親講習
そもそも私の周りには子供という存在が無く、子どもという生物と関わる機会もなかっためか、よくよく考えてみても、子どもの扱いに関しては初心者以下であり、ある意味未知との遭遇でありました。居住している各自治体ごとに里親になるための研修プログラムが用意されているとのことで、流石、心の優しい日本人、手厚いではないか。
ある日今日子につれられ初の講習を受けに向かったのでありました。私は当初、自分達と同様に不幸にも子どもを授かる事が叶わぬ夫婦が集まる会と思っていたのだが、単身の方や、割と高齢の方などもいらっしゃって、どうやら色々な事情の方が集まっていた様でありました。そこで見たとある養護施設のドキュメンタリー映像には預けられた子どもたちの日常が映しだされ、彼らは当然愛に飢えていて自分の置かれている状況を理解しているかは定かではないが、親という絶大な愛情を貰えない施設の生活、初めて会う取材した記者に対しても純粋に抱きつき笑顔で甘える様に私は涙した。隣に座っていた夫婦の夫も泣いていた。彼らに必要なものはおもちゃでも甘いお菓子でもなく、愛情なのだろう。切なすぎた。映像の作り方もセンチメンタルに仕上げてあるのであろうが、彼らの深い闇と容赦ない現実は一般的な中流階級の家庭で育った私にも充分すぎるほど伝わったのだった。私には一体何が出来るのだろうか。愛情ってなんだろう。幸せとは…。答えは風に舞っているのだろう。