【ショート】シマトリネコ
「私たち、別れませんか?」
その言葉は、僕にとっては唐突なことだった。一瞬、何を言われたのか理解できず聞き返そうかと思ったが、彼女の顔を見て何も言葉は出てこなかった。なぜコーヒーの色が移りやすいのに、ティーカップは白いのだろうかと思った。
その後何をしゃべったのか殆ど覚えていないが、彼女と僕の家はほど近いのに、早めに別れて、再会しないようにできるだけゆっくり歩いたことだけは覚えている。
その時の会話の中で、2番目に印象に残っている言葉はこれだった。
「初めて会ってから3年、付