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人の気持ちは簡単に仕分けられない(『ハッピーオールドイヤー』)

2023年の年末に書いてた文章を掲載します。
年末だと思って読んでください。
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Apple musicやらインスタやら、毎年この時期になると、こんな曲を聞いてましたよとか、こんなことがありましたよと報告してくる。または、大掃除や断捨離をすると、過去に出会ったもの、2023年に出会ったものと向き合い、取捨選択をすることになる。それらが引き金となり、ものや写真からいろんなことを思い出す。「あの時は楽しかったなあ、戻りたいなあ」と浸りたい思い出を持っていることはとても幸せだと常々思っている。2023年も、そんな瞬間がポツリポツリあった。たくさんあったわけじゃないけど、だからこそ、ささいな物事も思い出せるんだと思う。

自分の部屋やものの掃除なら、自分の記憶と向き合えば良いから、捨てるのだって簡単。自分の近い未来を案じて、必要かどうか自分を納得させればいい。もしくは圧縮袋とかを使って、クローゼットの中が、まだ余裕があるようにして捨てずに詰め込めばいい。しかし2023年の俺(含む片岡家親族一同)は、祖父母の家(母親の生家)や倉庫、ビニールハウスの取り壊しと売却に伴って、いろんなものと強引にお別れせざるを得なくなっている。ものとの別れによって次第に記憶も薄れ、思い出とも別れることになる。そんなのあんまりだ!と、自分の店で使えそうなもの、ソファ、テーブル、ばあちゃんが額装していた押し花、しまいにはドアや引き戸の取手まで再利用してしまおうとしている。


 『ハッピーオールドイヤー』は、スウェーデンに留学していたデザイナーのジーンが、帰国後、かつて父が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルを年明けからデザイン事務所にするべく、年末までに家中に溢れているモノを片っ端から捨てていく。その過程で、モノだけでなく人との付き合いも続けるか見定めていく物語。下記は公式イントロダクションからの引用。

洋服、レコード、楽器、アルバム—— 友達から借りたままだったモノを返して廻り、元カレのカメラを小包にして送り返す。部屋が片付いて行くのと反比例して、心は千々に乱れて…。

時は年の瀬、ジーンは新たな気持ちで新年を迎えることが出来るのか?

『ハッピー・オールド・イヤー』

人からもらったものであれば、誰からもらったのか、幾年も前まで記憶を遡って、その人に返す。その物の数だけ記憶・思い出が引き出され、仕分けはやや前途多難。いらなければ捨てる。時に、家族の思い出の品であり、家族の反対があったとしても、その思い出が家族を過去に固執させているものであれば、こっそり捨てることも。翻って自分と身の回りのものを見てみると、そんなにさっぱり生きられないなあと常々感じさせられる。

コピーは、「ひとの気持ちは、簡単に仕分けられません」。
所持していた元彼のカメラを返しにいくと、昔の感情が蘇り、だらだらと関係を続けてしまいそうになってしまう。元彼の「前に進んでくれ」という言葉が俺的パンチラインでした。


 過ぎていった2023年の日々は、どうでしたか。前に進んでましたか。俺は、何かあったとして今死んでもまあいいかな~とは、ここ数年思っていました。だけど1月の終わりに肩周りから始まり、左胸がズキズキ痛んで呼吸が全然できなくなって医者に行ったら「肺気胸」という診断をうけたんだけど、その診療で人生で初めてCTに入った時に「うわ!死にたくねえ!」と強烈に感じました。できてないことばかりだ!と。結局、達成できていないことばかりだけれど、前に進むためにふんがふんがしていることに、改めてありがたみを感じたね。それに、1月に左胸が原因でチーン、とならなかったから親友がOPENしたお店にも、親友夫婦の結婚式も出れたことも嬉しかった。

2024年はどんな年になるかなあ。いろんな出会い、いろんな選択、いろんな別れ、喜怒哀楽がきっとあるだろうけど、Peaceな年になるといいな。それより何よりコーヒー屋が無事できますように。じいちゃんばあちゃんの日常が染みついたソファやテーブル、取手。簡単に仕分けられないものは、仕分けずに来年以降に持っていきたい。

みなさんの2024も、それぞれにとってのハッピーがたくさん訪れますように。thanks, Happy 2023 Year.  

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