「神様のいうとおり」
私には神様がいる。
金曜日の午前零時になると決まって連絡をくれる。
その週に抜き打ちで行われるテストの内容も、降りかかりそうな災難も、とにもかくにもすべてを教えてくれる神様だ。
今日も、そろそろ電話がかかってくるはずだ。
大好きなシンデレラの手帳をひらいて、メモの用意はばっちりだ。
私は神様だ。
金曜日の午前零時になると決まって電話をしている。
その週の抜き打ちで行われるテストの内容も、降りかかる災難も、とにもかくにもわかることはすべて教えてあげる神様だ。
今日も、そろそろ電話をかけなければいけない。
私には神様がいる。
金曜日の午前零時になると決まって連絡をくれる。
その週に抜き打ちで行われるテストの内容も、降りかかりそうな災難も、とにもかくにもすべてを教えてくれる神様だ。
今日の電話は何だか様子がおかしかった。
今日の夕飯の献立を聞いてきた。
なんでも知っている神様なのに、夕ご飯までは知らないのか。
「ごはんが美味しかったと母親に伝えたか」と聞かれたから、特にそんなことは言っていないというと、ひどく不機嫌な様子だった。
こんなことでへそを曲げられたら困るので、「明日からは伝える」と言ったら納得したようだった。
神様は家族仲が悪いのだろうか。
もしくはお母さんがいないとか。
私は神様だ。
少なくとも電話越しは。
金曜日の午前零時になると決まって電話をしている。
今日も仕事はつらかったけれど、この電話だけは欠かさない。
向こうの夕飯の献立を聞いた。
「ハンバーグ」と答える声は、誰かの愛情を当たり前に享受する子どもの声だ。
ひどく落胆したのが伝わったのか、「明日からは伝える」と言ってきたので納得した。
大好きなシンデレラの手帳を閉じて、寝る前に母の遺影に手を合わせた。
〈了〉