に擬態するのはダメなのか…?)
また、ツノゼミはアリやハチに甘露という蜜を分け与えることで、身を守ってもらうというアブラムシと同じ戦略をとる。
しかし、ヘルメットの形状がアリやハチに似ている個体は、そういった共生関係を結ばない。
傭兵を雇わなくても、自前のヘルメットで生きていけることを本能で理解しているのかもしれない。
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一方で、擬態という概念を取っ払って、もはや好き勝手にヘルメットをデコレーションしているようにしか見えない種もいる。
知れば知るほど謎が深まる世界が、この小さな生き物に秘められている。