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ゆっくり静かに温度をあげるー4年目のふふふのZINEを振り返ってー
4年目となる「ふふふのZINE」が終わった。新潟市内野駅前の美容室2階を会場に、友人2人と開催しているこちらのイベント。自主制作の自由な冊子「ZINE」を新潟県内・県外から募り、70以上もの作品を販売した。
会場には、壁にもテーブルの上にも、たくさんのZINE、ZINE、ZINE。家のプリンタで印刷したもの、印刷会社で印刷したもの、手書き、イラスト、日記、写真、旅行記…などなど本当に内容は多彩。置いてあるのは見本なので、来場したお客さんはひとつひとつ眺めてから、欲しいZINEの番号をメモして会計に持っていく。4~5冊以上買っていくお客さんも多い。
私も友人とつくっている「あじさい」というZINEをほぼ毎回出品していて、今回はvol.3を販売した。出品の常連でもあるからか、多くの方に買ってもらえてとても嬉しい。
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今年のふふふのZINEへは、私の中で特に内なる熱があったような気がする。表現をするということ、以前よりもそのことへの切実性が私の中にもあるからだろう。昨年よりもずっと丁寧に時間をかけてフライヤーを配ったり人に話したりすることもできた。
イベントの3日間を通してじんわりと感じたことを残しておこうと思う。こういう熱量はすぐに忘れてしまうから。
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あじさいvol.3の制作期間は約1年。ふふふのZINEの準備期間も、ぽつりぽつりと行いながら10カ月くらい(今回はフリーペーパーの制作もあり)。その間の私を思うと、違う人かと思うくらい変化が大きく、つらい期間も多かった。これからの人生が、将来が怖いと思うことも多かった。2023年を見直し・模索の時期にしようと決めて働き方を変えてからも、そんなに急になにか大きくことが進むわけでもない。
誰かに見せるものをつくる、そのつくっている期間の心持はなかなかに悶々としている。エントリーをしてしまった時もどきどきそわそわ。それがかなり自分の個を出しているものだとなおさらそう。誰かを傷つけないだろうか。これを印刷する価値はどこにあるのだろうか。まあでもやっとできたな。自分が読み返すだけでもいいもんな。そんな、押し問答を1人で繰り広げる日々。
「おひろめ」の場であるふふふのZINEの日は、なにかそういう悶々とした気持ちが立ち込めるじめじめとした部屋にさあっと気持ちよい風を吹かせてくれるような時間だった。ZINEをじっくりゆっくり読んでいくお客さん、会計で交わされるにこやかで静かな会話。「去年よりも○○になりましたね」「楽しみにしてきました」その会話の中に、来る人々の様子に、4年目の積み重ねを感じる。種をまいて、そこから芽が出る。芽が出るとは限らないことも世界には多くある中で、その兆しや予感を手ごたえとして感じることができるのは幸せだと思う。そしてそれをなんとなく共有している主催チーム、スタッフさんたちがいることもとてもありがたい。
ZINEを、作家さんから直接買うということも楽しい経験だけれど、ふふふのZINEのように、つくりてが目の前にいない状態で手にとってもらう形もとても好きだ。本屋で本棚を眺めるときのように、ZINEを開いて読んでいるお客さんは「ひとり」でそのZINEと向き合っている。ただ目の前にある「モノ」がそのお客さんに静かになにかを発していて、それを受け取っている。人が直接渡していないこともとても重要なんじゃないかと思う。
1年前や2年前に買った/読んだZINEの作家さんがこの人だということを今年知る、みたいなことがけっこう起きていて、その時差・遅さもとても心地良い。おそくて、遠くて、静か。けれども、つくりてや受け取り手の心は水面下で動き、温度がふつふつと上がっている。本って、ZINEって、そういう良さがあるんじゃないかと思った。
こういうイベントをやっていくことは、もちろん新潟のなにかを耕しているのだとも思うけれど、同時に自分のことも救っていると心から思う。こういうの良いよね、という景色を共有できる人がまわりに増えていくこと。つくったものが受け入れられる場があるということ。なにかの拍子にメンタルが転げ落ちそうになる人生における、杭や足場のようなものになっている。それは誰かにひょいともらったものではなく、自分でふんばってつくっていくもの。
さてさて、そんなイベントからもう3週間。毎日暑くて、古いアパートの部屋はエアコンをがんがんかけてもなかなか冷えない。予定に追われてはいるけれど、ふふふのZINEでより強くなった足場をふみしめて、着実に一歩一歩進んでいきたい。
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ふふふのZINEにご参加下さった、ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました^^また来年もきっとやりますので、その時にまたご一緒しましょう◎
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