植物に輪廻する世界を体験する「RingNe」を紐解く③/制作運用編
2023年10月8日に南足柄市「夕日の滝」で催す体験作品「RingNe」についての連載第3回目です。はじめてご覧になる方は、まずはこちら↓からご覧ください🌱
「RingNe」は植物に輪廻する世界を体験する体験作品であり、小説で描いた物語をフェスティバルとして現す試みです。
今回は、制作運用編。RingNe Festivalの舞台裏を紐解いていきます。
Writing by サカキ(RingNe DAO)
目次
「RingNe Forestへようこそ」
1.RingNe DAO|フェスティバル制作の営み
フェスティバル制作の流れ
2.フェスティバル地獄を解決する森という生態系
DAO(分散型自律組織)とは
RingNeDAOの運用方法
3.RingNe Forest|サークル活動の営み
4.RingNe Forestの相互作用が育む文化
5.まとめ
「RingNe Forestへようこそ」
RingNeに参加された方には、こんなタイトルのメールが届きます。
RingNeでは多様な活動が同時に進行しており、全体が森のような広がりになっていることから、RingNeプロジェクトに参加することを「森へ入る」と呼んでいますが、森へ入る方の動機は様々です。
シンプルにフェスティバル制作に関わりたい!という方、植物・森林・小説・生命・量子力学・野外イベント・南足柄市・地方創生などのRingNeが持つ各テーマへの興味から参加される方、もしくは、「直感で」「なんだかおもしろそう」「センスの近い仲間と出会いたい」という方も多くいらっしゃいます。
森へ入ると、フェスティバル制作はもちろん、当日までの期間に行われる様々なサークル活動やイベントに参加することができます。
そして、これらRingNe Forestで起きたすべての出来事を、栄養として吸収して、年に1度のフェスティバルが出来上がっていきます。
その全体像がこちらです↓
「年に1度のフェスティバルを育むRingNe Forestという生態系」
これがRingNeの制作運用の全体像です。
それでは、森の中を少し詳しく見ていきましょう。
まずは、今回のプロジェクトの主催でもあり、フェスティバル制作を行う「RingNe DAO」から紐解いていきます。
1.RingNe DAO|フェスティバル制作の営み
RingNe DAOは分散型自律組織の体制で、フェスティバル制作を進めています。
RingNe DAOは8つのセクションに分かれており、それぞれのセクションが自律的に制作を進めながらひとつのフェスティバルを作り上げていきます。
それでは、フェスティバル制作に興味を持った方が、森へ入った後、RingNe DAOで活動を始めるまでの流れを少し見てみましょう。
フェスティバル制作の流れ
1.散歩で出会う
森へ入ったら、散歩に参加することをお勧めしています。
毎月15日と20日に「散歩」の時間があります。
散歩では、アプリなしでブラウザから入れるバーチャルコミュニケーションツールの「Metalife」に集まって話をしています。
オンラインの散歩に出かけて、RingNe Forestの住人からまず森の様子を聞いてみてください。
RingNe Festivalは、小説で書いた仮想の世界を、現実世界に具現化する「体験作品」です。
次に開催される散歩まで時間がある場合は、小説を読んでRingNeの世界を先に体験しておくと、より一層フェスティバル制作のイメージが色彩豊かで味わい深いものになることでしょう。
2.定例ミーティングに参加する
次は、毎週月曜日の21時から行われている定例ミーティングに顔を出してみてください。
定例MTGでは各セクションが集まり、フェスティバルの進捗報告やディスカッションしたいトピックを持ち寄って話をしています。今、どのようなことが進んでいるのか、どんな募集があるのか、参加メンバーと知り合いながら、ここでキャッチアップすることができます。
3.ビオトープを作る
森の案内と定例ミーティングで少しずつフェスティバル制作の様子がわかってきたら、次は自分のビオトープを作ってみましょう。
ビオトープとは生息域を表したRingNe独自の概念です。RingNe DAOのメンバーはひとつの役割に固定することなく、興味に応じて複数のセクションやサークル活動(後ほど詳しく紹介します)にまたがって関わっている方がほとんどです。
もちろんどれか1つだけでも構いません。どんなふうにRingNeと関わりたいのかをイメージしながら、お好みに応じて自分だけのビオトープをデザインしてください。
4.Slackでコミュニケーションをとる
フェスティバル制作のコミュニケーションはSlackで行われています。自分のビオトープに対応したチャンネルに参加し、内容を眺めたりミーティングに顔を出してみてください。
知っている人が一人も居なくても、これまでの情報を全部追えていなくても全く問題ありません。これからゆっくり知り合っていきましょう。散歩や定例MTGで出会った人が、合流しやすいように案内してくれるはずです。
5.活動を開始する
各セクションのミーティングでは、ブレインストーミングを行ったりアイディアを持ち寄りながら作業を分担していきます。
参加している全員がはじめてつくるフェスティバルですので、まだ世界中の誰も完成形を見たことがありません。進め方も含めて試行錯誤しながら、他のセクションと連携しフェスティバルをそうぞうしていきます。
RingNe DAOではこのような流れでフェスティバル制作が進められます。
2.フェスティバル地獄を解決する森という生態系
小説の完成も見え、会場も決定した2022年末、プロジェクトを本格始動するにあたり、はじめに議論した内容は「フェスティバル制作の地獄を解消し、持続可能な運用体制を作成する」ことでした。
フェスティバル制作をトップダウン方式で管理しようとすると、主催者やセクションリーダーに負荷と責任が一局集中します。
責任者にタスクや重要な意志決定事項が溜まっていくと、精神的な負担も増え、メンバーとのコミュニケーションがなおざりになっていきます。するとメンバーは「忙しそうで聞きづらい」→「確認しないと次の動きがわからない」と動きが止まってしまい、責任者のタスクがまた増えていく、という負のスパイラルが発生します。
また、フェスティバルは純粋な好奇心やボランティアで参加しているメンバーも多いため、ともすればやりがい搾取に陥りかねません。ここでしか得られない体験価値をしっかり提供していくための体制づくりとはどのようなものだろうか、という課題も挙げられました。
このような地獄はフェスティバルに限ったことではなく、コミュニティやチーム運営でもよく目にする現象です。
この組織の地獄を解決するために、RingNeはDAO型運用体制に注目しました。
DAO(分散型自律組織)とは
DAOは下記のような性質を持ちます。
DAOが持つこれらの性質を、フェスティバルの運用方法に導入するために、まずは実証実験から行いました。
そして、トークンガバナンス、インセンティブ設計、ステーキングによる新たな外貨獲得手段などを模索する中で、次第にRingNeらしいDAOとは何かが見えてきました。
DAOといえば、ブロックチェーンやNFTを使ったメンバー制度や投票制度などに注目が集まります。しかし、その仕組みを導入して、どんな人でも気軽に参加してもらうためには、テクノロジーの普及もう少しを待たねばなりません。
また、今までの教育制度はトップダウンの組織体制での活動が前提になっており、分散的で自律的な組織の中で自分はどのように行動したらよいのか、という習慣を体得する場が、まだ少ないという現状があります。
RingNeDAOの運用方法
そこで今回RingNeでは運用方法について下記の方針を決定しました。
①DAOに学び、全員で分散的で自律的な組織運営にチャレンジすること
②森に学び、組織全体の環境づくりの最適解を模索していくこと
③ひとりひとりの個性や人々の有機的な繋がりを大切にし、かつテクノロジーも積極的に取り入れていくこと
初年度は、社会的責任や品質管理の移行期間として、実績のあるOzone合同会社、株式会社あしがら森の会議、tag-A Inc.の3社が核となり、RingNe DAOの基礎を作ることからはじめます。そして、3年後にはDAO型フェスティバルの持続可能な運用体制を目指しています。
人間と計算機が生み出したDAOのしくみと、地球が生み出した森のしくみを組み合わせた運用方法。これがデジタルネイチャー時代のフェスティバル制作を担う、RingNe DAOの運用方法です。
それでは次に、RingNe DAOから少し視野を広げて、RingNe Forestを見ていきましょう。
3.RingNe Forest|サークル活動の営み
RingNe Forestは、RingNeDAOを含むRingNeに関わる全ての活動の舞台です。
フェスティバルといえば、当日開催されるイベントが注目されがちですが、フェスの魅力は実は当日だけではありません。
例えば、準備段階では開催場所の歴史を調べたり、現地に足を運び、地元の方からお話をお伺いし、協力関係を紡ぎながら構想を練っていきます。
また、演出プラン作りでは、小説の読書会や植物の勉強会が開催され、当日のイメージを膨らませます。
そして、当日スタッフとして参加する人同士のミートアップイベントが行われ、価値観の近い友人や知り合いが増えていく、などここには書ききれないほど、当日に至るまでにたくさんのドラマと体験が散りばめられています。
今回のRingNeでは、これらフェスティバル当日までの面白さも多くの方と共有したいという思いからRingNe Forestを開きました。
そして、サークル活動やイベントを公開し、参加を広く募集しています。
サークルの様子を少し紹介すると、発酵研究所では味噌づくりのシェアや発酵記念塚へのデイトリップイベント、DAOサークルではDeFiやDAOの勉強会、不老不死研究サークル「而今」では、読書会や研究発表会が行われています。
また、RingNe Forestの住人同士、興味のあることを学び合う講座を「RingNe innovation Lab」と呼んでおり、これまでに「装飾講座」や「無尽講講座」「フリーランスのお仕事価格の決め方講座」が開催されました。
そして、南足柄の畑を借りて、RingNeForestのリアル版「りんねの森」のDIYも行われています。
焚火や竹の小屋づくりなど、自然の中で身体を動かして何かを作る時間を愉しみたいという方には最適です。
このように日々イベントが生まれており、RingNe Forestの住人は自由に参加することができます。
RingNe Forestのイベントは、RingNe公式Lineでも随時紹介しています。タイミングが合った時に興味のあるイベントにぜひふらりと遊びにいらしてください。
4.RingNe Forestの相互作用が育む文化
このようにRingNe Forestは、2つの相互作用を核に、森のような生態系を育んでいます。
1つ目の相互作用は、オンラインとリアルです。
フェスティバル制作の打ち合わせや、RingNe Innovaion Labのイベントなどは、オンライン上で行われており、地球上のどこからでも参加することができます。現在も北海道から九州、そして海外はインドネシアからの参加者がRingNe Forestには生息しています。
また月に1度のペースで行っている南足柄現地視察ツアーやりんねの森のDIYイベントはオンラインで知り合った住人同士がリアルで会う機会でもあり、身体感覚を持った体験を愉しむ場でもあります。
そして、2つ目の相互作用は、フェスティバル制作とサークル活動です。
読書会で生まれたインスピレーション、講座でのふとした会話、一緒に出かけた先で見たあの風景、偶然遊びに来たあの人。それらがフェスティバルのアイディアに還元されながら、自立共生的な森の文化を育んでいきます。
フェスティバル制作に直接関わっていなくても、あなたのあの時の一言が当日、会場のどこかに溶けて現れているかもしれません。
そして、RingNe Forestで営まれた全ての活動が有機的に絡み合いながら、フェスティバルという1日限りの祝祭の日に集結します。
5.まとめ
以上が、RingNe Festivalの制作舞台裏でした。
植物に輪廻する世界を体験する「RingNe」を紐解く/制作運用編、ここまでお読みいただきありがとうございます。無事に、紐解かれましたでしょうか。
それでは最後にまとめて終わりにしたいと思います。
ぜひ、RingNe Forestに遊びにいらしてください。
RingNeに興味が出てきた方、植物や生命について深く探求したい方、共にフェスティバルを催したい方、南足柄エリアを盛り上げたい方、DAOに入ってみたい方、センスの近い仲間と出会いたい方。RingNe Forestは遍く人々の存在を歓迎します。
RingNe Forestへ、ようこそ
「こんな未来あったらどう?」という問いをフェスティバルを使ってつくってます。サポートいただけるとまた1つ未知の体験を、未踏の体感を、つくれる時間が生まれます。あとシンプルに嬉しいです。