【前編】地方創生からSTEAM教育、守山市の魅力を語る 【もりやまキャリアチャレンジ2021・スペシャルダイアログ】
2022年2月24日(木)に「起業家の集まるまち守山」の実現をテーマに守山市長、守山市で活躍する若い世代、起業家兼研究者の3者がこれからのまちづくりとこれからの起業家教育について対談を行いました。
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今回、守山市の将来、守山市民の将来、若い世代の将来について守山市役所で意見交換会が行われました。当初は1時間の予定でしたが様々な話で大変盛り上がり、2時間に及ぶ意見交換会となりました。
今回、参加いただいたのは、宮本和宏 守山市長、立命館守山高校3年生の中井勇希さん、シリアルアントレプレナー(連続起業家)兼理学博士の山口栄一先生です。
守山市の地方創生
この日は宮本市長から守山市が取り組む地方創生、今後期待する起業家の集まるまちづくりオープンイノベーションの話題から始まりました。オープンイノベーションとは、企業、教育機関、自治体、スタートアップなど異なる組織などが、それぞれが持つ技術、サービス、情報等を組み合わせ、新しい価値を創出する考え方です。
ー 守山市の地方創生の取組ついて教えてください。
宮本市長:
守山市は、平成27年地方創生を開始から、第一期の柱に琵琶湖、自転車を軸とした観光振興、令和3年度から第二期の柱に「起業家の集まるまち」を掲げています。
この取組のベースは民間主導です。民間の挑戦を行政が全力で応援し、さらに官民連携をテーマに取組を進めてきました。
こうした行政の政策を受け、市内外の企業、起業家の注目を集め、守山市を舞台に様々な民間投資の呼び込みにも成功しています。
ー 最近の守山市が注目している取組、ビジョンついて教えてください。
宮本市長:
特に、2021年の夏に発表された2025年(令和7年)完成予定のJR守山駅前に村田製作所の研究所が整備されるニュースです。
同社は約200億円の投資により、従業員規模1,600人の関西の研究拠点施設としての整備を予定しており、これによって守山市に新たな人の流れが生まれ、地域活性化につながることはもちろん、STEAM教育の推進や地域と連携したオープンイノベーションの展開を検討されているとのことで、大変期待をしています。
守山市は令和5年には新庁舎の整備を予定しており、この令和7年の村田製作所の研究拠点整備を含め、守山市に新たな人の交流の場、オープンイノベーションの場ができることが本市にとって大きなチャンスと考えています。
このような機会をシームレスにつなげるため、起業や新たな取組への挑戦を応援する地域の機運や受入体制作りを引き続き進めながら、個人的には「起業家1,000人が集まるまち」という具体的なビジョンを持ち、今後守山市を軸に起業家がオープンに集まるコミュニティを形成し、守山市が活性化するまちづくりを行っていきたいと考えています。
山口先生:
起業家1,000人がオープンに集うコミュニティは大変魅力ですね。新庁舎の整備、さらに村田製作所の研究拠点整備や新たな人のつながる場は、起業家が集まるまちづくりはもちろん、若い世代のための起業家教育を進めていくうえでとてもいい環境と思います。
私自身、物理学の研究者で、物理学者としてこれまでいろんな研究者と会ってきまして、大企業の研究者は、大変優秀な理系の方たちですので、そのような優秀な理系の方にとって、自分の子どもがSTEAM教育を受けられるという話は大変魅力的な話に聞こえると思います。
また守山市は若い世代への起業支援も取り組んでおられるようですから、その取組のノウハウを活かして、研究所に来た研究者のお子さんがあらゆることを学べる環境づくりをしていくことも重要になってくると思います。
例えば、守山市は立命館守山高校や県立守山高校のように優秀な生徒が通う地域ですので、STEAM教育や国際バカロレアのような教育プログラムができる環境があると面白いかもしれません。
STEAM教育の課題が生まれている?!高校生のうちにするべきことは
ー 社会課題を発見し、その解決方法について、調べ、提案する「探究学習」という授業が立命館守山高校にありますが、STEAM教育や探究学習についてどのように感じていますか。
中井さん:
いろんなことが学べたり、プレゼンする能力が身に付いたりできますが、時々探究授業の限界にぶつかることがあります。
中井さん:
社会課題解決に対して興味を持つ人は多く、学校でも探究の授業で検討するものの、アイデアは作れても、実際にプロトタイプを作って検証し、実践するまでを進めていく仲間はなかなかいない現状があります。
提案する時にプロトタイプを作って、検証したデータを使って発表をしてみたいのですが、作り方が分からず、周りの大人、環境には具体的な実践やプロトタイプ制作までを助言、指導してくれる方に出会えない状況です。
授業なので限られた時間で作業しなくてはいけないので、プロトタイプは作れず...授業の終わりを迎えることがよくあります。
だから、限られた時間で魅力的な発表資料作るだけが得意になっている状況は問題だなと思っています。
山口先生:
それこそ研究所の研究員とコラボすることも一つの解決策ではないでしょうか。
ただ重要なのは、中井さんのような意欲の高い高校生は、高校生のうちに、大学で学ぶようなレベルで数学などを学び、視野を広げることが大事です。
文理問わず、高校生は数学や科学などあらゆる学問を学び、視野を広げることが本当に大事ですよ。
私は昔、とある機会でビジネスについて授業するときに、文系の方に指導することがあったんですね。そこで、天体の動きがどうなっているのか、自然のメカニズムがどうなっているのか、理系の話をしたのですが、文系の人にとってはさっぱりわからない話だったようです。
私はそのとき、文系の人はこんなにも科学のことを知らないんだな、と分かりました。ビジネスというのは、広い視野を持って組み立てる必要がありますから、文系の人は、文理のうち文系の世界だけしか知らない状態なんです。
そこで私は、文系の方を対象とした科学の話をすることにしました。科学、数学を学ぶSTEAM教育の一種ですね。
文系向けの科学の話は、なんと大好評。特に宇宙の話が好評でした。文系の人にとって、宇宙の仕組みはだんだん哲学のような話に聞こえたんでしょうね。それで興味を持つようになったんだと思います。
文系の人が科学を知らないままになってしまうのは、高校の時に文理に分けてしまうシステムが原因なんだろうって考えています。このシステムは残念なものですがSTEAM教育が文系の人にも科学を学ぶ機会与えます。だからSTEAM教育を受けられるというのは非常に重要なのです。
さらに、STEAM教育は必ずしも若い世代のためのものではないです。
エグゼクティブの人たちは「知」を渇望しています。(村田製作所の)研究所の人も同様でしょう。
ですから、守山市で、いろんな人がリカレント教育できるような場所を設ける。そこで科学、数学、哲学までいろんなテーマと学べる機会を作ることも守山市の取組の一つとして面白いんじゃないでしょうか。
【後編へ続く】
あらゆる面の自己成長ができるという「もりやまキャリアチャレンジ」の感想、裏キーワードとして「インプットのまち守山」と謳うことができる守山市の魅力、姉妹都市ならぬ「姉妹湖」構想について対談した内容は【後編】に。
【後編】地方創生からSTEAM教育、守山市の魅力を語る 【もりやまキャリアチャレンジ2021・スペシャルダイアログ】
【もりやまキャリアチャレンジ2021 スペシャルダイアログ】
司会:上田隼也(インパクトラボ )|協力:杉本悠太(守山市役所地域振興課)|執筆:杉山滉平(インパクトラボ )|写真:溝江愛未(インパクトラボ )