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『No,9』第3話 【週刊少年マガジン原作大賞連載部門応募作品】

No,9

『アメリカと日本との間で取り決められた、No,9という機密部隊。』

”これは、米国人、もしくは日本人が拉致、監禁された場合、人質交渉に入る前に彼が潜入。

その交渉等にかかるお金は、リミットがなく、無制限で使える共同国家予算。

…彼が配属されて20年、一度帰還できなかったりことはない。人質も一人として殺されることもなく、犯されることもなく、無事に帰還される。

彼は、そういうポジションにいた、創設者と言ってもいい。これは、日本人が、2000年にアルジェリアで拉致され、人質交渉をしたにも関わらず日本政府は、何もできなかった。法が阻み、一般人のご遺体の帰国の時でも自衛隊機を動かすことすらできなかった為。それ以降日本は、No,9をアメリカと共同機関を極秘に設立。

アメリカは設立を手伝う代わりに、アメリカ人も救出するのを条件に合意した。

何故日本人だけなのか。これは、やはり気質もあるのだが、アメリカ人だとやはり標的になりやすく、軍人は人質交渉できる為、法が阻んでいる。あとは見た目の問題である。

日本人は小さく、弱いイメージがあるので、溶け込みやすく、バレにくい。存在を消すことにかけては世界類を見ないものである。

そんな条件で、このNo,9は、設立された。

国家の中でも、大統領、副大統領、防衛大臣、司令官、僅かだ。

…彼は、最初は奇跡と言われたが、今では呼吸をするかのように違和感なく溶け込み遂行する。“


…都市伝説か単なる噂話だと思っていた。
WW2にそういう部隊が生まれ未だに存続しているとか…。

誰も見たことがないし、聞いたこともない。

たまに部隊内でそういう笑い話が出てくるくらいで…。

まさか自分の目でみることになるとは。

伝説の謎の部隊に。


「壊滅的打撃を受けています!
悪の巣窟と言われ、地元民でも近寄らないあの地で砲撃が続いています!」

テレビから流れてきた映像に衝撃を受けた…

信じられない光景を見ている
本当に1人で?

救出できた時の合図は、赤の煙を上げることだ

はっきりと見えた、真っ直ぐと伸びる赤の煙

…こんなことですら、きっちりする日本人が垣間見えた

…救出場所は赤の煙が上がった場所だ。そこに行けば、奴と共に彼女が。

…無事でいてくれ。

そんな願いをたった半日で叶えてしまう。

「…任せて下さい。」

やつのしっかりと見据えた目で力強く言った言葉が蘇った。



…彼女は無事帰還した。俺はハグをしたいのをグッと我慢したが、流石にこの場合はしても違和感ないだろうと、遠慮なくハグをした。
彼女は、そっと俺の背中に手を置いて、「もう一度ありがとうって彼に伝えてあげて」とそっと言った。


そのあと、俺は遠慮なく、静かに見守って気配を消していたやつに向かっていき

思いっっきりガシッとハグをした。

…あからさまに嫌がっていた笑




「どうやったんだ?」

「…それは聞かない約束です。」

「今後もまた遂行するので、言えません。」

「…何よりですよ、無事に帰還できましたので。」

「言える事は、私はそういう任務にずっと着いてきました。これは、米軍側も承知しているので、今回も全て公になる事なく水面下で行われて、またこの記録は全て抹消されます。」

「…20年ですかね。」

「…おい?お前ピヨっこだろ?20年って?!は?俺より年上?は?お前何歳なんだよ!?
20年となると、30でもギリだぞ?」

「45歳ですよ、貴方の親くらいですかね?」

「はぁ??」

…この小僧みたいにしか見えないやつが、45歳だと?!
日本人化け物なのか???!



…俺の人生で一番驚いた瞬間だった笑




Epilogue


 のちに俺はやつを殺す事になる…。


どれほど振り返っても、何度振り返っても、わからない…

不可解な行動をしたやつを。



俺はこの手で殺した。


…最後の瞬間までやつらしくきっちりと真正面から、俺の撃った銃弾を浴びた。

なぜだ?逃げることも返り討ちにする事も安易にできたはずなのに?

なぜ?不可解な行動を起こし、俺に与えられた任務をまるで「知っていた」かのように何の抵抗もせず、やつは俺の銃弾を浴びて死んだ。

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