見出し画像

必要なヒトに必要なコトを|地域共生型社会推進事業交付金採択事業 実施レポートNo.3

こんにちは。インパクトラボの中西です。

インパクトラボでは、一般財団法人滋賀県民間社会福祉事業職員共済会の地域共生型社会推進事業助成金採択団体としてコミュニティ・オーガナイザーの育成に取り組んでいます。

事業に取り組む経緯や、テーマであるコミュニティ・オーガナイザーについては下記の記事からご覧いただけます。

今回は、滋賀県内でフードロス削減や地域コミュニティづくりに取り組まれているCafé Ink MORIYAMAのオーナーであり、合同会社Mitte 代表の佐子 友彦さんに取り組みの経緯や、コミュニティ・オーガナイザーの立場を実際にされていて感じていることついてお話を伺いました。

「Café Ink MORIYAMA」は「食」をきっかけに、集まる・つながる・はたらく・チャレンジする場を、持続可能な形で運営することを目指して、元散髪屋さんをリノベーションして2022年5月にオープンしました。
「 Café Ink MORIYAMA」では、「食」を通じて人と人が集まり・つながるカフェスペース、守山市内の物産を販売できるスペース、市民活動や起業・就労について気軽にコーディネーターに相談できるなど、多様なヒトやモノ、コトが集まり、多様な活動を生み出すことができるようになっています。

Café Ink MORIYAMAの内装

給食がなくなった子どもたちに昼ごはんを

2020年2月、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府から全国の小中学校に一斉休校の要請がされました。子どもたちは一斉休校となりましたが、その親である大人は、想定外に変化する環境に対応できず、仕事を休むわけにはいかない状況になっていました。

特に、共働き世帯では、学童に子どもを預けることはできましたが、休校に伴い給食がなくなったため、お弁当など昼食を用意しなければなりません。そのような時に、学童の管轄である行政から佐子さんに「学童の子どもたちにお昼ごはんを提供できないか」という相談がありました。

その一方では、佐子さんが理事を務める商工会議所の会議で、新型コロナウイルスの影響で、飲食店にお客さんが来ない状況に苦しんでいるという話がありました。

そこで、暇になっている飲食店の厨房を使って、学童のお弁当を作ることで、コロナ禍での経営に苦しむ飲食店と昼食を必要としている親世代の課題を解決できるのではないかと考えました。

ヒアリングを進めていくと保護者の方の要望は1食300円程度、しかし飲食店から最低でも500円で売らないと利益が出ないと言われました。そこで、食品ロスになっている食材を使うことで、200円のギャップを埋められるのではないかと、フードバンクびわ湖に声をかけたことがフードバンクと関わることになったきっかけです。

そこから、フードバンクびわ湖・東近江市支部として看板を掲げ、活動を進めていきました。

Café Ink MORIYAMAに携わるまで

守山市とフードバンクびわ湖でインターンをしていた学生で、夏休みの時期に生活困窮の家庭にフードロスとなる食材を届けるプロジェクトが進められていました。

東近江市を拠点に活動されていた佐子さんですが、プロジェクトを実施するにあたって、学生たちの活動を手伝うことになり、そこでCafé Ink MORIYAMAを一緒に立ち上げた、守山市健康福祉政策課の犬丸さんと出会いました。

東近江市で中間支援組織や地域特化型クラウドファンディング「FAAVO」の立ち上げ、起業や市民活動の支援、コミュニティ・ビジネスなど様々な活動をしている佐子さんに、犬丸さんから一緒に活動をしていかないかと声をかけられたことで始まりました。

そこで始めた、Café Ink MORIYAMAの先駆けとなる再縁寺プロジェクトでは、住民自治の希薄化が課題となっている地域で、行政と住民自治の中間コミュニティとして活動を進めていきました。

誰かから「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたい

ここでは、佐子さんが地域と関わる仕事をされている経緯について伺いました。


学生の頃から「音楽に携わる仕事がしたい」という想いがあった佐子さん。大阪で勤めていた広告の仕事から、地元の滋賀でコミュニティFMの立ち上がるという話を聞き、転職することを決めました。

ローカルメディアの役割として、地域の情報発信があります。そこで、住民の方が本当に求めている情報は何なのか?今発信している情報は住民の方の役になっているのか?と疑問を持つようになりました。

今までやってきた地域の情報発信の仕事について考えるうちに「何のために働くのか?」と悩むようになり、「誰かから『ありがとう』と言ってもらえる仕事がしたい」という自分の中の答えに辿り着きました。

まず始めたのが、市民の方が発信したい情報を発信できるように、コミュニティFMを市民の方も使えるようにオープンにしたこと。この取り組みが、市民協働の活動になっていると、行政の方から声掛けがあり、中間支援組織の事務局長を務めることとなりました。

誰かから「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたい。という想いがベースとなって、誰かの困っていることを助けるという仕事のスタイルが確立していきました。

コミュニティ・オーガナイザーとして大切なこと

佐子さんが目指しているのは、既存のコミュニティをゆるく繋ぎ合わせる場をつくり、そこで新しいコミュニティが生まれていくこと。そのために、競争や差別化といったものとは離れて、ゆるやかに地域と馴染んでいくような場に保つことを大切にしています。

そして、コミュニティ・オーガナイザーとして、誰かの「やりたい」を実現するための手助けができればと考えています。そんな時に意識していることは、「何かやりたい」という気持ちがある人の理想を具体化して「はじめの一歩」を踏み出せるようにすることです。何か行動したり、発信して自分を表現することによって、つながりや仲間が集まり、新しいコミュニティが生まれていくのです。


必要なヒトに必要なコトを

最後に、佐子さんの地域共生型社会の実現やコミュニティづくりについて、今後の展望をお聞きしました。

「Café Ink MORIYAMAでは、地域共生型社会の実現という観点で「必要なヒトに、必要なコトを」というコンセプトを掲げ、関わってくれた一人ひとりが自分の魅力を見つけられる場づくりをしています。

Café Ink MORIYAMAが社会的に孤独を感じている人の社会との繋がり方の1つとなることを示していきたいと考えています。5〜10年と長い時間をかけて、関わってくれた人の活躍が見てもらえるような仕組みづくりをしていきたいです。」

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
様々な立場から地域と関わってこられたお話から、地域共生型社会を実現するために大切なことやコミュニティ・オーガナイザーとしての本質の部分に迫ることができました。

インパクトラボでは、地域共生型社会推進事業交付金採択事業としてインタビューやワークショップなどの活動を行っています。他の活動のレポートも是非ご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?