spica.2 あこがれるひと。
小説でもアニメでも、特に好きになるキャラクターには共通点があると思う。
私の場合は、「かっこいい女の人」。
大好きな下妻物語の桃子や、図書館戦争の柴崎。アニメだとBLACKLAGOONのバラライカも。
気怠そうで切れ者で、容赦がなくて誰にも媚びていない(媚びずにすむだけの能力を持っている)感じ、とても好き。
ノラガミの毘沙門天や、化物語の戦場ヶ原ひたぎも好き。
誰にも媚びていないように見える、というのは、どうしてあんなに魅力的に感じるんだろう。ぶれてないとか、軸があるとか、そういうことなのか。
自分が物書きを志すようになって、その考えが現実的になってきてから、どんな作品を見ても、読んでも、作品をつくり出した「作者」の思考回路が気になって仕方ない。
たとえば、BLACKLAGOONは治安の悪い架空の町で起こる、いろんな抗争を中心に描いているわけだけれど、あれを書くまでには多種多様な武器と、人種と、マフィアの上下関係と、軍隊と、乗り物の知識が必要になってくるわけで、あれだけ緻密に、人が生きる世界をつくり出した脳の中はどうなっているんだろう、とか。
その作品の「良さ」の基準は、自分からしてみれば「世界のリアルさ」とイコールで結ばれているから、作品の中に生活感があればあるほど、好きな登場キャラクターが多ければ多いほど、「この人すごいなぁ」につながる。
そんな作品が書ける日が来るかなぁ、と思いながら、中学の時に感じたことをぼんやり思い出す。
「小説家は本の中で神様になれる」
自分で言ったことすら忘れていたのに、大好きで大切な人が、卒業の時にくれた寄せ書きのノートに「こんなこと言ってたよね、」と、思い出させてくれた。
私の小説には、かっこいい女の人が出てこない。
自分の好きなものだからといって、簡単に書けるわけではないようで。
でもいつか、かっこよくて、何にも媚びない、凛とした子を、自分の小説の中に生かせたらな、と、小さな夢を馳せてみる。