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【サステナツーリズム】東京・日本橋で学ぶサステナブル

こんにちは。
今回は、2022年3月に実施した「日本橋サステナブルツーリズム」についてレポートします。

はじめに

最近、教育機関では、研修旅行や総合的な探究の学習においてSDGsをテーマとしたプログラムのニーズが高まっています。そのプログラムの多くは、地方に行き、自然や古き良き日本の暮らしを体感するというのが多い印象です。しかし、コロナ禍で教育機関ではあまり遠出ができないという事情もあります。
それならば、都心で学ぶことができるサステナブルツーリズムの魅力を発見するべく、大阪・関西から東京・日本橋に伺いました。日本橋は、江戸時代に循環型社会(①循環)が実現されており、現在は防災などの最先端技術が集積(②レジリエンス)、さらには事業者連携をベースにした共創型の街づくり(③共創)に取り組んでます。循環、レジリエンス、共創でサステナビリティ実現を目指す日本橋を今回のツーリズムの拠点として選定しました。


東京・日本橋とは
中央区・東京駅から徒歩5分ほどのエリア。日本橋というシンボルがある。江戸時代では五街道の起点となっており、人やモノ、文化が集まるまちとなっていた。現在大阪梅田まで繋がる国道1号線の起点も、ここ日本橋である。日本橋三越本店や日本銀行本店本館、ドラマ半沢直樹のロケ地にもなった三井記念美術館(三井住友銀行日本橋支店)などがある。滋賀県からうまれた「近江商人」が早くから店を出していたという歴史もあり、滋賀県とも縁がある。

今回は、日本橋エリアを中心に事業をされている三井不動産の関係者の皆様に案内をしていただきました。三井不動産は日本橋再生計画として、ビル開発やコミュニティースペース開発、イベントの実施など日本橋でのまちづくりを行なっています。


①循環:日本橋で取り組むSDGs「日本橋ぐるり展」

まずは、日本橋でまちづくりイベントなどを行われている三井不動産日本橋街づくり推進部の小島さん、三井不動産ビルマネジメントオフィス事業推進本部・一般社団法人日本橋室町エリアマネジメントの木村さんにお話しを伺いました。(所属は取材当時:2022年3月)

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意見交換の様子

三井不動産は起源となる「三井合名会社」、さらにその源流となる呉服店「越後屋」時代から日本橋にゆかりがありました。1999年に日本橋のランドマークであった東急百貨店日本橋店が閉店し、跡地再開発として三井不動産が日本橋一丁目三井ビルディングを建て、日本橋という街と一緒に日本橋三井タワーや日本橋室町三井タワーなどの開発を行ってきました。

三井不動産では、SDGsの取り組みとして「日本橋ぐるり展」を2020年に始めています。
SDGsの取り組みを始めるにあたって、日本橋のSDGsに焦点をあててアイデアを練っていったそうです。日本橋は江戸時代、サステイナブルなまちであり、多くのリサイクル業者があった歴史があります。もの・ひと・ことがぐるぐる回る日本橋のSDGsの取り組みとして「日本橋ぐるり展」が開催されました。
WEBページで江戸時代の1,000のリサイクルショップ紹介や三里四方(現在の地産地消のようなこと)の紹介のほか、現代版として日本橋に残る老舗店や新しくできた商店のインタビューの掲載を行なっています。
詳細は、こちらからご覧ください。

イベントとしては、江戸の暮らしを題材にした落語や子ども向けSDGsワークショプ、COREDO室町テラス大屋根広場での展示を行なっています。

日本橋は東京駅から近くビルも多いため、イメージがつきにくいですが、中心街から100メートルほど離れれば住宅地があったり、一本路地に入ると昔ながらのお店が並んでいたりと古くからの文化が残っているそうです。また、日本橋には落語もゆかりがあり、地域に根付く文化やSDGsを落語で紹介しています。
ここ日本橋でしかできない、新たな文化が生まれようとしているのかもしれません。


ひと・まちがつながる「COREDO室町テラス大屋根広場」

その後、イベントや地元との交流の場になるCOREDO室町テラス大屋根広場に行きました。

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日本橋の魅力を説明する木村さん

ちょうどこの日は東京各地で行われている「東京クリエイティブサロン2022」のアート展示が行われていました。
公開空地を活用して作られたこの広場はビルで働く人の休憩のほか、地元の方の憩いの場にもなっていました。実際、平日のお昼だったにも関わらずカフェやベンチでお話ししている方がたくさんいました。

東京には、人の動きがある広場がないというイメージを持っていましたが、この広場では人の交流が生まれており、ビル(オフィス)とまちが繋がる良いインターフェイスになっている印象を持ちました。私もこのようなおしゃれなところで、コーヒー片手に打ち合わせをしてみたいです。

実は、この広場は災害時の拠点、避難場所にもなっているそうです。オフィスを多く抱えるビルにとって、災害時にまちと一緒に働く人をどう守っていくかは大切だそうです。
そのような日本橋には、地下に発電所があり、災害時にこそ活躍するとの話を伺いました。


②レジリエンス:スマートシティを推進「日本橋エネルギーセンター」

次は、日本橋室町三井タワーにある「日本橋エネルギセンター」の見学に行きました。レジリエンス面からのサステイナブルツアーです。
ここは写真撮影が禁止されているため、圧巻の光景は現地に行った方だけの特権です。

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日本橋の地下へ

「日本橋エネルギーセンター」は「日本橋スマートエネルギープロジェクト」の中核になっています。このプロジェクトは2019年から始まった日本橋室町三井タワーから日本橋室町エリアの約20棟のビルに電気、熱エネルギーを供給するというものです。
通常時から災害に強い中圧ガス導管の都市ガスを燃料にして発電するコージェネレーションシステムと東京電力の系統電力を組み合わせて、各ビルに3種類の電圧の電気と熱エネルギーを供給しています。また、災害時でもこの機能を活用して、日本橋室町エリアに電気を送り続けます。

マグニチュード7規模の首都直下地震は30年以内の発生確率が70%とも予測されています。その際、グローバル企業や重要文化財が集積し、20万人ものワーカーを抱える日本橋は、停電が起こりオフィスビルや街の機能が停止すると大きな影響がでると言われています。そこで、都市防災と環境機能の両立を目標に日本で初めて地下プラントが建設されたのです。

今回見学したのは、コントロールルームと発電設備です。専用の扉から入りビルの地下に行きました。発電設備は稼働中で稼働音が大きいため、一人一台専用タブレットを持ち、説明動画をみながら約1時間見学しました。

発電設備では都市ガスを利用した発電のほか、そこで出た排熱を活用した冷水生成、蒸気温水生成を行い、複数の機器を使ってできるだけエネルギーを無駄にしない取り組みがされていました。
コントロールルームでは、発電の状況だけでなく、各ビルの消費電力を予測し各ビルの冷却機との調整のもとその日のコージェネレーションシステムの発電量を調整することもしているそうです。日本橋室町エリアのリアルタイム電力が表示されているコントロールルームは圧巻でした。


③地域連携:多様な主体の連携で、サステナブルな日本橋へ

最後に、日本橋における複数の事業者が集まる会議を見学させていただきました。日本橋の1つの企業だけでなく、複数の企業でタッグを組み日本橋でMICE等(イベントや学会、展示会など)を誘致していくことを目的にしているようです。日本橋は三井不動産オフィスビル以外にも、三井ガーデンホテル日本橋プレミアや野村コンファレンスプラザ日本橋、マンダリン オリエンタル 東京など様々なMICE拠点となりうる場所があります。
各店舗だけでなく、日本橋全体をイベント会場化する取り組みを実践していくそうです。

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この会議では今後の各施設からの情報共有、全体を活用したMICEの誘致方法、ツーリズムなど新たな活性方法の議論が行われました。
また、会議冒頭では弊社上田よりインパクトラボの紹介、教育機関でのサスティナブルツーリズムの動向を共有しました。

日本橋には複数の事業者の施設にベンチャーも含めた多くの企業が入っており、ツーリズムとしてはとても魅力があると感じました。各事業者がタッグを組むことで新たな魅力が生まれていくのではないでしょうか。


おまけ

その日は三井ガーデンホテル日本橋プレミアに宿泊しました。また、夕食も日本橋エリア内で食べました。

ホテルの客室の様子

愛用のスーツケースが写っていますが、とても落ち着く客室、大浴場やレストラン、バーもあり、様々な客層を受け入れられるホテルでした。日本橋エリアは日本らしい雰囲気を残した新しい施設がある一方、路地に入れば昔ながらの雰囲気が残っているという、僕たちにとっては少し京都と似ているような印象を受けました。

あのドラマで見たことのある…

最後に

今回は日本橋の魅力に触れながらも、サスティナブルツーリズムの可能性を考えるツアーでした。

大阪・関西では体感できないような有名企業や勢いのあるベンチャーがたくさん入っているオフィス、まち全体で取り組む防災対策、街も含めたまちづくり・SDGsイベントなど多くの魅力があり、東京に関心のある中高生にはとても学びが多いのではないかと思います。

また、日本橋エリアの魅力は、東京に住んでいる人もわかっていないという話もありました。日本橋特有の歴史文化を深ぼっていくことで関東圏の学生・生徒にも魅力があるサスティナブルツーリズムを実現できるのではないでしょうか。

レポートは以上となります。
今回アテンド頂いた皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。


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